神の目
山賊達が住処にしていた崖付近に来ている。
この辺りは、【基地局】や【中継器】やスマートフォンなど、魔力をエネルギーとして動く物の材料となる、魔石や魔鉱や魔鉱石の鉱脈が豊富にあるそうで、魔力をエネルギーとする自動車などを作る為に来た。
自動車は2トントラック位の大きさと形状の物が作れたが、それを作った関係で、この辺りで簡単に拾って手に入っていた、魔石などの資材が無くなってしまった。
そりゃそうだ。今回で三回目の利用だ。
それだけ拾っていれば、無くなるのは当然だよな。
作りたい物は、魔動自動車以外にも有る。
でも、材料が拾えないと言う、困った状態になってしまった。
でも、そこは高性能なシム様、最初に来た時に、周辺にしっかりと設置させられた【中継器】のセンサーからの情報で、容易に採掘出来そうな空洞を見付けてくれていた。
あの時の苦労が報われたと言うか、この状況を見据えての設置だったんだろうな。
[当然です]
「うおっ!?独り言みたいな思考を勝手に読んで、返事までするなよ!」
[私には指示との区別が付きません]
「そうなのか?」
[はい]
[嘘です]
「嘘なのか!?」
[高性能な私が解らない訳がないじゃないですか]
「シム・・・・・・ お前・・・・・・ 俺をからかって楽しんでいるだろう?」
[そんな事は御座いません]
「まあ、良いや。ここの奥だよな?」
山賊達が牢として使っていた洞窟の中に入った。
[はい。このまま一番奥まで進んで下さい]
「ここが入れる一番奥みたいだな」
奥行きは、思ったより有ったが、それでも十数メートル程度だった。
一番奥に穴が続いているが、横幅が十センチも無く、人が入れる程の広さでは無い。
穴の縦の長さはニメートル程度は有りそうだ。
「なあシム?これって人工的な感じの岩肌だけど・・・・・・」
[そうですね。ツルツルとした壁面で、自然物でも有り得るかも知れませんが、人工物的な雰囲気が有ります]
「自然物か人工物か、判断は出来ない?」
[人工物だとしても古過ぎて断定出来ません]
この洞窟全体が人工物だったのかも知れないな。
あの最初に転移して来た場所の遺跡の塔、【極】の【基地局】は明らかな人工物だった。
それなら、あの塔を創るのに、あの場所まで材料を運んだ筈だ。
じゃあ、それはどこから?ここからだったんじゃないだろうか?
あるいは、複数の採取場所の一つが、この場所だったんじゃないかな?
あくまでも憶測だけどね。
「この奥に行かなきゃならないんだよね?どうやって穴を拡げようか?」
[この壁は何で出来ていると思いますか?]
「えっ?そう言えば・・・・・・ シム ライトを点けて」
やっぱり黒い!
[正解です。そもそもこの一番奥の壁も魔石や魔鉱や魔鉱石です]
「じゃあ、これを材料に何かを作っていけば・・・・・・ 使っていれば・・・・・・」
[はい。自然と穴は拡がります]
「じゃあ、ここを作成の作業場にしよう」
先ずは・・・・・・
洞窟の中を明るくしなきゃな。
スマホライトの機能を転用した照明を作成する。
「よっと・・・・・・ 付いた!」
「シム 照明を点けて」
おー!作業をするには十分な明るさだ。
「全然 まだ拡がってないね」
[そうですね。照明を四個作った程度では そんなに拡がりません]
「ここだと外の様子が解らないし、掘削機を増やす前に、先にアレを作っちゃおうか」
[はい。それが良いかも知れません]
「じゃあ、明るくなったし、ここから出来るだけ早く作っていこう」
[はい]
「出来た!これこの世界にとって自動車以上に影響がデカそうだよね」
[そうかも知れません]
「でも、これが有れば・・・・・・ 人々の安全性が凄く高まる」
[はい。間違い無いです]
俺の前には、大小様々な大きさの数十個のドローンが在る。
一番小さな物で横幅が三十センチ程だ。
一番大きな物だと横幅が四メートル程も有り、人も運ぼうと思えば運べるサイズだ。
でも、最大サイズの物は一つだけだ。
八割は横幅三十センチ程、他も最大サイズと較べたら、そこまで大きくは無い。
こいつらは、この世界でスマートフォンライフを充実させる為に、どうしても必要だった。
このジャングルばかりの環境の中で、【基地局】や【中継器】を満遍なく設置する為には、こいつらを利用するしか無い。
人力じゃ無理が有り過ぎるからだ。十分な数を人力で設置しようとしたら、この周辺だけでも何十年何百年掛かるか解らない。
一番小さいサイズのドローンには、【中継器】を自動設置させ、最大サイズのドローンに、【基地局】を自動設置させる。
「これだけ使ったから、穴もかなり拡がったね」
[はい。十分な幅になりました]
「でも、奥がまだ拡がって無いけど、掘削機を作り始めたら・・・・・・ そろそろ奥の空間に抜けそうな感じだよね?」
[はい。予測ではそうなります]
「じゃあ、ドローンを飛ばして偵察させてから、掘削機を作ろう」
[はい。了解しました]
ドローンは、スマートフォンの通信機能とカメラとモーターとバッテリーの技術を応用してある。
通信機能で俺のスマホと繋がり、カメラで捉えた映像を送ってくれる。
四つのプロペラは、モーターで駆動する。
それらのエネルギーを供給するのは、魔力バッテリーだ。
「さて、全部 テストも兼ねて飛ばしてみたけど、壮観だな。ハハハ…」
数十個の大小様々なドローンが飛んでいる。
しかも、異世界の空にである。
「シム ドローンの操作は任せるよ。工事現場もたまに巡回して、様子を見てくれ。それで何か問題が起きてたら教えてくれ」
[解りました]
さて、掘削機掘削機。元山賊の三分の一位は、掘削機を使って工事が可能にしたい。
じゃないと、完成まで時間が掛かり、ほとんどの肉が腐ってしまう。
「じゃあ、先ずは一つ目・・・・・・」
「ふぅ・・・・・・ 頭が入りそうな程度には、穴が開通したかな・・・・・・」
頭を突っ込んで覗いてみるが、暗くて見えない。
「わぁ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ッ!!!」
中で大きな声を出して反響を確認してみると、かなりの広さが有りそうだ。
「もう一つ掘削機を作ったら、手も入れられそうだね」
[作成出来ました]
「うん。四つ目で、手も入る程度には拡がったね」
右手にスマホを持って、明かりを点けたまま、頭と一緒に穴に入れる。
「おー!広いね!人が暮らせそうな程に広い!」
洞窟の中は、自然物にしては全体的にツルツルしている。
特に床面は、デコボコはしているが、不自然に尖った部分が無く、ツルツルした質感だ。
「後 数個掘削機を作ったら、中に入れそうだ」
合計十個の掘削機を作った。
途中から、既に中に入れるだけの幅が確保出来たが、ギリギリの幅では無く、十分な幅にまで拡げた。
「さあ、じゃあ誰も入った事が無い洞窟の中へ探検と行きますか」
この奥には何が待っているんだろう?
まあ、何も起きないかも知れないけど、ワクワクが止まらない!
これだからアウトドアって楽しいんだよな!!
完全なオーバーテクノロジーです。




