宇宙に旅立つ2
御使い様、現時点での知的生命体の確認状態を報告させて頂きます。
我々が今いる銀河の一方向になりますが、5万光年内におよそ20の知的生命体が生息する惑星を確認しています。
この銀河系内全ての把握はもう少しお待ちください。
惑星間連邦を組んでいる惑星はなさそうです。
星間戦争を行っている惑星を一組見つけています、同じ恒星系内での戦争の様です。
「そうですか、それは都合がいいです。その負けそうな星に加担します。」
「お姉さま、何をなさるのです?」
「もちろんレーベル教の布教活動ですよ。」
「おねえちゃん。戦争の加担がなんで布教活動になるの?」
「フフフ、私の明晰な頭脳が、星の住人丸ごとレーベル教に入信させる良い案を思いついたのです。」
「流石ですお姉さま」
「そうですね、これからは私の事は、教皇もしくは法王と呼んでください。貴方達は大司教又は聖女を名乗って下さいね。」
「キューブさん達から提督と艦長や副官の役職選定をお願いします。」
「了解しました。ヒューマノイドのお姉さん達はいかがなさいます。」
「彼女らは修道女の兼任もありますから、あまり負担を掛けない役職でお願いします。」
「了解いたしました。」
「それでは恒星系に行ってみましょう。」
私の考えたシナリオは、
「私達は遥太古の昔に、新たなる新世界を求めて旅経った者である。
我が子孫達の様子を見に前戻ったら、他の惑星からの侵略に苦しんでいるではないか、我々が貴方達を救いましょう、レーベル様の名の下に。」
惑星の住人からは大歓迎され、我らの信じるレーベル教が星中に広まり、星が丸っとレーベル教信者になるのです。
「お姉さま凄いですは、流石!教皇様」
「おねえちゃんそんなに上手くいくとは思えない様な」
「ナル何を言っているのですか、これだけの力があれば、何でも思いのままになるのです。」
「へぇー」
「それでは教皇様そのような流れで接触を試みてみます。」
「お願いします。怖がらせないように接触するなら10艦位でお願いしますね」
「了解です。」
「不利な戦争が、太古から前戻り我らを救って下さった我が星のヒーロー様、なんてすばらしい事なのだろう!ヒーロー様が信じる宗教なら、みんな幸せになると、言うことなのですねお姉さま!」
「そうよ、大歓迎されますよ。」
「通信を行い教皇様がお決めになったシナリオで接触を試みたのですが、反撃してきました。それも交戦中の惑星と同盟を組んでまで」
「えぇ―なんで?」
「それが言いにくいのですが、彼らの星はテラフォーミングして住める様にした星だと言うことです。
(この星に我ら以外住んでいた人種はいない、居たとしてもそれは我らとは何ら関係ない人種である。
母星と戦争はしていたが、我が恒星系に、人を騙してまで侵略してきた宇宙人を、協力して倒さないでどうする)となったみたいです。」
「おねえちゃん恥ずかしいよ、早く何処か行こうよ」
「流石お姉さまですは、こんなに早く戦争を終結さすとはさすがです。」
「貴女なに嫌味言っているのですか、もー恥ずかしいから次に行きます。こんな星見なかったことにします。」
「おねえちゃん、次からはもう少し慎重にいこうねニコリ」
「提督、艦長!今回の失敗は貴方達の責任です。反省してください。」
「えっ!なんで?」
「詳しく調査すれば、テラフォーミングした惑星は分かったはずです。」
「えっ!教皇様が力があれば、何でもまかり通ると・・・」
「次からもっと慎重に行きましょう。それとしばらくは宇宙に出ている様な人類とは接触したくありません。」
「分かりました。文明レベルの低そうな星を探してみます。」
「教皇様それなりに文明は発達していますが、まだ宇宙までは進出していない星を見つけました。大気中に魔素も確認していますから、未知の力には気を付ける必要がありますが、教皇様の母星と変わりないかと思われます。」
「魔獣とかも居るのですか?」
「それなりの生命反応は確認していますが、強さまでは分かりません」
「じゃーその星で布教活動の練習をしてみます。貴方達もいいですね」
私達の降り立っ星は、車や船、飛行機はある物のジェットエンジンまでは開発されていない内燃機関がまだ支流の科学文明だった。
魔法の方は科学と両立させた社会で、少量の物なら入るアイテムバックなど便利グッズなども普通に広まっており、上手く発展していけば魔法化学文明として化けるかもしれない。
その文明に溶け込んだ服装を着てみる。16歳の妹が浮世離れした美しさである。このままじゃ布教活動などできた物じゃない、髪を茶色に変えて眼鏡と帽子をかぶらせる。
多少はましになったが、これ以上はどうしよもない
「みなさんいいですか、決してブレスレットは外してはいけませんよ。携帯電話とかもないですからね、おかしな行動は控えて下さいね。
相手は人ですからね、虫けらでもペットでもないですからね、ちゃんと接して下さいね。」
それでは転送!
私達は誰も居ない、真直ぐ進む街道に降り立った。
大きなリュックサックには、果物やジャガイモ、玉ねぎを入れている。
重さ軽減魔法が掛けられたバッグだから苦にならない、これも市販されている事は確認済みである。
この野菜や果物を町で売りさばいてお金を作る事にした。
暫く町に向かい歩いていると、後ろからクラクションが鳴る。
トラックが立ち止まり「乗っていくか?」と男が声を掛けてくれる。
私は助手席に乗せてもらい、妹たちは荷台に乗り込む。
「お嬢ちゃん達は何処に行くつもりなのだ、町まで乗せて行けば良いのか」
「ええー町に野菜と果物を売りに行くつもりだったの、助かったわ、ありがとう」
「果物持っているのか?それ売りに行くなら俺たちに売ってくれないか?」
「ダメよメインの果物が無いと野菜に目を向けてくれないもの、売れ残るの嫌だもの」
「分かった野菜も買うよ、幾らだ?」
「重さを量らないと分からないわよ」
「分かった、もう少し言ったところで俺たちのラボがあるから、そこで数量を量り購入させてもらうよ。」
「ありがとう、町までいかないですんだわ」
「もうすぐ到着するよ、みんな喜ぶだろうな(笑)」
「ラボて何か実験しているの?」
「ロケットの実験をしているのだよ」
「ロケット?それ何なの?」
「そうだなー男は腕を上に向け空を指さした。」
「空を飛ぶ乗り物?」
「いいや、もっと上だ」
「宇宙?」
「そうだよ重力の壁を突き抜けるのさ」
「この星の外に行けるの?」
「そうだよこの実験に成功すれば、我々はあの衛星にも行けるかもしれない。」
「凄いわね、あの衛星にも生物がすんでいるのかしら?」
「空気が無いから無理だろうね」
「あら!夢が無いのね(笑)」
「そうか夢か、我々はあの宇宙に行くことが夢なんだよなー」
「あら!そんなちっぽけな夢はダメよ、もっと大きな夢を持たないと、宇宙は広いは、私達が済むこの銀河系だけでも 2000〜4000億の恒星があるのよ、その惑星となると数えきれない星々があるの、そんな広大な宇宙を旅してみたい位の夢を持ちなさい」
「すごいなー君は」
「そんな事無いわよ、夢の話よ、でもかなわない夢なんてないわ、頑張りなさい」
「この宇宙には銀河系は幾つぐらいあると思う?」
「そうねー2兆はあると思うは」
「凄いよね、2兆か(笑)」
「何を言っているの、この宇宙だけでよ、他宇宙を入れれば無限よ」
「え!他に宇宙があるの?」
「多元宇宙論て聞いたこと無いの?マルチバース?は」
「無いよそんなの、」
「そうなのね(笑)」
「そろそろ着くよあれが我々のラボラトリーだよ」
「案外しっかりした設備よねビックリしたわ」
「研究者ばかりで、食事もまともに取らないで研究に明け暮れているから果物見たら泣き出するのじゃないかなーハハハ」
三人は車から降りて荷物をお金に変えてもらった。
みんな果物に大喜びである。
「ホントに甘いものは久しぶりだよ。」
「貴方達、研究者がそれではダメじゃない、ブドウ糖は脳の活動を維持するのに重要な栄養素なのよ」
「きついこと言うよなー君は、でも食事もまともに取ってないんだ、研究バカばかりで困ったものだよハハハ」
「分かったは私達が手軽に食べられる物を作ってあげるわ、厨房に案内して下さるかしら」
私達が連れてこられた厨房はこちらで料理を作るのも憚られる(はばかられる)場所だった。
「おねえちゃんこんな所で料理なんかできないよ」
「お姉さま、こんな所で料理を作れば食中毒まっしぐらですわ」
「生活魔法で綺麗にしましょ。口に入れる物は全て亜空間に捨ててちょうだい、そこの食用油もね、コバエが入って不潔ですわ」
「「「ふぅー」」」
「新築の厨房見たいですわ、これなら大丈夫そうですね」
「おねえちゃん、何作るの?」
「持ってきたジャガイモと玉ねぎあるからコロッケにしましょう」
「お姉さま、彼らからドラゴンのお肉沢山貰ったから、それをひき肉にして使いましょうか」
「そうね唐揚げも作りましょう。」
「フライドポテトも作ろうよ、あれ大好き」
「油っこい物ばかりねw」
「お姉さま、じゃー私は肉じゃが作ります。」
「糸こんにゃく持っているの?」
「うん、亜空間倉庫にありとあらゆる物が入っているから大丈夫」
「じゃがいもと玉ねぎばかりね(笑)」
「ドラゴンのウインナーがあるからそれも出してあげましょう。試作品らしいですけれど」
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「うめぇー美味すぎるよ、おれこんなに美味しい物食べたことない。」
「「「「「「「「「「「「「俺もだよ」」」」」」」」」」」」」」」
「酒ないのか?」
「そんなのとっくに無くなったよ」
「あるわよ、何が良いの?」
「ビールってあるのか?」
「あるわよ!ウイスキーだってブランデーだってワインだってあるわよ」
「すげー飲ませてくれよ」
「高いわよ、それでもいいならね、それとビール以外は超高級品だからね、がぶ飲みは止めてよね」
「分かったよ」
「何人いるの?」
「ウイスキーとブランデーは小さな樽で出してあげるは、響きて超銘柄のウイスキーだからね、高いわよ。ブランデーはレミーマルタン ルイ13世だからもっと高いわよ。」
「いやもう少し安いのでお願いします。」
「持ってないわよ。」
「俺たち金なんか持ち歩いてないから、ここに無いよ」
「分かったは、この2樽だけはサービスしてあげる。」
「「「「「「「「ありがとー」」」」」」」」
「みんな飲んでみなさいよ、すごいから」
「美味い旨いけれどあんまし分からん(涙)」
「もー貧乏舌ね(笑)」
「じゃービール出してあげるね」
「超ーうめーえーこれ美味しいよ、冷えているビールてこんなに美味いのかよ」
「ラガーて言うビールよ、低温の方がキリッとした苦みと、すっきりとした味わいがあるの。貴方達が飲んでいるのはエールね」
「揚げ物に最高だよなー」
少し提供するだけだったけれど、気のいい連中と飲む酒は美味しかった。
妹二人も食べるだけ食べて、みんなにちやほやされて大ご機嫌だった。
気が付いたら夜遅くになり明日の朝、町まで送ってくれることになった。
家まで送ると言われたが、町で買い物がしたいからと断った。
アルコールで火照った体を冷やすため、夜風にあたっていると、トラックの男性が横に来て「今日はありがとう、楽しかったよ」と話しかけてくる。
「そうね、久しぶりにはしゃいじゃったわ」
「綺麗な夜空だろ」
「そうね、口説いても無駄よニコリ」
「いや、そんな事はしないさ、僕の恋人はあれだからな」
「打ち上げは何時頃になるの?」
「まだまだ先さ」
「成功すると良いわね」
「君は不思議な人だね、もー広大な宇宙を見てきた人の様だよ」
「フフフフフそうかもよニコリ」
「なぁー俺たちも宇宙に行けると思うかい?」
「保証するは、夢は叶うって」