コンサート
私達は職員室に行き、担任の先生にお願いする。
「どうした君たち、何かあったのか?転校生がそろって職員室に来るなんて、早速問題でも起こったかね?同じ立場で話も合うと思うが、君たちだけでひと固まりになりすぎず、クラスメートとも仲良くしてくれると助かるのだが」
「いいえ、5人共通の趣味である音楽でみんなと仲良くなりたくって、5人で放課後に演奏会を開きたく、屋上の仕様の認可をいただけないかと、お願いに来ました。」
「それは構わないが、生徒だけではダメだ、私が協力してやりたいのだが、今日は他校との交流試合の打ち合わせに行かなくてはいけない。すまないが協力は今日は無理だ」
「他の先生にお願いできないでしょうか?放課後に聞かせると約束しちゃって、お願いします。」
「少し待っていろ、聞いてくる。」
「よろしくお願いします。」
「音楽担当の先生が協力してくれると言うことだ、だが有名な音楽の先生だからあまり恥ずかしい演奏はするなよ(笑)」
「それは大丈夫です世界クラスの腕前ですから」
「お前、自分で言っていて恥ずかしくならないか?」
「そんな事で恥ずかしがっていたら、人前で何も出来ませんよゲラゲラゲラ」
「そうか、ともかく一緒に来てくれ、協力して下さる音楽の先生を紹介するから、君たちからも挨拶しておくように」
「分かりました。」
私達はペコペコ頭を下げながら、お願いした。
「どうする?クラッシックの先生らしいよ、やっちゃう?」
「そうよね弦楽器でもお披露目しようか、世界最高峰の5重奏、きっと度肝を抜かされると思うは」
「それはいいけれど、女子高生にうけるかしら?」
「そうよね~短くて有名なのにしましょうか」
「でも、大丈夫?この星のクラッシックなんか知らないわよ、完璧に引くには時間が足りないは」
「オリジナルと言うことでごまかしましょう。アントニオ・ヴィヴァルディの四季で行くわ」
「えっ!大丈夫なの?私達接点が無いことになっているはずよ、幾らなんでも知らない曲を完璧に演奏するなんて奇跡よ」
「大丈夫よ1曲だけなのだから、楽譜を用意すればバレないわ」
「それもそうよね、これで音楽の先生には良い印象を与える事ができるわ」
「後は歌唱力も世界最高峰の歌声を披露すればいいのよ」
「まさかオペラ?」
「違うわ、何時もので良いわ、そんなのを歌ったらドン引きされてしまうわ、彼女達そんなの聞きに来てくれるのじゃないのだから」
「そうよねジュエルをメインボーカルにすれば、何を歌わせても心を掴むことできますものね」
「でも、ジュエル言っときますけれど殺人はダメよ、神オーラなんか出さないでね」
「何回もやっているのだから大丈夫。任せてちょうだい」
「ならいいのだけれど」
私達は屋上まで通じるエレベーターの使用認可を貰い楽器を運び入れる。
私達より早く来ていた学生が手伝いをしてくれる。ありがと
「ねぇ~貴女達、機材多すぎない?いったい何をするつもりなの?私達、路上ライブみたいなの聞きたいだけなのに」
「それがね、音楽の先生が来て下さるの、少し先生にもサービスをしないとね」
「凄いはね、あの先生は世界的に有名な先生よ、その先生の前で演奏できるなんて、肝が据わり過ぎよ」
「みんな人前で弾くことは慣れているからね、なんとか頑張ってみるわ」
放課後行われたコンサートは直ぐに噂になった。
音楽の先生も何人かの同僚を連れて来ていたので、職員室はその噂でもちきりになる。
人をあまり褒めない音楽の先生も絶賛である。
コーラス部の顧問も同席していたため、あの子らがうちの部に入部してくれれば、コンクール優勝も間違いないと獲得に乗り出そうとする。
「ダメだあの子たちは私が教える。君たちは諦めてくれ」
「いくら先生でもそれは横暴です。彼女らの意思に任せるべきです。」
「バカを言うな、彼女らは自由にさせていい存在ではない、我が校にとって宝なのだ、いいやクラッシック界の宝、それも無名の音楽家、我が校が後押しして名前を世界に広げるのだ」
「そんなに凄いのですか?」
「凄い、上手い、とかのレベルではない、歴代の巨匠が集まり演奏したような物だ、私は魂が抜け落ちそうになったよ」
「と言うことなので、校長認可もらえますか?」
「なにの認可だ?」
「ですから彼女達を私に頂きたく」
「変な表現は止めてくれ、どちらにしろ君の独占は無理だな」
「どうしてですか?彼女らの活躍で、ますますわが校の名前が売れるのですよ」
「君の前にコーラス部の顧問がたずねてきてな~あの女神の歌声を今度行われる。聖歌音楽コンクールで披露するべきだと、そのコンクールには教皇様もおいでになるから、我が校の最高のアピールになるとな」
「私はこころよく承諾したよ」
「あのやろー素直に引き下がったと思えば、卑怯な手を使いやがって」
「おいおい、下品だからその言葉使いは止めてくれ」
「そのコンクールが終わったら私がいただきますからね、認可お願いします。」
「ジュエル、順調だけれど、配信は上手く行っているの?」
「屋上でのライブは生配信で各銀河に配信しているわ。大盛況よ又登録者数伸びたわ」
「みんな好きだよね~この企画」
「だよね~」
「この銀河での配信はまだだから、もう少し話が進んでからアップするわね」
「まかせるわ」
私達はコーラス部に溶け込み日々練習を重ね、本番の日となる。
教皇様をはじめ枢機卿の前で讃美歌を披露することになる。
最初はみんなで合唱してから、私達5人の歌声を披露した。教皇様の前だ少し位神の力を解放してもいいだろと、女神5人は調子に乗り出す。
客席の殆どが意識を失った時に、教皇が苦しみだした。真の神のオーラを浴びた教皇と追随していた枢機卿が、姿を変えて行ったのである。
「おぉぉぉぉお前達何者だ~」そう叫びながら教皇や枢機卿の体がみるみる大きくなっていく。
「ねぇ~あの人達、悪魔なのかしら?」
「えっ!宗教関係者でしょ、そんなバカな?」
「よくある話じゃない、体を乗っ取られていたのよ」
「じゃ~倒して良いの?」
「ダメよ話を聞かないと、キューブさん捕まえて」
観客に混じり撮影を行っていたスタッフに直ぐに取り押さえられる。
数人のスタッフに意識を失っている観客や参加者の事は任せて、私達は悪魔と一緒に搭載艇に転移した。
「ねぇ~貴方達何者なの?宇宙人?悪魔?」
「教皇様はどうなった?食べたの?」
「我らをゲテモノ食いの様な言い方は止めろ、元から教皇は私だ」
「あら凄いわね、目的は何なの?宗教や政治家に紛れ込んでいるの?」
「中枢機関の多くの人物は貴方達のお仲間なの?」
「そうだ、我らの安全の為に政治を操っている。」
「そうなのね、どのような悪事を企んでいるの?人類を抹消して、この星を手に入れるの?」
「そんな愚かな事は考えていない。金さえ手に入れればこんな快適な世界は無いからな」
「そんな人の姿のままだと辛くないの?」
「我は人型だからそんなには苦にならない」
「人型じゃないのもいるのね?その人たちは何処で暮らしているの」
「どうしても人間に化けられないものは、過疎の村でひっそり暮らしている。」
「あらよく文句が出ないわね。」
「食料は提供しているし、村の住人は全て我らの同胞だからな、誰かに見られたところで問題は無いよ」
「管理されているのだ、自由がないなんて可哀そうに」
「人族と戦うよりましだろ、彼らは自分達と違う容姿の物は平気で殺しにかかるからな、奴らこそ悪魔だよ」
「そんな事は無いと思うけれどな~でも貴方のその見た目だと、やっぱ排除されるかも」
「彼らがその気になれば、我らを見分ける装置を開発し、排除する法案を通すだろ、そんな行為にならない為に、目撃情報なんかを処理しているのだよ」
「UMAてやつね、未確認生物で情報操作されるのね?」
「我らは人類に何の危害も加えていない、だから見逃してくれ」
「ダメよ私達の聖なるオーラで姿を現したのだから、邪悪な存在として疑うのは当然よ」
「ちがう!君たちの途方もない力で、我の人化が解除されただけだ、君たちこそ何者なのだ、侵略者か?」
「何言っているの私達、女子高生よ」
「頼む真剣に答えてくれ、」
「仕方が無いわね~皆には内緒にしてよね。私達は神よ」
「どうして神々が地上に居るのだ?我らの宇宙に何かあるのか?」
「何もないわよ、普通に遊びに来ているだけよ」
「その遊びとはどのような物なのだ、お願いだ我々は人類に溶け込み平和に暮らしている。現状を乱さないでもらえないか?」
「そんなのダメよ、私達が知ってしまったら、放っておけないわ」
「だから、今で満足している。君たちに臨む物は何もない」
「貴方はそうかもしれないけれど、他の人達はどうなの?」
「ごく一部の同胞が納得いっていないだけだ、他の者は今の生活に満足している。」
「やっぱり、いるじゃないですか」
「いいや人類にも色々な考えの物がいる様に、それは我らでも同じだ。子供が居て平和に暮らしている同胞もいるのだ頼む静かに見守って欲しい」
「仕方が無いわね」
「ありがとう」
「所で貴方達の仲間はどれくらい居るの?」
「人口比率だと7対3位か我らの同胞は24億は居ると思う。」
「どれだけいるのよ、立派な国家が作れるぐらいいるじゃない」
「肝心の土地が無いよな」
「そうなのだけれど、よく今日まで我慢してきたわよね」
「我らは争いは好まないからな、人間の姿のままで静かに死んでいくだけだ」
「えっ!死ぬときもその姿で死ぬことが出来るの?」
「もちろんです。我ら生まれた時から、死ぬまで人の姿のままですよ」
「それって人間じゃん」
「何万年も前から生きるために備わった進化ですよ。」
「すごいね」
「でも、今回の様な事が起こると、隠ぺいが解けてしまいます。未熟と言うより、神の力には抗えなかったということですな~」
「枢機卿のみなさんも落ち着きを取り戻された様で何よりです。」
「あぁ~取り乱してすいませんでした。」
「ところでお伺いしたいのですが、貴方達の信じる神は人間と同じなのですか?」
「そうですよ、て言うか、今神として信心されているモリア様は我らの同胞でした。」
「あらそうでしたのね、呼び出してあげます。」
「えっ!モリア様をですか?」
「この星の神になっておられると良いですね?」
「それはどういうことでしょうか?」
「貴方の信じる神様は何年前に生きておられた方なのですか?」
「およそ三千年前になります。」
「そうですか、神の頂に到達するには少し若すぎるかもしれませんね」
「会えるものなら、主にお会いして、お言葉を頂きたい」
「分かりました。カンチョお願い」
「えっ!ジュエル、カンチョにまるなげ?」
「そうよ、あの子たちに任せておけば、なんだって可能よ」
「それはそうなのだけれど、今頃慌て捲っているわよ」
「そんなの知らないわ、」
暫く待っているとレーベル姉さまがモリア様を連れて来てくれた。
カンチョ達は三千年前のモリア様が逝去されたその日に戻り、天使クラスまで格を上げた。
これで星の管理に障害をきたす事は無くなった。
やはり特別な力か、上級の神と繋がりが無い限り三千年そこそこでは、神の位にはなれなかった。
その事はこれまでモリア様を信仰してきていた信者には知られてはいけない
その為三千年の星の歴史をカプセルで学習してもらった。
自分の同胞が三千年もの間、ひっそり隠れるように暮らしているのを見たモリアは嘆き悲しむのであった。
三千年間時が流れたというのに、自分が生きてきた時と何も変わりが無い。
モリアは今の自分の力があれば我が民族を、表の世界に導けるのではないかと思うのであった。
「我に会いたいと願ったのは教皇と枢機卿か」
「はっ、はぁ~そうでございます。」
「何時も貴公らの祈りは我にとどいていた。今日までよく頑張った」
ねぎらいの言葉をもらい教皇と枢機卿は膝を付き涙を流し打ち震える。
なんたる感激、なんたる慈愛に満ちた言葉。
「そうだな~我の力で、お前達に褒美をとらす。我ら同胞に今の力の倍の能力を授けるとする。」
「はっ、はぁ~ありがたき幸せ」
「では、我はこれにて天界に帰るとする。幸せにな」
モリア様は星の同胞に力を付与しレーベル様と共に天界に帰って行った。
「よかったですね、貴方達もこれでコソコソ生きなくても、生きていけます」
「はぁ?それはどういうことなのでしょうか?」
「貴方達の神様から力を授かったのですよ、これまでうっぷんが溜まっていた者達が黙って居るとは思えないのですが」
「我らモリア様は我らに生きやすいように能力を下さっただけです。」
「これからは人類とは何もかも格上な存在、寿命も今の倍、そんな人たちがコソコソ生きるとでも、人類との戦争ですよ。」
「すいません直ぐに我らを地上に戻していただけませんか、早く何とかしないと、早まった愚かな若者が何をするか分かりません。特に人化出来ない者達が」
「分かりました。困った事があれば此方にお電話下さい。ではキューブさん転送を」
「ねぇ~ジュエルどうするのよ?」
「何が?」
「この星戦争になりそうなのだけれど」
「大丈夫よ、そこまで愚かな種族には見えなかったわよ」
「そうかしら?」
「それより私達仕事が増えたわね、」
「えっ!なんの仕事よ?」
「もちろん美少女戦士だけれど」
「なんでいきなり戦う事になるの?」
「決まっているじゃん。(チャンネル登録といいね)を増やす為よ」
「誰と戦うの?」
「もちろん力をもらった、はねっかえりのバカがこれから増えるからよ、それを倒すの」
「えっ!もしかしてモリア様の思考操作をしたの?」
「そうよ、絶対になれない神にしてあげたのだから、少し位は協力してもらわないとね」
「ジュエルこわー怖すぎるわ」
「さぁー衣装の制作に掛かるわよ、セーラー服は却下だからね」
「あれしか思いつかないのですけれど」
「ダメよ、私達のオリジナルじゃないと」
「ブレザー戦士で良いの?」
「それいっしょやん」
「これでいいは、何着ても同じになっちゃうから」
「だよね~諦めましょ。」
「一つ聞いておきたいのだけれど、殺してしまうの」
「そんな事するはずないじゃない、ミラクルパワーで悪の心を取り省くのよ」
「ねぇ~聞いて良い?人間にとっては悪かもしれないけれど、彼らには彼らの正義があると思うのだけれど」
「そんな難しく考えない、企画の一環なのだから、適当に光線打ち込んでおけばいいのよ」
「えっ!それはダメだと思う、しっかりとしたストーリーで大人でも楽しめるものでなければ、いいね伸びないわよ」
「もぉ~めんどい」
「仕方が無いじゃない、可愛いだけで登録者数稼げる時代は終わったのだから、練り込んだ企画を考えないと、これまで応援して下さったみなさんに申し訳ないわよ」
「貴女達ホント凄いは、これが教育と言うものなのね、私はすてら・・」
「ジュエル、もぉ~その言葉には騙されないは、いい加減にしなさい」
「なによプリプリ」
「ねぇ~ホントに美少女戦士人気が出るのでしょうね、ここまでお膳立てして、大こけとかありえないからね」
ジュエル達は、暫くは平和な日常を満喫していた。
今回のコンクールで、みんなが意識を失ってしまった事件は、各テレビ局がワイドショーで連日取り上げていたのである。
有名な学者が見解を述べるが、結論が出る事は無かった。
その場に居合わせた、観客やスタッフにインタビューするテレビ局
そんな中で共通して返ってきた言葉が、あれから体の調子が良いとか病気が治ったと言う者ばかりだったことだ。
その噂はSNSや動画配信サイトでも広がって行った。
ある者は虫歯だった歯が治ったとか、メガネが必要なくなったとか、車イスで鑑賞していたのだが、翌日には歩けるようになっていた。癌が治った。
あのコンサートで奇跡がおこったと拡散されていく。
そして教皇からの重大発表があると世界に発信された。
教皇と言えば今回噂のコンサートに参加されていた当事者である。
世界はその発表に耳を傾ける。
そして教皇の口から出た言葉は、信じられないものであった。
「清き乙女の歌声に答える様に、神が降臨され、その場に居た人々に慈愛と祝福を与えられた。神に仕えてきて何十年、私は初めて真の聖女の祈りを見ることが出来たのだ。私は私は、モリア様の姿を拝見でき最高の喜びである」
涙ながらに語る教皇の姿は、神の存在を世界に強烈にアピールすることになった。
世間ではその聖女は誰なのと噂になる。
それは直ぐに判明した。
学校の周りには世界中から報道陣が詰めかけていた。
学校には問い合わせの電話が鳴りやまない。
これでは学びの場が機能しなくなっている。
学校は5人に頼み込み、共同記者会見を開くようにお願いする。
5人は嫌がると思ったのだが、ノリノリであった。
皆の前でコンサートも開きたいと言う。
これ企画書ですと1枚の紙を校長に差し出す5人、そこには都内の1番大きなドーム球場が書かれていた。
「校長先生、今が私達の学校の名前を売り込むチャンスですよ。球場さえ押さえて頂ければ、後は私達にお任せ下さい。」
「何もこんな大きな球場でなくても?」
「じゃー新国立競技場で」
「ダメだいくら何でも予算が掛かりすぎる。」
「これ父からの寄付の一千万円です。」
「えっ!」
「父が金の心配は要らないと言っていました。あくどく儲けているから心配するなと」
「いやいや娘が聖女と噂されているのに、その発言は不味いだろ(笑)」
「私も父から預かって来ましたよ。金額はそちらで記入してもらってかまわないと、これ小切手です。」
「君たちの両親どれだけ金持っているのだよ」
「これで会場は決まりましたよね、どちらか選んでおいてくださいね」
「コンサートでは3万人位収容でお願いします。これ以上増えると神様が降臨された時に、遮蔽空間が確保できませんから」
「そうよねー病気で苦しむ子供達も招待してちょうだい、直してもらうから」
「じゃ~政治家も招きましょうよ治してあげたら、色々これから協力してくれると思うし」
「いやいや、君たちの降臨を全ての人が信じているわけでは無いよ、まして政治家のお偉いさんが参加するとは思えないのだがね」
「じゃ~父のコネを使いますわ」
「そうようね~お父様に頼ベば、抗える政治家はいませんものね」
「まぁ~好きにすればいいけれど、流石に3万の観客動員は無理だ」
「えぇ~毎日テレビで報道されているのにですか?」
「君たち報道で騒がれてはいるが、一流のアーチストでも無いしな、まぁ~色物だよ」
「なんと的確な指摘、グハハハハ」
国立競技場もおさえる事が出来た。
チケットを販売してみたら、なんと完売してしまった。
政治家を招待する為に教皇に根回ししてもらった。
教皇の同胞はコンサート会場には近付かない様にと言葉を添えて
コンサート当日、練習用体育館を借りて、記者会見に挑む。
記者会見時間は1時間の為、質問するのは代表がまとめて行う事にしてもらった。
プロフィールに記載されている内容は質問しないようにと打ち合わせはしてある。
公共放送の人気女子アナウンサーが代表して質問していく
「貴女達の歌声でモリア様が降臨されたと言うことですが、貴女達はこれからは神に仕えるお仕事をされて行かれるのでしょうか?」
「いいえ、私達は音楽関係の仕事に付きたいと思っています。」
「モリア様が降臨されたことは、いかが思われますか?」
「大変名誉なことだと感じております。ただ今回捧げた聖歌はモリア様を称える歌でしたので、違う宗教の歌があるなら、違う神様だったかもしれませんね」
「えっ!貴女達の信仰心に答えるために降臨して下さったのじゃないのですか?」
「そんな物は持ち合わせていませんが、私達は無神論者ですから、」
「えっ!貴方達は自分の歌の力だけで神を降臨させたと?他の神も呼び出せると?」
「私達シャーマンじゃありませんよ、呼び出せるとか止めて下さい」
「失礼しました。」
「時間がありません、次の質問お願いします。」
「他の宗教を信じる人々の中には、自分達の信じる神様が唯一神だと、貴女達の呼び出したものは神では無いと言っていますが、それについての考えをお聞かせください。」
「恐ろしいですね、この国が私達を守ってくれる事を期待しますわ」
「そちらは大丈夫だとは思いますが、教皇様も最高指導者と電話にて今回の件についてお話をされたみたいですし」
「先程お話しましたように、私達は無神論者です。宗教の事は分かりませんので、次の質問お願いします。」
「世界が貴女達5人に目を向けていますが、芸能界デビューされるのでしょうか?」
「しませんが、」
「人気出ますのにもったいない、貴女達の歌声を聞いてみたいと言う人が多いのですよ」
「YouTube配信なんかは、たまにしていきたいので、そちらを見て下さい」
「最後の質問になります。神様が降臨された時、貴女達はどのような状態だったのでしょうか、意識を失う事は無かったのでしょうか?」
「普通に歌っていましたが、降臨されていた事も知りませんでした。」
それでは時間になりましたので記者会見を終了させていただきます。
報道関係の皆様もドームでのコンサートをお楽しみください。
小さなステージが用意されており、そこで5人が歌うだけだと思っていた。ドームに訪れていた人々は驚愕してしまう。
そこには大きなステージが設けられており、一流スターの公演が行われるのではないかと思わせる雰囲気であった。
「観客の皆様にお願いいたします。柵内には入らないで下さい。この境界線を越えられますと、神様が降臨された時に意識を持っていかれます。今回のイベントは神様降臨イベントです。ご協力お願いします。」
ハッキリ、降臨イベントとアナウンスが流れる。
会場の聴衆に来た人々は驚いてしまう。
ドーム内の明かりが落ちコンサートが開始された。
一瞬に会場は宇宙に変わり、大艦隊の戦闘が行われる。
迫力の演出に度肝を抜かれる観客たち。
彼女らに向かって戦闘機が何機も攻撃を仕掛けてくる。
会場はジュエル組により大ホログラム会場に作り替えられていた。
5人の少女の一番地味な丸眼鏡の少女が、メガネを外しおさげの髪がほどけた時にそれは起こった。黒い髪の毛がプラチナゴールドに輝き重力を無視したようにゆらゆら揺れだす。
その姿はまるで女神であった。
さぁー銀河の歌姫、ジュエルのコンサートの開催である。
彼女達はマク○スの映像マルパクリで銀河の歌姫第一部を終了した。
第二部は会場のホログラムはオペラハウスでネヴァー・イナフで観客の心を掴む。
今回は歌唱力抜群の歌を選び講演する。
会場は豪華客船に変わりセリーヌ・ディオンのマイ・ハート・ウィル・ゴー・オンを歌った。
後2曲歌い、ただの歌い手ではない事を知らしめる。
第三部がいよいよ本番である。
草原にたたずむ小さな教会、彼女らは修道女の姿で朝の礼拝を行い祈りの歌を歌いだす。会場は一変して神聖な聖域に変わって行く。
澄み渡る聖女の歌声は人々の心に癒しを与えていく。
会場の観客も思わず手を組み神に祈るのであった。
1曲目の神への祈りの歌が終わった。2曲目を歌いだしたときにそれは起こった。
ドームの屋根をすり抜ける様に神が降臨されたのだ。
「我はレーベル、宇宙を司る女神、貴女達の歌声は神域に広がりました。美しく清い乙女達よ、願いを言うがよい、」
「神様願いは何一つ御座いません。私達は生きる喜びを何時も神に感謝するだけです。」
「フム、美しき心よな~分かった。この会場に居るものの病気を治してやろう、苦しい病から解き放たれ生きるがよいぞ」
「ありがたき幸せ」
神が降臨された時、遥上空には無数の天使が待っていた。その神々しい風景を見て手を組んで頭を垂れた者達も病が癒された。
神降臨コンサートは無事に終了した。
各テレビ局が放送したコンサートを見ていた視聴者は、神降臨もホログラムだと、全てまやかしだと噂が流れた。
でも会場に訪れていた3万の人々は、とてもホログラムだとは思えなかった。
あの神のオーラを見た者達にとって、湧き上がる幸せを抑え込めなかったのである。
テレビ局の殆どは神降臨はホログラムであったと報道する。
その場に居た取材人がいくら訴えても信じては貰えなかった。
それでも世間を騒がせた。騒動である為、取材人はあの場に居た観客を探し出しインタビューするのであった。
偽物だったと話を聞くために。
「どうでした。今回イベントに参加されたのですよね~チケット代は2万だったと聞いていますが、高すぎませんでしたか?」
「そうですね、もう少し安ければ、家族みんなを連れて行きたかったです。もっとも安ければ応募が増えて私もいけなかったかもしれませんが」
「えっ!神降臨を信じておられるのですか?」
「あぁ~世間では偽物だったと騒がれていますからね~愚かな人たちです。私は大人だったために招待客からは漏れましたが、それでも身障者割引がありましたから半額で参加できました。」
「身体障害者割引?」
「そうです私は車椅子で生活をする身障者だったのです。コンサートが終わり翌日には歩けるようになっていました。」
「えっ!歩けるようになったのですか?」
「そうです。奇跡です。医者も驚いていました」
「失礼ですが偶々では?」
「そう思われるならそれで構いません、偶々で治る病気ではなかったのですがね、ともかく貴方達の放送を見ていると、あれは嘘だった。多額の金を巻き上げた詐欺だとしたいようで、心が痛んでしまいますよ」
「実際に懸命な学者先生はあれはホログラムだと言っておいでになりますから」
「自分達の都合のいい見解を述べる学者だけに聞いているのじゃないのですか?」
「そんな事はありません」
このインタビューは流されることは無かった。
偽物であれ、あの歌声は本物である。
そしてあのホログラムはどうしたのかは誰も分からない。
私も次のコンサートであれを取り入れて欲しいと言うミュージシャンに、あんな技術はまだ開発されていません。革新的な技術です。
広告業界もあの技術があれば立体サイネージが可能だと獲得に乗り出す。
そしてドーム上空に輝きを放っていた物の正体が明らかになって来る。
鮮明な写真がネットに流れ出したのである。
それは人類が思う天使そのものであった。
今日もワイドショーはその話題でにぎわうのであった。
学校の周りは招待をした政治家先生の力で、取材人は一切近寄れない。
彼女らの学校での生活は同級生がアップする写真や動画位しかなかった。
「ジュエル、どうしてくれるのよ~偽物扱いされているじゃない私達」
「だよね~ホログラムなんか使うから疑われたのよ」
「貴方達もノリノリだったじゃんか、何か不都合がおこれば全て私のせいにするのやめてよね」
「どうする?違う星に行く?」
「ダメよまだ美少女戦士しなくてはいけないのだから」
「それ、悪い結末しか見えないのですけれど」
「そうよね、ろくな結末しか想像できないわ」
「ダメでも私達は新しい事に挑戦して行かないと、みんなに飽きられるの。」
「分かったわよ、ともかく美少女戦士頑張りましょ」




