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二十二話、代償

いいね300件越え、ありがとうございます!!



連載初めて早三ヶ月、100話も超えました! モチベを上げてくれた読者様に感謝です!!

◆◆◆


 旅館、テレビの先で、何かの音が聞こえた。


 少しだけ乱れた髪、幼くも、何処か愛らしく火照った身体に、少女は……虚無の瞳を浮かべていた。




 じわ……と、涙が溢れ出す。

 

 一年ほど前までは常に気丈だった少女。もう、気丈だった姿は……見る影もない。



「目に見えてお嬢様が……元気を失ってます」



 ————綴が消えた日の,昼。アラカは目を覚まして……綴がいないことに気づいた。



「護衛任務もこの状態ではまず不可能でしょうね」


「じゃ、どうす、んの?」


「…とりあえず今後の対策は、大人勢が決めるそうです」



 そんな声が、屏風の奥から、聞こえる。

 だが、そんな雑音さえ、アラカには受け止めるほどの余裕が無く。



 ----アラカは自分の犬耳を引きちぎった。



「…」



 獣の耳を引き千切り、そこらへ捨てる。千切れた箇所からは血が溢れ出して、髪を伝う。


「つ……」



 じわ……と、目尻に涙が浮かぶ。


「ぅ゛、っ…ぁ゛、…、」



 それを自覚して仕舞えば……もう全ては、ダムの決壊のように、抑えきれず溢れ出す。


 せめてもの嘆きか、手で、顔を覆い、泣き続ける。




「綴、さん、綴、さ、ん……っ゛……」



 大泣きしながら、今はいない彼の名を呼ぶ。


「っ……っ゛…っ……」



 どさ……と、布団に倒れ、身体を丸めて……千切れた耳を治療もせず……ただ、愛しい彼の〝忘れ物〟を懸命に、愛おしそうに鼻腔に近付けさせる。



「っ゛……っ…………っ………………」



 ぽろぽろと泣きながら、アラカは綴の下着を口に含む。


 少しずつ落ち着きを取り戻していく、涙も目尻に浮かぶ程度になる。



「っ……っ………ん……すん………っ……くん、くん………っ…」



 すぅ……と、匂いを嗅ぐ。

 同時にアラカは…………自分の下着の中に、指を入れていた。


 ただ、泣きながら……布団を血で汚しながら……片耳から血を溢れさせて、片方だけ残った犬耳が……垂れたまま……ぴくっ、ぴくっ……と、切なく、微かに揺れた。




 その、数十分後……泣きながら、気絶するようにアラカは眠った。



 ————綴が消えた傷は、あまりにも大き過ぎた。

安易に綴を消すんじゃなかった。アラカくんに感情移入して死ぬほど病んだ。吐きそう、ゲロやば

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