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異世界 『ながらスマホ』事情  作者: 一等神 司
第二章 スマホ中毒者から始まる文化大革命
28/83

御主人様を求めて彷徨う身と心

囚われた状態から助けられ、次の日の朝から、オレを助けてくれた奴を、ずっと探している。

昨日は領主様の所に居ると聞いたから、オレは会う事が出来なかった。

今日なら会える。早く会って、オレを嫁にして貰わなきゃならない。

オレよりも大きな黒い剣を持っていたと、遠くに少しだけ見えたと言う奴から聞いた。

数十人の山賊達に遮られ、巨大な剣以外は見えなかったそうだが、目印は解った。

巨大な黒い剣を持つ奴を探せば良い。

それに、そんな巨大な剣を持っているのなら、きっとオレより大きい奴だろう。

しかし、オレの御主人様は、村の中を探しても見付からない。


昼飯時に領主様の所に行った。

御主人様がどこに居るのかを聞く為だ。

でも、後で来いとの事だった。

見付からない。

御主人様はどこに行ったんだ?


そうだ。あの弱い三人に聞こう。

あの三人なら、御主人様と一緒に居たんだから、どこに居るか知っているだろう。


あいつらなら、村の中で探せば見付かる。


「おい。フェムトかピコかナノを見なかったか?」


「あ?今日は見てねぇぞ!?また狩りに行ったんじゃねぇのか?」


「そうか・・・・・・」


「そういやテラ 山賊に捕まってたんだってな?ザマねぇなぁ?いつも威張ってんのによ。プッ!ククク・・・・・・」


「あぁ??」


「ぐっ!?お・・・・・・おい・・・・・・やめ・・・・・・」


ふん・・・・・・

首を片手で掴んで威圧しただけで、もう顔を赤くして悶え苦しみ、オレに怯えてやがる。

本当 この村には、いい男が居ない。


弟のメガとギガにも、黒い大剣の男やナノ達三人を探させている。


やっと一人 朝 村の外でナノ達三人を見たと言う奴が居た。


「ああ、フェムトとピコとナノが、昨日の山賊を連れて来た時 一緒に居た男と、外で狩りをしていたぞ」


「なに!?そいつは大剣を持った大男だったか!?」


「大剣?大男?いや、弓を持った俺より背の低い男だったぞ」


「じゃあ別の男か・・・・・・ きっとあの三人と一緒に、山賊に襲われたのだろう。それを黒い大剣の男に救われたんだろうな」


ナノやピコやフェムトは、村の外に居るのなら、村の中で探しても仕方無い。

村の中では、黒い大剣の大男だけを探そう。


そろそろ大丈夫かと思って、領主様の所に行ったが、今度は領主様は不在だった。

何でも領主様が、村の中に新しい魔法の道具のお店を出させるらしい。

すまあふん?とか言う魔法の道具らしい。なんだそりゃ?


領主様なら、御主人様の事を知っている筈だが、不在なら仕方が無い。

あのナノ達三人を探しに、村の外に行こう。


道を少し歩いたら、森の中に入って探し、居ないと確認したら、道に戻る。

また少し道を歩いたら、森の中に入って探し、居なかったら道に戻る。

そして、また少し道を歩き、森の中に入って探し、居ないと確認したら、元の道に戻る。


そうして、少し日が陰るまで探したが、やはり居ない。


御主人様に誉めて貰おうと、序に獲物でも獲っておこうかとも思ったが、獲物も居なかった。

これ以上は、真っ暗になってしまうので、帰るしか無い。


明日はきっと見付けられるだろう。





〜〜〜





早朝から御主人様を探している。

御主人様を見たと言う奴は居ない。

大剣を持った大男だから目立つと思うが、見たと言う奴が居ない。


「姉貴!ナノとピコとフェムトが居る所を知ってる奴が居たぞ!村の中心の空き家だ!」


「よくやった!ギガと合流して行くぞ!」


「ギガは丁度 そっち側に探しに行ってる」


やっと弱い三人の居場所が解った。

早く御主人様の居る所を聞かなきゃならない。

少しでも早く、オレの御主人様に会いたい。





「何だ?この人集り(ひとだかり)は?」


村の人間の半数近い人数が、昨日まで空き家だった所に集まっている。


「姉貴 奥に三人が居たぞ」


「ギガ 大剣を持った大男は居るか?」


「居ねぇなぁ・・・・・・」


「三人に話を聞きたいが、これじゃ聞けないじゃないか」


困った。早く御主人様に会いたいのに会えない。


「入れねぇだろ。早く入らせろよ」


ギガがイライラして中に居る奴等に声を掛けた。


「そうだ!姉ちゃんや兄貴の言う通りだ!」


メガもオレに協力しようと頑張ってくれている。

良い弟達を持てて、オレは幸せだ。


「ここにナノやピコやフェムトが居るんでしょう!?話が有るんだけど」


中に向かって声を掛けてみた。


「何なの!?見たら分かるでしょう!?私達 すっごく忙しいんだけど!!」


生意気な奴だ。

弱っちぃナノが歯向かってる。こいつ殴ってやりたい。


「お前かっ!お店の邪魔するな!」


もっと弱いピコも反抗的だ。こいつも殴って黙らせたい。


「本当にあなたって・・・・・・どうしてそうなの?迷惑よ」


一番弱いフェムトもオレの邪魔をする。

お前達の事よりも、オレの御主人様の事の方が大事だ。

お前等もオレの御主人様に助けて貰った弱い奴だろう。


「あーっ?何だって?」


良い子のギガが手伝ってくれてる。

姉想いの良い弟だ。


「あのぉ・・・・・・ すいません!!本当に忙しいんです!閉店してからにして貰えませんか?お願いします!!」


中に居たヒョロヒョロのチビな弱そうな男が、オレに逆らってきた。


「は?あんたみたいな弱々しい奴に用は無いよ。あの三人と話をさせてくれたら良いんだよ」


明らかに戦えなさそうな役立たずが、オレの御主人様の件に逆らうなんて、生意気過ぎる。


「本当に、ごめんなさい。開店したばかりで、今日は大事な日なんです。閉店までじゃ無くても、お店が落ち着くまで、待って頂けませんか?」


この男 弱いのにまだ逆らってくる。


「待てん!と言ってるだろうが!姉貴を待たせるんじゃねぇよ虚弱!」


ギガは良い子だ。オレの為にいつも頑張ってくれる。


「あ、あのですね。今 三人に抜けられると、お店として困ってしまうんです。本当に忙しいんです。もう少しお待ち下さい」


この虚弱は、まだオレ達に逆らう気らしい。


「どうしても早く三人に教えて貰いたい事が有るんだ。客の相手など後からでも出来るだろう?先に話をさせてくれ」


これだけ丁寧に言えば、きっと素直になるだろう。


「そうは言っても、私には大切なお客様です。蔑ろに後にとは出来ません。少しだけお待ち下さい」


まだ逆らうのか?弱い癖に強情な奴だ。


「強情だな」


弱い癖にこんなに強情な奴は、これまで居なかった。

まあ、いつも殴って黙らせてたから、まだこいつを殴ってないから、こいつは分からないのかも知れない。

でも、人が多くて近くに行って殴る事も出来ない。


「申し訳御座いません。これはいくら話しても変わりません」


まだ逆らう。本当に強情な馬鹿だ。こいつは後で身の程を教えてやらなきゃならないな。


「仕方無い。後で来る」


時間の無駄だ。ここで三人の対応を待つより、御主人様を探した方が良い。


「姉貴!?良いのかよ!?」

「そうだぞ!こんな変な物を売る事より姉貴の方が!」


メガもギガもオレの為に一生懸命だ。二人もオレを救ってくれた御主人様に会いたいのも有るのだろう。


「もう良い。三人が居る場所は解ったんだ」


さっさと御主人様を探したい。


「そっそうか?」


メガ達は不満かも知れないが、ここに御主人様が居ないのなら、御主人様を探したい。


「分かって頂いて、ありがとうございます」


ふん。こいつに身の程を教える事は決定だな。

本当に腹が立つ。





〜〜〜




村の出入口に向かって歩いていると、一人の男が大慌てで出入口付近にやって来た。

この地の領主のガロン様だ。

オレの遠い遠い遠縁らしい。幼い頃に、両親からそう聞いていたが、両親共に魔物に殺されてしまったので、詳しくは知らない。


「魔物だ!魔物の大群だ!!魔物の大集団が、この村に向かって来ている!!!」


ざわざわ・・・・・・


「女子供はフェムト ピコ ナノの指示に従って逃げろ!!」


ざわざわ・・・・・・


「戦える者は、武器を持ち、戦えない者が逃げる為の時間を稼ぐ為に、村の出入口付近で戦ってくれ!!!」


ざわざわ・・・・・・


村の中に居たガロン様が、村の外の状態を解る訳が無い。

頭がおかしくなったんだろうか?


「本当だ!魔物の群れが!道から溢れる程の大群が!こっちに向かって来ているぞ!」


出入口付近に居た奴が叫んだ。

こいつも頭がおかしくなったんだろうか?

仕方が無い。オレが村の外に出て確認してやるか。


外に出て、オレの目に映ったのは・・・・・・




絶対的な死


おびただしい量の魔物が、山側の道を埋め尽くして、この村に向かっている。


勝てる訳が無い。


圧倒的な力の暴力だ。


人の力で、どうにかなる魔物の量では無い。


道の先には、どこまでも続く魔物の群れ。


小刀は持っているが、狩りに持って行っている武器は無い。

今から取りに戻る時間も無い。




オレの背を飛び越えて、一人の男が私の前に現れた。

手には・・・・・・ 巨大な黒い剣。

真っ直ぐに魔物に向かって走って行く。


その男が大剣を横薙ぎに一線すると、巨大な魔物が何頭も斬られ、そのまま倒れてしまった。


御主人様だ!

あの男だ!あの男が御主人様だ!


そして、その男には、見覚えが有った。


後ろ姿だが、その背格好は覚えている。


あの店の店主だ。


御主人様は、オレをまた護ってくれた。


無礼だったオレを助けてくれた。


御主人様は、そのまま魔物の大群を掻き分ける様に、次々と斬り倒し、屠り、惨殺して、群れの奥へ奥へと、高速で進んで行く。


オレの御主人様には、巨大な魔物の群れも、木の葉の様に斬り捨てられてしまう。


強い。圧倒的に強い。


先程まで、絶対的な死を纏っていた巨大な魔物達は、憐れな狩られる側となり、その(しかばね)を積み上げて行く、肉の塊でしかなくなった。

そして、大多数の魔物は、オレの御主人様に恐れ戦き、逃げ惑い始めた。


こうなれば、弱いオレ達でも、巨大な魔物の相手が出来る。

逃げようとしない魔物だけを、何人かで相手が出来るからだ。


もう御主人様は、魔物の群れの奥に消えてしまい、全く見えない。


今は、オレ達弱い奴で協力し合い、村の中に魔物を入れない様に頑張るしか無い。


でも、大丈夫。


御主人様が村の出入口の前に、巨大な壁の様に、大量の魔物の死骸を残してくれたから、その壁を乗り越えてきた奴だけを、相手にすれば良い。


半刻も経っていない筈だ。

もう魔物は村に入り込もうとして来ない。


村の周囲は、魔物の流した血の臭いで充満している。



魔物の大量の(しかばね)を踏み、倒木かの様に飛び越しながら、一つの人影が村に向かって来る。


その手には・・・・・・


そう、あの黒い大剣だ。


御主人様が戻って来た。



その英雄に、勇者に走り寄る者が居る。

領主のガロン様だ。


オレは・・・・・・

話し掛けられない。

話したい。会いたい。

でも、さっき失礼な態度を取ってしまった。

無礼な言葉を言ってしまった。

オレはオレの御主人様を侮辱した。


でも、見ていたい。


話したい。


オレは・・・・・・

ギガとメガと共に、ただ御主人様を眺めるしか出来ない。




ガロン様の用が済み、御主人様だけになった。


他の村人達は、身の程も知らずに、御主人様を囲み話し掛けている。

凄く腹立たしいが、少し前のオレの方が、もっと身の程知らずで失礼だった。

いや、羨ましくて嫉妬しているだけだ。



「ねぇ!?フェムト達三人と話したいって件だよね?!多分 領主様の所に居ると思うよ!!」


オレに気が付いてくれたのかな?

でも、オレが話したいのは、御主人様 あなたです。



御主人様は、村の人間に囲まれながら、村の奥に歩き始めた。


オレも一緒について行く。


御主人様は、領主様の屋敷に来た。


他の村の者達は、着くと離れて行ったが、オレとギガとメガは残っている。


また御主人様は、オレに気が付いてくれた。


「あの、領主様は魔物の襲撃の後の対応で、屋敷にはいらっしゃらないので、フェムト達三人も居ないと思いますよ?」


御主人様 オレはあなたと話がしたいのです。

でも、侮辱したオレには、御主人様と話す資格は無いのです。




「おい お前」


!?

メガ!お前は何と言う事を!!


「こらっ!」

バシンッ!


やれやれ・・・・・・

これでもガロン様の遠い遠い遠縁で、王族の血を少しだけでも引いている者だと言うのに、自分の立場も解らないとは・・・・・・




「おい こっちに」


!?

ギガ!お前もかっ!?


「お前もコラッ!」

バシンッ!


オレの弟達は、何と無礼な者達なのか・・・・・・

悲しいぞ!姉は悲しいぞ!!

これでは仕方が無い・・・・・・

年長者として、御主人様に謝罪をしなくては・・・・・・


「ごめんなさい。うちの弟達は礼儀が無くて・・・・・・」


弟達の非礼を詫びる前に、先程の自分自身の侮辱した態度を詫びるべきだった!!


「あ、いえ、えっと・・・・・・大丈夫ですよ」


あ、こんなオレに優しくしてくれる。

やはり、オレの御主人様だ。



「アユム様 こちらです」


「あ、はい。じゃ行きますね」


あっ!御主人様が!!


「あっ!まっ待って!あの・・・・・・」


待ってくれた!


「はい?」


聞かなきゃ!一応 確認しなきゃ!


「あなたがオレを、いえ 私を助けてくれたのよね?」


上手く言葉が出ない・・・・・・


「ああ、魔物から?そうなるのかな?」


違う!


「いえっ!あの山賊・・・・・・」


そう、オレを山賊から救ってくれた御主人様だよな?


「ああ、山賊に捕まってたのか?偶然だよ。偶然そうなっただけ」


!!


「やっぱり!?ああ・・・・・・あの・・・・・・ ありがとう!」


あ、違う!先に侮辱した事を詫びなきゃ!


「いいえ、どう致しまして。それじゃ・・・・・・」


あっ!行っちゃう!御主人様 行っちゃうよ!


「あ、あ、あの!?あ・・・・・・」




御主人様・・・・・・

オレは御主人様に何も伝えられてない。

オレは・・・・・・

御主人様 オレはあなたと話したいです。

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