沢山の魔道具の取付工事
はぁ・・・・・・
朝が来た。やばい。ちょっと働き過ぎなのかも知れない。
肉体的な疲労感は無いけど、起きてため息が出てしまう。
余りにも、やらなければならない事が多過ぎて、ゆっくり出来る時間が無い。
唯一 ゆっくり出来そうな入浴の時間さえ、三人娘などに邪魔されてしまう。
昨日も早朝から動き出し、ずっと明るい間は仕事をし続けていて、暗くなった後も、照明を点けて魔道具を作っている。
えっと・・・・・・毎日 何時間位 働いているんだろう?
五時頃に日の出だとして・・・・・・
うん。そりゃ領主様やシュラに心配される筈だ。
そろそろ休みを取らなきゃだけど、まだ休めない。
「おはよう」
また昨日も、三人娘とテラは俺の横で寝た。
他で寝るのは、絶対に嫌だと、四人共言う。
「「「おはよう」」」
「ん?ん〜 おはよう」
ナノはまだ眠たそうだが、今日は四人共 起きた。
さて、俺だけで悪いけど、今日も簡単に朝食を摂る。
「ん・・・・・・ 今日は、朝 ガロンの所 ングッ に行くから、ゴクッ 四人共 それぞれ先に仕事に向かって ングッ てよ。ゴクンッ」
食べながら用件を四人に伝える。
「「「「わかった」」」」
四人共 嫌そうだが、仕方が無い。
「おはようございます。早くから、すみません」
「あ、おはようございます。どうされましたか?」
「また魔道具の取付の下準備で来ました」
「ああ、そうなんですか?ガロン様は、まだ支度の途中ですが、上がられてお待ちになって下さい」
「あ、いえ、ガロンに来た事だけ伝えて下さい。このまま台所に向かわせて貰ったら助かります。この後 仕事なので・・・・・・」
「あ、はい。良いですよ。台所に案内します」
「こちらです」
「ありがとうございます」
案内された台所の隅に、持ってきた魔道具を置いておく。
「終わりました」
「あ、それだけなんですか?」
「はい。後は昼間にまた工事しに来ます。絶対に便利な物なので、ガロンにそう伝えておいて下さい」
「わかりました」
どうせ領主様が知れば、欲しがる魔道具だから、これまで食事で世話になってるお礼として、サプライズであげるのも良いんじゃないかな?
俺の事を親友って言ってくれたしね。
そんな感じで考えて、昨日 領主様の所に設置する分を作っておいた。
俺の自宅となった家屋に付けても、台所を全く使ってないから意味無いしね。
正直 俺の為にも、必要な物だし・・・・・・アレは・・・・・・ね。
「おはようございます」
「「「「おはようございます」」」」
「フェムト どう?」
「みんなちゃんとやってくれてたみたいよ」
携帯電話の店に着いて、今日の店員の四人に挨拶をしてから、三人娘の中の今日の当番のフェムトに話を振る。
昨日は、ナノが当番の日だったから、ちゃんと仕事がやってあるか、少しだけ心配だった。
でも、他の三人が優秀だから、大丈夫みたいだね。
「さて、今朝は“こいつ”の説明が有ります」
「はい。昨日 作られていた料理を入れる石の箱ですよね?」
賢いサクヤが応える。
「そうなんだけど、昨日とは違います」
「そうなんですか?」
「はい・・・・・・ 実は、食べ物が腐り難い様に、冷凍して保存可能にしました」
「「「「はい?」」」」
「はぁ?なにそれ!?」
「冷凍庫って魔道具です」
四人共が不思議そうな理解出来ないと言う顔をして、フェムトが質問をしてきた。
「それって、岩山の貯蔵庫に付けた物よね?」
「そう、それの小型版」
「このお店に?」
「そうだよ。昨日 食べただろうけど、村の人達が、毎日 お供えって言って、食べ物を持ってきてくれるらしいからさ」
「冷凍?」
「冷凍したら食べれないよ?」
「凍るの?」
「凍らせる?」
四人共 不思議に思っている様だ。
「うん。食べ物とかを凍らせる事が出来るんだ。そして、外に置いてある物で、温められるんだよ。加熱器を作って置いたからさ」
バッテリーの所にスマートフォンを持って行き、冷凍庫と加熱器を起動させる。
冷凍庫の蓋を開けて
「ほら、こんな感じに冷えるし・・・・・・」
外の加熱器の蓋を開けて
「こんな感じに温められる」
「「「「凄い!」」」」
「外の加熱器は、携帯電話の店の店員や俺の部下の作業員が使ってない時は、村の人達に自由に使って貰ってね」
「「「「はい!」」」」
「村の人が使う時、スマートフォンを持っている人だった時は、この魔道具のバッテリーの所にスマートフォンを近付けて、魔力の補充をして貰ってね」
「「「「はい!」」」」
これで、加熱器の便利さが村の人達に広まれば、自然とバッテリーの魔力が補充された状態を維持出来る筈だ。
「じゃあ、俺は村の外の貯蔵庫とかの様子を見てくるね」
「「「「はい!いってらっしゃい!」」」」
村の出入口に着くと、いつもの様に車に乗って移動する。
道に湧いていたハエなどの虫が、明らかに激減した。
エサとなる魔物の血や肉片などがセルに取り込まれて無くなったし、害虫もセルに捕食させているから、一気に減ったのだろう。
貯蔵庫付近に着いて、車を降りて作業員が集まっている所に移動する。
「おはようございます」
「「「「「「「「「「おはようございます!」」」」」」」」」」
「今日の主な業務を伝えます」
「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
「大半の作業員の人達には、この階段の上の二階部分に貯蔵庫の穴を掘って貰います」
「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
「次に、十名程で大丈夫だと思いますが、今の公衆浴場の周辺に、露天風呂を作って貰います」
「「「「「「「「「「はい?」」」」」」」」」」
「あの?アユムさん 露天風呂とは何ですか?」
シュラが質問してきた。
「露天風呂とは、屋根の無いお風呂の事です。完成図を作ったので、そのデータをシュラのスマートフォンに転送しますから、それを見ながら作って下さい。今 その完成図を、このディスプレイに映すので、みんなで見て下さい」
岩山の平地部の元々の地形を活かした露天風呂の完成図をディスプレイに映す。
「「「「「「「「「「おお!凄い!」」」」」」」」」」
「これで沢山の人が一度に公衆浴場に入っても、狭過ぎる事が無くなります」
ディスプレイの映像を、周辺を巡回するドローンからの映像に切り替える。
「さて、この後 二階部分を工事するのに必要な魔道具を設置しますが、その前に、完成したスマートフォンの契約をしましょうか。これで希望者の半分以上は、スマートフォンを持っている状態になるだろうと思います」
「「「「「はい!」」」」」
「それ以外の人達は、作業の準備を進めて下さい。主にそこに有る糸を綯って、丈夫な縄にして下さい」
昨日 セルに吐かせておいた、樹脂の糸を指差し、それを縄に縒る様に指示をする。
「「「「「はい!」」」」」
指示をした後、昨日一昨日と夜に作ったスマートフォン、それの契約を希望者と行う。
「じゃあ、これで持って来たスマートフォンは全部 契約と説明が終わったね」
「「「「「はい!」」」」」
「それじゃ・・・・・・ 二階部分に新しい魔道具を取付けるかな」
岩のブロックが取り除かれた階段を上がり、二階部分の通路に移動して、昨日作った魔道具の取付を始める。
「あの・・・・・・アユムさん?これは何ですか?」
「これはウィンチだよ。この縄を取付けて・・・・・・」
作業員に縒らせた縄をウィンチの魔道具に取付、一度 巻き取らせる。
「ほう!?凄い」
「で、縄の先に、このフックを取付けて・・・・・・」
セルの樹脂で作った網の上に岩のブロックを載せて、それをフックに掛けて、ウィンチで持ち上げてから、岩山の下にゆっくり下ろす。
「おお!凄い!凄過ぎる!!これなら人が人力で大汗をかいてやってた作業が、楽に早く終わります!」
「だよね?これを全部で六個 この二階部分に取付けるから」
「六個もですか!?あっという間に仕事が終わりますね!」
「そうだね。これが無いのと較べたら、早く終わるだろうね」
「この作業が終わったら、仕事が無くなるんですね・・・・・・」
ん?シュラが寂しそう辛そうに言っている。
「何を言ってるの?仕事は有るよ。だから早くこの貯蔵庫の仕事を終わらせたいんじゃないか」
「えっ?私達は、この貯蔵庫を作るのが仕事だったのではないのですか?」
「この貯蔵庫を作る“仕事”も、やって貰おうと思ってた仕事の一つだよ。もちろん魔物の解体とかの作業もね」
「他にも仕事が有るんですか?」
「ああ、恩赦の分の仕事量は、この貯蔵庫を作る仕事で十分かと思うから、嫌なら次の仕事をしなくても良いけど、働きたいなら、まだやって貰いたい仕事は沢山有るよ」
「やりたいです!みんなやりたいって言ってます!これが完成したら終わりかと思って、みんな心配してたんです!」
「そうだったんだ?まだまだだよ。まだ仕事が有るよ。ハハハ」
シュラと話しながら、全部のウィンチの取付が終わった。
「じゃあ、シュラ 二階部分が早目に終わったら、三階部分に続く階段から、岩のブロックを取り除く作業を始めさせてくれよ」
「解りました」
「じゃあ、次の仕事に移動するね」
「はい。お疲れ様です」
今日は、いつもと違い、携帯電話の店には向かわない。
ドローンを使っての【中継器】の設置が進んだので、詳細に土地の状態が解る範囲が増えた。
その【中継器】からのデータを使い、これから必要な資源を探す。
特に必要なのは、鉱物資源。特に石灰岩と鉄などの金属だ。
それを現地に行って、実際に採れそうか確認する。
採れるのなら採掘だ。もちろん それにも人手が必要だ。しかもかなりの人数が要る。
現在の作業員の数でも、足りない位だ。
村の外周も、工事をして防御力を上げたい。
道も車で走りやすく拡げて均したい。
新しい街も作るんだ。資源が全く足りない。
まだまだやらなきゃならない事が山積みで、作業員のみんなには、まだまだ仕事を続けて欲しいと思ってる。
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同じ世界を舞台にした「異世界『ながらタブ』事情 《異世界タブレット端末普及推進奮闘記》」も書いています。
読まなくても困りませんが、読むとより状況が解ります。




