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異世界 『ながらスマホ』事情  作者: 一等神 司
第二章 スマホ中毒者から始まる文化大革命
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住まいと望郷の念

自宅に帰り、ホッと一息をつく。


おふくろや弟や妹、どうしているかな?

もう帰ってなきゃおかしいから、騒ぎになっているのかな?

考えると、辛くて・・・・・・

帰れない事が・・・・・・じゃない。

突然 おふくろや弟や妹の前から消えてしまって、悲しい思いをさせる事が、考えると辛い。

無事を知らせる事も出来ない。


そう言や幼馴染み(あいつ)はどうしたんだろう?

天然な所が有ってドジで、これまでも何度も待ち合わせの遅刻や約束を忘れててのドタキャンとか有った。

それで反省した態度でも取れば良いんだけど、いつも詫びる前に言い訳をする。

でも、幼馴染み(あいつ)は、心では反省をしてるんだよな。

保育園に通う事で出会って、それから小学校も中学校も高校も大学さえも、偶然 同じで、いつも一緒に遊んでた。

俺がスマホにハマると、幼馴染み(あいつ)は同じじゃ嫌なのか、

「これからはタブレット端末とガラケーの二台持ちが、インターネットの利用環境として一番良いんだよ」

とか言ってね。俺より詳しい振りをしてたな。


結局 俺が今回は一緒に高千穂旅行をする約束を守れなかった。

幼馴染み(あいつ)に謝る事も出来ない・・・・・・


今日の月は、雲が無いのに、何故か少し霞んでるな・・・・・・



バタバタッ!

「あっアユム!アユム!アユム!! どうして私だけ一緒にお風呂に入ってくれなかったの!?酷いよ!!」


ピコが凄く怒って俺の自宅に“来た(・・)”。

絶対に“帰った(・・・)”とは思わない。

フェムトもピコもナノも、ここが自宅じゃない。

絶対に認めない!!


「ただいまぁ〜」


「おい!フェムト!ここは俺の自宅!フェムトが【ただいま】は変だよ!」


「ただいまぁ〜」


「ナノも!ここは俺の自宅だよ!【ただいま】は変!」


「は?一緒に暮らしてるんだから、【ただいま】が普通じゃん!」


「はぁ?暮らしてない!ナノもフェムトもピコも自宅に帰れよ!」


「ここだよ」


「ここは違う!ここは俺の自宅!!」


「でも、私達 ここ以外に帰る所が無いよ?」


「は?フェムト 何言ってるの?自宅があるでしょう!?」


「ここだよ!」


「ナノも何を言ってるの?」


「あのね?アユム 本当に私達 ここしか帰る所が無いんだよ」


「ピコも何でそうなる!?」


「あれ?ガロン(領主)様は、言ってくれて無いの?」


「えっ?」


「山賊として捕まって、アユムの提案で恩赦を受けた人達は、今 どこに住んでると思う?」


「あ・・・・・・ そう言えば、どこに住んでるの?」


「空き家に詰めて入居して貰っても住まいが足りなかったから、アユムと一緒に暮らす、私達が住んでた所も、住まいとして提供されたんだよ」


フェムトが衝撃発言をした。


「はぁっ!?えっ?お前達の!?三人が住んでた所は、今 作業員達が住んでるの!?」


「うん。だからここしか帰る所が無いよ」


「聞いてない!!」


「でも、私達はここしか帰る所が無いの。ダメ?」


「うっ・・・・・・フェムト・・・・・・」


「ダメなのか?」


「ううっ・・・・・・ナノ・・・・・・」


「ここに帰っちゃダメ?」


「うっ・・・・・・ピコ・・・・・・ うーん・・・・・・」


「他に帰れる所が無いんだよね?」


「「「うん・・・・・・」」」


「わかったよ・・・・・・」


「ホントか!?御主人様!!」


「はぁ?テラ!?えっ?テラもなの?」


「「テラは違う!!」」


ナノとピコが恐ろしい怒りの表情で否定した。


「えっ?違うの?」


「うん。テラはギガやメガと、同じ家で暮らしてる」


「違う!あの家は出た!オレも帰る所が無い!」


「その住んでた家には、誰が住んでるの?」


「ギガとメガが住んでる」


「フェムト達と状況が違うじゃん!!」


「一緒だ!ギガとメガも一緒に工事をしてる!二人も作業員だ!」


「ああ・・・・・・なるほど・・・・・・ って、なるか!無理が有るにも程があるだろっ!!」


「フェムトとピコとナノの住んでた家には、作業員が住んでる?オレの私の住んでた所にも作業員のギガとメガが住んでる。だから帰れない。おかしくないだろう」


「元々 ギガとメガと暮らしてたんだろう!?なら帰れるじゃん!」


「帰らないと言ったから帰れなくなった」


「帰るって二人に言えよ!」


「言いたくない。だから帰れない」


は・・・・・・話が通じない。

無茶苦茶だ!もうどう言えば解ってくれるんだろう?


「帰らないの?」


「うん。オレは、私は御主人様が好きだから一緒に居たい」


「えっ!?えっ!?いや、好きって・・・・・・ 助けてくれたからだよね?」


「そう・・・「私もアユムが好き!」」


テラの言葉を遮って、ナノまで好きとか言ってる!?


「いや、二人共 異性としての好きじゃ無いよね?」


「オレはオスとして御主人様が好きだ」

「私もよ!私も異性として!男として好きなの!」


テラやナノに続きピノまで・・・・・・


「私もだ!私だって男として好きだ!」

「もちろん私も男子としてアユムが好き・・・・・・」


ナノもフェムトも男として俺が好きらしい。


よく見ると、テラも風呂に入ってきた様だ。


「みんなの気持ちは嬉しいとは思うけど、今はそんな事を考えられないよ。ごめん」


「ずっと待ってる」

「私も待ってるよ」

「私もだよ!」

「オレはずっと御主人様のモノだ」


「まあ・・・・・・ありがとう」



「アユム様 お食事の準備が出来ましたので、お迎えにあがりました」


「あ、お迎え ありがとうございます」


最近 領主様(ガロン)の所での夕食が、日に日に遅くなってる。

俺が忙しくしているからもあるのだろうけど、領主様(ガロン)の希望で、屋敷の照明を徐々に増やしている影響が大きいと思う。

照明の有る生活に慣れてしまい、屋敷の中が暗いと、かなりきつく感じる様になったそうだ。

必然的に、夜の闇が訪れても、食事など普段の生活が、楽に出来る。



「こんばんは ガロン」


「いらっしゃい アユム。貯蔵庫はどんな感じだい?」


「明日の朝には、貯蔵庫が七つ程完成して、明日中には、完成した貯蔵庫に入るだけ、肉を全部 入れられると思うよ」


「早いな!じゃあ、明日には貯蔵庫が全部 完成するんだね?」


「いや、まだだよ。七つだけじゃ肉が入り切らないから、更に五メートル上にも、貯蔵庫の穴を掘らせる予定だよ」


「あ・・・・・・アユム・・・・・・?」


「なに?」


「アユムは凄過ぎだよ」


「そんな事は無いよ!何を言うの!?」


「この領地の魔物の襲撃を防いだだけじゃなく、食料問題も解決していて、「そんな事は無い」って、それは無いだろう?」


「いや、俺の為にやってる事だから・・・・・・」


「だが、凄いものは凄いぞ?」


「俺はそんなのが嫌なんだって。村人達や作業員に拝まれるのだって、凄く嫌なんだ。ガロン 何とか止めさせられない?」


「ぃゃ……私も拝みたい位なんだが……」


「ん?ごめん ガロン 声が小さくて聞こえなかった」


「あ、いや、村の者には、アユムの気持ちを伝えておくよ」


「ありがとう」


「じゃあ、料理も並んだし、食べよう」


「いただきます!」


「「「いただきます!」」」


こちらの世界では、「いただきます」と言ってご飯を食べる習慣が無かった様だけど、俺のマネをして、三人娘は食べる前に言う様になった。


「いただきます」


テラもか!?


「じゃあ、私も いただきます」


領主様(ガロン)もかっ!?




食事も終わり、自宅に戻るが、もちろん四人も一緒に俺の自宅になった家屋に帰る。

三人娘は、説明を聞いて、仕方無いと思う気持ちも有る。

だけど、テラは・・・・・・

何故 自分の自宅に帰ってくれない?



「じゃあ、また魔道具(まどうぐ)作りをするよ。いつもと同じ様に宜しくね」


「「「うん。わかった!」」」

「御主人様 わかった」


もちろん、少し経ったら、こっそりと家を抜けて、村の出入口で車に乗り、工事現場に向う。


工事現場に着いたら、セルの統率個体に作業の指示を伝える。

先ずは、ブロック状にカットされた石が運び出され、きれいな空洞となった貯蔵庫用の穴の内部に、樹脂をコーティングする様に指示させる。

それが終わったら、道路側と公衆浴場側、岩山の両側に、地面から二階に続く階段を作る様に指示。

二階までの階段が掘り終えたら、二階部分に通路を掘る様にも伝える。

そして、通路が掘れたなら、二階部分の貯蔵庫用の穴を掘る様にも指示。

二階に続く階段は、もし早く二階部分の貯蔵庫の穴が彫り終えたなら、そのまま続けて、内側に地面から九メートル程までの高さに続く、階段を掘る様に指示をした。

もし、それも早く完成したなら、岩山の中に掘られた階段の先の三階部分に、横に向けて通路を掘る様にも指示した。


「ねえ?シム?これさえも早く完成したら、三階部分に部屋を掘る様にセルに指示してよ。貯蔵庫に使うのか、別の用途で使うか解らないけど、役には立つだろうからさ」


「了解しました」




さて、帰って魔道具(まどうぐ)作りをしよう。

まだまだ作らなきゃならない物がある。

この世界でスマートフォンを十全に楽しむには、まだまだ足りない物が沢山有る。

スマートフォンは、スマートフォンだけが在れば良い物じゃ無い。

この世界には、まだスマートフォン所有者が少なく通話を出来る相手が限られている。

この世界には、まだインターネットも十分に構築出来ていない。

この世界には、まだ多種多様なアプリを利用出来る環境に無い。

まだまだ足りない。まだ全然 足りない。

今日もスマートフォンや照明を作ろう。

冷凍機や給湯器を作ろう。

まだまだやりたい事が沢山有るから。


自宅に帰りながら、美しい月を見上げて、色んな事を考える。

同じ世界を舞台にした「異世界『ながらタブ』事情 《異世界タブレット端末普及推進奮闘記》」も書いています。

読まなくても困りませんが、読むとより状況が解ります。

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