捧げても供えても何の御利益もありません!
異世界に来てから働き詰めだったので、今 三連休中だ。
本当は、一昨日昨日と休んだので、今日は仕事に復帰する予定だったんだけど、部下のシュラに休んで無いと怒られて、今日も休みにさせられた。
だから、しっかりと休んでる。
うん。午前中は動画共有サイトを作って、そこにアップする動画を作ってたけどね。
これは仕事じゃ無い。趣味でも無いけど・・・・・・
作ってた動画は、衛生に関する事や読み書き算数を教える実用的な内容だけどさ。
シムが言うには、精神的な疲れが出るって話だったけど、頭が重いのは、多分 気のせいだろう。気にしたら負けだ。
うん。俺的には、仕事と思ってないから、絶対にセーフだ。
馬技に乗って、携帯電話の店まで移動する。
理由は、俺に捧げられた料理を少し分けて貰う為だ。
うん。言葉として破綻している気はする。
俺のだよね?でも、毎日 作業員の昼食になっているから、それを食べるのは気が引けてしまう。
「アユム様!珍しいですね?こんなお時間に村にいらっしゃるなんて」
前に携帯電話の店で俺に料理を供えてくれた女性に声を掛けられた。
「うん。そうなんだ。今日までの三日間 お休みを貰ってね」
「そうなんですか?良かった。村の者は心配してました。ずっと村の為に頑張られていらっしゃるから・・・・・・」
「えっ?全然 大丈夫だよ。大した事はしてないし・・・・・・」
「えっ?・・・・・・」
信じられない事を聞いたって顔で見られた。
いや、そんな顔をされても・・・・・・
そんな感じで話してたら、周りに人が増えていた。
「これからどちらに?」
「あ、昼食に携帯電話の店に供えて貰った料理を受け取りに行こうかなって・・・・・・」
「それでしたら!それでしたら、私が!私がご準備します!いえ、させて下さい!!」
「えっ?良いの?」
「はい!アユム様に確実に食べて頂けるなんて、そう機会のある事では無いですから!」
「それズルい!私が!私がご準備しますよ!!」
「いや、うちの嫁に準備をさせますよ!お待ち下さい!」
「いやいや、何を言ってる!?ここはうちが準備をするぞ!!」
「はぁ〜?最初に言ったのは私です!」
「最初とか関係無いし!」
「アユム様は私が作った物を食べたいと思われてる筈です!!」
「うちの嫁が作った料理は最高なんだぞ!!」
「いや!うちのが一番だ!!」
あれ?集まった村の人達が・・・・・・
「あ、あのぅ・・・・・・」
どうしよう?どう場を収めれば良いんだ?
「どうしたんだ?あっ!アユム様!」
「アユム様の食事の準備をするのがどの家かって話をしてんだ!邪魔すんな!!」
「はぁ〜?それならうちだろう!!」
「まぁまぁ・・・ それなら間を取って、うちが準備をしよう」
「はっ?ふざけんな!!」
「あのね?みなさん?」
「あ、アユム様!うちで作ってた料理をお持ちしました!」
「あっ!こいつ抜け駆けしやがった!!そんな粗末な物をアユム様にお出ししてんじゃねぇよ!」
「あ、ありがとう。いや、粗末って・・・・・・」
「アユム様 待ってて下さい!直ぐにうちの料理もお持ちします!!」
「それならうちのも持って来ますから!!」
「おう!うちのも持ってくるぞ!お待ちになって下さい!」
「「「「うちのも持って来る!!」」」」
「あ、ありがとう・・・・・・」
あれ?一人が持って来てくれる料理の量だけでも、数人分の食事の量なんだけど、あれ?今 十人位 人が居なかったか?
えっ?俺に数十人分も食べろと?
あれ?なんでこうなった?
あれ?携帯電話の店で少し供えられた料理を貰うだけの予定が、どうして大量の料理を受け取る事になったんだ?
でも、もう断れない雰囲気なんだけど・・・・・・
凄まじい圧の空気を感じるんだけど・・・・・・
これ空気を読まずにスルーしたら、殴り合いの喧嘩が起きそうな雰囲気なんですけど・・・・・・
「お待たせしました!」
そう言って、次々と村人が料理を持って来てくれる。
俺は「ありがとう」と受け取るしか出来なくて・・・・・・
そう頭が事態を理解出来なくて、オロオロとしている間にも、俺の馬技の周りには、村人達が持ち寄った料理が、捧げ供えられていた。
えっと・・・・・・
うん。諦めよう・・・・・・
でも、どうやって持って帰ろう・・・・・・
「うーん・・・・・・」
「どうされましたか?」
「いやね。どう考えても、みなさんが持って来てくれた料理が、この魔道具の馬技に載らないんだよね」
「そうですね。失礼しました。アユム様のお家にお持ちしますよ」
「いや、一度帰って、自宅に有る安徒に乗り換えて戻った方が早いから、乗り換えてくるよ。その間 この料理を見ててくれるかな?」
「はい!もちろんです!」
凄く良い笑顔で見張りを引き受けてくれた。
「じゃあ、乗り換えてくるね」
「「「「「「「「「「「「いってらっしゃい!」」」」」」」」」」」」
うーん・・・・・・
自分が食べるだけの昼食なのに、何故か馬技に載せきれない程の量にって・・・・・・
どうしてこうなった?
自宅に戻ると、急いで安徒に乗り換えて戻った。
うん。急いで乗り換えて戻ったんだよ。
うん。どうしてこうなった?
うん。本当に、どうしてこうなった?
何故 戻ったら、供えられている料理の量が、倍に増えてるの??
しかも、お花とかも供えられてるし、俺は亡くなって仏様にでもなったのか?
あれから、そんなに経ってないよな?
見てくれてた人に、理由を聞くと、携帯電話の店に料理を供えに行こうと思ってた人達が通り掛かって、そのままその料理をこの場所に供えたそうだ。
うん。こんなに食べ切れないから・・・・・・
周囲の人達も手伝ってくれて、供えられた料理を安徒に積む。
そのまま・・・・・・
予定通り、携帯電話の店に向かう。
だって、こんな量を一人で食べられないよ!!
「よっ!お疲れ様!」
「あ、アユム様!お疲れ様です!」
「あれ?一人?」
携帯電話の店にはサクヤ一人しか居ない。
「はい。交代で食事休憩してます」
「そうなんだ?まあこの時間は落ち着いてるだろうしね」
「アユム様のご要件は?」
「あ、聞いてるだろうけど、今日 休みだから、食べ物をココに取りに」
「あっ!はい!お好きなのをどうぞ!」
「いや、そうじゃなくて・・・ね。ココに取りに行こうとしてたら、途中で村の人達に料理を貰っちゃってさ・・・・・・ 多過ぎだから、食べ切れない分は、ココに置いておこうと思ってさ」
「あ、そうだったんですね」
「うん。車から降ろすよ」
「えっ!?そんなに!?」
「そうなんだよ。絶対 一人じゃ食べ切れないよ」
「そうですよね。生き神様でも、流石にこの量は・・・・・・」
「いや、生き神様じゃないよ」
「えっ?」
「えっ?!」
そんなやり取りをサクヤとしながら、大量の料理を車から降ろして冷凍庫に入れた。
そして、ある事に気が付いた。
「うーん・・・・・・ 全く蛟の身の香りがしない・・・・・・」
そう、旨味たっぷりの身肉で、料理に使うと、かなり特徴の有る香りのする、蛟の香りがしない。
「ミズチ・・・ ですか?」
「そう、昨日 採った蛟の香りが、料理から全くしない」
「そのミズチってなんですか?」
「ああ、この辺りだと【竜】って呼んでるんだっけ?」
「あっ!?昨日 アユム様が大量に駆除したって竜ですか!?」
「そうそう、その竜だよ」
「あー・・・ 私も食べてません・・・・・・」
「どうして?美味しいよ?」
「そうなんですか?いえ、そんなの食べた事が無いですから・・・・・・」
「ああ、領主様の所の理由と同じか・・・・・・」
よし!それなら、何とかなるだろう。
その為にも・・・・・・
「サクヤ お願いが有るんだけど」
「はい。何でしょう?」
「スマートフォンの新しいサービスを始めたんだ。それを村の人達に利用する様に勧めて欲しいんだけど・・・・・・」
「えっ!?どんなのですか?」
「自分のスマートフォンを見てご覧」
「あっ!何だか新しいアプリが増えてる!?」
「そう、その新しいアプリの赤い方を、タップして起動してくれるかな?」
「こうですか?」
「そうそう。後は、適当にいじってたら、使い方は解る筈だから」
「そうですか?これは何だろう?」
「それは、公衆衛生を教える動画だね」
「こうしゅうえいせい?どうが?」
「うん。まあ、観てよ」
「あっ!何か動いた!誰です?人がすまほの中に居ます!」
「色々と教えてくれる先生だよ」
「はぁ・・・ 先生・・・・・・」
「こうして動画で色んな事が学べる様になってるから、村の人達に観て欲しいんだ」
「解りました!村の人達に勧めます!」
「うん。よろしくね。じゃあ、帰るよ」
「あ、はい!お疲れ様です!」
さて、帰ってからやる事が出来た。
なかなかゆっくりしてられないなぁ・・・・・・
いや、ゆっくり休んでるっての!
休んで無いって認めたら、またシュラに怒られんじゃん!
のんびりやろう。うん。
同じ世界を舞台にした「異世界『ながらタブ』事情 《異世界タブレット端末普及推進奮闘記》」も書いています。
読まなくても困りませんが、読むとより状況が解ります。




