寝具と計算外の不足の事態
今日は、朝からずっと巨大な魔道具を夕方まで作り続け、本当に疲れた。
しかも、昼間の仕事を終えて、公衆浴場で寛いでいたら、巨大な魔物が出たとの報告が入って、急いで現場に行ってみたら、それは俺が朝から苦労して作った巨大な魔道具だったと言う、哀しい結果だった。
そして、さっきまで、貯蔵庫の所で、この世界の古代文明の遺産と言える、疑似生命体のセルに、色んな仕事を指示していた。
今は、自宅に帰り着いて、これから魔道具作りを始める所だ。
本当 この世界に来てから、ずっと働き通しって気がする。
「うん。良い感じだな。肌触りは悪く無いけど、やっぱり化繊の布地っぽい感じで、ツルツルだけど吸湿性とか無さそう・・・・・・」
作業部屋に入って、最初に始めたのは、朝 セットして置いた編機が自動で織り続けてくれた、セルの樹脂糸を織った布地の確認。
この世界では、粗末な布地しか無い様で、これから先 色々と布地関係で困りそうだった。
で、無ければ作れば良いって事で、簡単に大量に手に入る、セルの樹脂糸を使って、布を作った。
まだ実験段階だけど、これなら早目に実用化出来るかもね。
そんな出来の良さだ。
「さて、次は、明日 必要な魔道具作りだな。大きさ的には、ガロンの所のよりもかなり大きく作った方が良いよな」
昼間に作っていた巨大な魔道具に較べれば、そんなに作るのは大変な物では無い。
ただ、運ぶ事も考えなきゃならないから、大きく作りたいけど、その大きさに限界が有るのが問題なだけだ。
仕方が無いので、心臓部だけ作って、残りは取り付けの時に作る事にした。
でも明日 取り付けられる所まで行くのかな?
まあ、それは領主様次第かなぁ・・・・・・
「さて、もう寝るか・・・・・・ って!何だ!?この状態!!」
暗くなったら寝る習慣のついている四人は、既に寝息を立てている。
立てているけど・・・・・・
流石に図々しくないかい?
見るからに俺が寝ている中央の部分を取り合ったんだろう。
うん。取り合ったんだろうとは、思うけど・・・・・・
明らかに、取り合いに疲れて、そのまま寝たよね?
俺の寝るスペースはどこ?
俺は、四人の女の体をベッドにして寝なきゃならないのか?
「せめて俺が寝るスペースは、残して置いてくれよぉ・・・・・・」
手に握り締めた白い布地が虚しい。
そう、作った布の最初の用途は、寝具のシーツだ。
やっと満足した寝心地の物が出来るかと思ったのに、その希望は打ち砕かれた。
空いているマットレスにシーツを掛けて、寂しく横になった。
この【寂しく】は、一人寝って意味での【寂しさ】じゃない。
苦労して作ったシーツを、本来の寝床で使えなかった事の【寂しさ】だ。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「おはよう。アユム どうしてそんな所で寝てるの?」
「おはよう。フェムト それはね?君達が俺のマットレスを、寝る所を埋めてたから、端で寝るしか無かったんだよ」
「えっ?真ん中に来れば良かったのに?」
「そんな無理だよ」
「おはよう・・・・・・ どうしたのアユム?」
「おはよう。ピコ 何でも無いよ」
「アユムが寝る場所が無かったってスネてるの」
「えっ?そうなの?」
「うん」
「間に入って来れば良かったのにね」
「うん」
「だから、そんなの無理だって!」
「「えーっ!?一緒に寝たいよぉ」」
「もうご飯にするよ!」
寝心地は悪くは無かった。
もう少しマットレスが固かったら、もっと良かったかもだけど、この世界に来て、一番 気持ち良く寝れた。
でも、気持ち的に・・・・・・
だから、少し機嫌が悪い。
本当に俺が好きだって言うのなら、俺の寝る場所位、ちゃんと空けて置くだろう。
「おはようございます。御主人様」
「おはよう。テラ」
「おはよう!アユム!」
「おはよう。ナノ」
「アユム 何か変!!」
「そんな事は無いよ」
この二人は、俺のマットレスの真ん中で寝ていた。
「御主人様 どうかしたか?」
「何でも無いよ。さっさと食べて仕事に行こうよ。俺は今日も早く出るよ」
「「「「えーっ!?」」」」
「忙しいんだって。ガロンの所に行かなきゃいけないからさ」
「「「うん・・・・・・」」」
「御主人様 無理しないで」
「ああ、ありがとう」
自宅を出る前に、作業部屋に寄る。
編機が作った布を外し、新しい糸をセットしてから、昨日 作った魔道具を持って、ガロンの所に行く。
「おはようございます。ガロンに話が有ってきました」
「おはようございます。上がって待ってて下さい」
「はい。じゃあいつもの所で待ってます」
領主様の所の使用人には、もう俺の対応は慣れたものだ。
「おはよう。アユム どうしたんだい?」
「あ、おはようガロン。あのさ、そろそろ読み書き算数を教える学校を作りたいんだ。空いてる所は無い?」
「ああ、前から言ってる話か・・・・・・ うーん・・・・・・ 今は大きな空き家が無いんだよ。ほら、空いてる家は、元山賊の仮住まいになってるからさ」
「あっ!そっか?!そりゃ無いよね?でも、そろそろ始めないと、村の人達がスマートフォンを上手く使えないからさ・・・・・・」
「うーん・・・・・・ それなら、この村の中に新しい建物を作るか、貯蔵庫や公衆浴場の在る辺りに作るかしたらどうだろう?」
「新しくかぁ・・・・・・ そうなると、この村の中より、貯蔵庫や公衆浴場の辺りの方が、土地は余裕が有るよね・・・・・・」
「そうだね。村人は、今ではお風呂に毎日の様に入るのが、普通になったから、みんなあの場所に通ってるしね」
「そうなると、やっぱりあの場所が一番 良いのかなぁ・・・・・・」
「そうだね・・・・・・」
空いている建物を使って、学校を作ろうとしたら、建物を自分で建てると言う、ゼロから作る事になってしまった。
まぁ・・・・・・
どっちにしても、あの場所は外構工事などして整備するから、建物を建てやすいと言えば、建てやすい所なんだけどね。
作り掛けの魔道具は、学校に使う建物を建ててから、続きを作る様だね。
同じ世界を舞台にした「異世界『ながらタブ』事情 《異世界タブレット端末普及推進奮闘記》」も書いています。
読まなくても困りませんが、読むとより状況が解ります。




