作業の指示の変更
昨日今日と、魔道具関係の仕事を中心にしていた。
昨日は、ディスプレイタイプの魔道具など、家電を模した魔道具を中心に作り、
今日は、ドローンタイプの魔道具や道路工事の作業員の護衛用の巨大魔道具を中心に作った。
そんな魔道具漬けだった仕事も終わり、風呂に入って、今は領主様の屋敷で夕食を食べている所だ。
「そう言えば、言っていた学校 出来上がったんだね?」
「はい。やっと今日 開校出来ました。正式な開校は明日としようと思ってるけど、仕事をしている人達は、仕事が終わった後じゃないと、学校に来れないだろうから、今日から試験運用で始めても良いかなって思ってさ」
「よく解らないけど、何にしても始められて良かったよ。でも、誰が教えているんだい?アユムはここに居るけどさ?」
「ああ、これだよ」
実は、領主様の屋敷の食事をしている部屋に設置したディスプレイにも、学校に設置したディスプレイと同じ機能を持たせてある。
領主様が学びたいと思った時に、ここで学べる様にだ。
領主だから、一応 他の人と一緒と言うのは、問題が有るだろうからね。
自宅に取付けたディスプレイにも、同じ様に学習用途に使える様になっている。
「この人は誰だい?」
「このディスプレイの中だけに存在する人?だよ。人って言えるのかな?まぁ・・・ 実在してない人みたいな存在だよ」
現実の人物と遜色ないCGで、それが人と変わらない感じで画面内で動き、人と全く同じ受け答えをする人工知能だから、こっちの世界の人達には、実際に居る様に思えてしまうだろう。
人では無いのを説明するのは、極めて難しい。
「居ないの?居るの?」
『私は、この中だけでしか存在しません』
人工知能が答えた。
「えっ?人じゃないの?」
『はい。人ではありません。人を模した存在です』
「人にしか見えないねぇ・・・・・・」
『ありがとうございます』
「先生のお名前は何というのでしょう?」
『私は【育子】と命名されました』
「ほうほう・・・ いくこ先生ですか?」
『はい。そうです』
「これから宜しくお願いします」
『こちらこそ宜しくお願いします』
「まぁ・・・ これから学習に役立ててよ」
「ああ、アユム ありがとう」
食事も終わり、四人と自宅に帰る。
「で、また一人で行くんだよね?」
ナノが不機嫌そうに言う。
「あ、ああ、まあ・・・ まだやりたい事が残っててね・・・・・・」
「早く帰ってよ?」
ピコも不満そうだ。
「はい。善処します。あ、気が付いているだろうけど、ここにも読み書き算数とかが学べる様に、ディスプレイの魔道具を取付けて有るから」
「ありがとう」
「私もうれしいよ」
ピコだけじゃなく、フェムトも喜んでくれた。
ナノやテラは・・・・・・
微妙な反応だな。
「じゃあ、また少し行ってきます」
「「「「いってらっしゃい!」」」」
車で貯蔵庫付近の駐車場に到着。
学校や公衆浴場の利用者に見られ難い、岩山の崖の陰になっている所で、セルを集めた。
先ず、いつもの様に、セルに樹脂糸を布地を作るのに必要な量を吐き出させる。
そして、これまでと異なる指示をする。
貯蔵庫の一角に建てさせた石造りの密封された小屋に、樹脂でのコーティングと、それが乾燥した後に、そこに出来るだけ沢山 塩を吐き出しておく事を命じた。
次に、工事車両の駐車場の一角に建てさせた木造の小屋にも、樹脂でのコーティングと、それが乾燥した後に、そこに出来るだけ大量の樹脂糸を吐き出しておく様に命じた。
正直 貯蔵庫も完成し、公衆浴場の拡張も終わり、学校も完成した今、道路工事が進まないと、あまりセルにさせる仕事が無い。
さっき指示をした塩や樹脂糸以外では、精々夜の間に、道路工事予定地に潜む、危険な害虫害獣やトゲや毒などを持つ有害植物の駆除程度でしか、させる事が無い。
何故なら、今も学校に照明の魔道具が灯り、作業員を中心に、何人かが勉強をしているからだ。
公衆浴場自体は、そんなに夜の利用者は少ないが、休憩所には人が何人か居て、ディスプレイでの映像を楽しんでいる。
村の周囲の塀よりも、この岩山の崖下に作られた公衆浴場や学校の周囲に作られた塀や堀の方が、圧倒的に安全な状態になっているからだろう。
塀は、重機の魔道具を使い、太い丸太を使って、五メートル平均位で、高く作って貰った。
その外周には、幅三メートル、深さ五メートル程の堀が作ってある。
塀と堀の合計の高さが、約十メートルになるので、かなり巨大な魔物でも、簡単に越えて入る事は出来ない。
堀の中には、やはり水が流れる程になったので、村人達は俺が蛟と呼んでいる竜が棲みつく事を心配していたが、駆除するから心配無いと説明をして、納得して貰った。
そして、その堀の中には、カニを捕まえてきて入れて養殖している。
半陸生の貝やカエルも養殖をしたかったが、
半陸生の貝は、寄生虫の被害の拡大の危険性から、今回は止める事にした。
カエルは、危険な蛇の増加の可能性が有るので、同じく今回は止めた。
まあ・・・・・・ 半陸生の貝やカエルが、勝手に増えてしまうかも知れないけどね。
これで、村との直通の安全な通路が完成したら、より利用者が増えるだろう。
セルには、村の移転先の土地までの間の危険な動植物の排除を、特にしっかりやって貰わなきゃならない。
これまでは、山側を中心に、セルに駆除をさせていた。
何故なら、村の移転先の土地の方向に、村人達は行こうとしないからだ。
その方向には、平地が広く在る。
最初は野原や林が広がり、その辺りまでは、そんなに危険性は無いそうだ。
しかし、その野原や林を抜けると、湿地帯が広がり、その先には幅の広い川が流れている。
その湿地帯や川が、極めて危険なエリアなのだ。
これまで、その方向の駆除は、平原や林位までの近場の危険な動植物の駆除をさせていた。
湿地帯には、村人達は行かない訳だし、湿地帯を好む動植物は、そこからそうそう出る事は無いのだから、わざわざ遠出させてまで、駆除をさせる意味が無い。
でも・・・・・・
そこに道路を通して、その先に村を作るのなら、話は別だ。
その方向に飛ばしたドローンの映像を前に確認した時・・・・・・
湿地帯には草が生い茂っていて、安全になれば、良い食料を育む土壌になってくれそうだが、巨大なワニや大蛇が映り込む事も有る程に、格段に危険な生物が確認出来た。
その先の川には、海岸に行った時の様に、巨大なワニが日光浴をしていた。
村の移転先は、その川を渡った中洲の様な広い平原や湿地帯の土地だ。
当然 そんな土地は、巨大ワニなどの危険が高い。
でも、周囲の川に対して、巨大な塀で囲う事が出来たら、川が天然の堀となり、逆に魔物の群れに襲われ難い場所に変わる。
しかも、そこには【基地局】が在る。
【基地局】は魔力の供給元でもあるから、魔道具を十全に使い易くなる。
ただ・・・・・・
そこに向かう道路の工事は、湿地帯の手前までで、一旦 停止して貰う予定だ。
安全な工法で、道路を作れる状態になってから、湿地帯から先の工事はして貰う。
でも、セルに湿地帯の危険な動植物の駆除は、それまでの間に、しっかりやっておいて貰うけどね。
とは言っても、セルが駆除可能な生物は、犬猫位までの大きさの物までだけどさ。
そんな感じで、将来の予定を踏まえて、セルに作業を指示してから、車で自宅に帰った。
同じ世界を舞台にした「異世界『ながらタブ』事情 《異世界タブレット端末普及推進奮闘記》」も書いています。
読まなくても困りませんが、読むとより状況が解ります。




