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異世界 『ながらスマホ』事情  作者: 一等神 司
第二章 スマホ中毒者から始まる文化大革命
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異世界の水辺はどこもが異世界らしかった

異世界の海は凄まじかった。

本当に凄まじかった。

何がって、人が足を踏み入れて、生き残れる訳が無いって、そんな環境だった。

元の世界で、人食いワニとして定番のイリエワニより、ずっと体のデカい、絶対に十メートル超えの巨大ワニも含め、超巨大な肉食の水生生物が、砂浜を埋め尽くしていた。

ワニは、二十メートルまでは無いが、大多数は十メートルを、楽に超えている。

何しろ、ワニの頭だけで、普通車並みの大きさだ。

それが何十頭も、砂浜で寝そべっている。


しかも、元の世界の首長竜とそっくりな、海棲爬虫類や幅が一メートル超えの巨大なヒレを持つ、多分 サメの一種だろうって魚影も、偵察飛行させたドローンのカメラに映っていた。


海水を手に入れられたら、塩やにがりが手に入ると思っていた俺は、この世界の恐ろしさを、全く理解していなかったんだなって思う。


今は、この世界の海を確認が終わったので、帰り道を車で走っている。




「あのさ?こうなったら、山の中の水辺にいるって言う、他の竜も確認したいんだけど、帰り道の途中で、居そうな所ってない?」

毒を食らわば皿まで じゃ無いけど、海のヤバさが俺の予想を遥かに上回っていたのなら、ついでに山の中の水辺にも居ると言う、別の竜も確認しておきたい。

どんな魔物なのか、それさえも知らなきゃ対策を立てられないからね。


「有るけど行くんですか?」


メガが不満そうに答えてくれた。


「ああ、魔道具(まどうぐ)のドローンを使ってなら、安全に見る事が出来るだろうからね」


「なるほど!それなら賛成です!!」


シュラがほっとした様子で応えてくれた。


「それなら良いかな?」

「御主人様なら直接 見に行っても大丈夫だろうけど、魔道具(まどうぐ)を使うなら、絶対に大丈夫だな」


残りの二人も賛成してくれた。


「じゃあ、案内しますぜ」



・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・



それは、鬱蒼と木々が茂る森の奥に在る、湖と言っても良い位の大きな池って感じの場所だった。

今 立っているのは、メガもよく来ている、少し池から離れた、地面が若干 泥濘んだ場所で、

メガは、この場所でカニや半陸生の貝などを採っているのだそうだ。


「このカニが絶品なんです」


とは、この場所に居たカニを指差してのメガの言だ。

淡水性のカニなのに、どのカニも甲羅の横幅だけで、20〜30センチ程の大きさが有る、巨大なカニだ。

その割には、ハサミはそんなに大きくは無い。


「この貝も美味いんですぜ」


サザエよりも、更に一回り大きなカタツムリ?半陸生の巻貝を手で掴み、それを持ち上げて、メガが見せてくれた。


「美味いのか?甲殻類と軟体動物かぁ・・・ 養殖がしやすい生き物だから、人工的に繁殖させて、安定した食料に出来ないかな?」


「よしょく?はんしょく?ですか?よく分からないですけど、美味いから安定した食料になると嬉しいすっね」


「まあ、先に安全な街を作らなきゃならないけどね」


「街を作るって、前から言ってますよね?出来るんすか?」


「その為の巨大な魔道具(まどうぐ)だよ。多分 アレが有れば出来るって願いたいね」


「まあ、アレが有れば楽ですけどね・・・ おっ?こいつも美味いんですよ!」


今度は鶏サイズの巨大なカエルを捕まえて、メガが見せてくれた。


「それも養殖出来ると良い食料になるかもね・・・・・・」

実際 食用ガエルってのが、元の世界でも存在するしね。


他の三人も、カニなどの獲物を捕まえている。


ドローンタイプの魔道具(まどうぐ)が、池の中に、何か巨大な影を見付けて、映像を送ってきた。

それは、蛇の様に細長く、本当に竜と納得出来る程の巨体が、水中を泳いでいる様だ。

それをしっかり映そうと、ドローンの高度を下げさせたその時だった。


『バシャンッ!!』


水飛沫を上げて、水中から何か巨大な生き物が、ドローンに食らい付こうとして、水面から数メートルも、伸び上がって来た。


それは、俺の知る竜とは、全く異なる姿をしていた。

特に、違ったのは、その口の形状だ。

その巨大な細長い生き物は、口が横に裂けておらず、縦に口を開いていた。

俺が知る中で、そいつの姿に近い物は・・・ 一番 適切な姿に対する表現は、【エイリアン(・・・・・)】しか思い浮かばない。

池に出来ていた影の大きさからすると、この竜と呼ばれている生き物は、少なくとも十メートル以上の長さが有りそうだ。

ヌメヌメとした鱗の無い体表、目は有るのかよく分からない。

灰色と茶色を混ぜた様な体色に、縦に開く巨大な口には、縦に列んだ歯が見えている。

ヒレの様な物も、手足の様な物も、空中に出した部分には見当たらない。

目やヒレの無いウナギっぽい姿だ。口の形状が、悪魔と天使くらいの差で、全く違うけれど・・・・・・


しかも(・・・)


一匹の竜に刺激されたのか、何匹もの同じ位のサイズの竜が、水面から数メートルも空に向かって体を伸ばして出してきた。


十匹以上にはなるだろう。


「こいつらです。こいつらが水辺に居ると、いきなり水中から襲ってくるんです。しかも群れで・・・・・・」


シュラが教えてくれた。


「何なんだ?こいつは?魚でも蛇の様な爬虫類でも無い。本当に気持ち悪い姿をしてるな・・・・・・」


「竜ですよ。ミズチとも言われてます」


「俺の知識では、竜より(ミズチ)の方が近いかな・・・・・・」


「そうですか?こいつら、兎に角 恐ろしいんです。もっと小さいのとか、色んな大きさのヤツがいて、小さいヤツも水場で手を水に入れていると、ガブリと食い付くんです。もちろん、群れで・・・・・・」


「小さいのだと、どの位の大きさなんだ?」


「小さいと、この位ですかね・・・・・・」


シュラは両手を広げて、その広げた両手の長さ位だと、教えてくれた。


「駆除するしか無いかな・・・・・・」


「水の中に居るのに、出来るんですかい?」


メガが渋い顔をして言ってきた。


「出来なきゃ人類は繁栄出来ないよ」


「そうでしょうけど・・・・・・」


四人共 暗い顔をしている。


「何か手を考えるよ。やらなきゃ飲水の確保さえ大変で、当然 田畑もまともに出来やしないからさ。それに、これから工事でも水が必要になるしさ」


「アユムさんなら・・・ 可能・・・ なの・・・ かも・・・・・・ って、期待してしまいますね」


「まあ、頑張るよ」


この世界には、海だけで無く、山の中の水辺にさえ、恐ろしい生き物が居るって解った。

全部は無理でも、ある程度 駆除をしなきゃ人類に未来は無いのかも・・・・・・

そう思うと、ため息が出た。


自分の認識が甘かった事を痛感しながら、巨大なカニや貝やカエルを車に積み込み、村への帰り路を進んだ。

同じ世界を舞台にした「異世界『ながらタブ』事情 《異世界タブレット端末普及推進奮闘記》」も書いています。

読まなくても困りませんが、読むとより状況が解ります。

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