異文化交流 と その結果 と 衝撃の事実
今 俺は「領主様」と呼ばれている存在から、深々と頭を下げられ、お礼を言われている。
「アユムが居なかったら、この村は終わりだった」
領主様から、そう言われた。
この地の領主様は、魔物の巨大な群れの襲撃の知らせを受けた後、その知らせを届けてくれた三人の少女の様な見た目の女性達に、村人達の避難誘導を任せると、自ら武器を取り、魔物が目前に迫った村の出入口に向かった。
そこに行けば、死の可能性が高いと知りながら、一人でも多くの村人達の命を救おうと、魔物と戦おうとした。
そして、その高潔なリーダーは、俺に対して、深々と頭を下げて、「村を救ってくれた英雄」と、感謝の気持ちとお礼を言ってきた。
俺は、この人が治める領地に転移された事を、嬉しく思う。
何故なら、こんな良い奴と友達になれたからだ。
今回の魔物の襲撃では、何とか塀の外側で食い止められ、村の中の民家への被害は無かった。
村の出入口で、人の壁として立っていた人達の一部に、軽傷者が出た程度で、死者は奇跡的にゼロで済んだ。
「なあ領主様? この大量の魔物 食えるみたいなんだよね。この肉と化した魔物を、食料として保存したら、山賊行為をしていた奴等が、食料に困る事が無くなると思うんだ。ただ長期保存出来る様に、燻製や干し肉に加工しようと思っても、加工が終わる前に大部分が腐りそうなんだよね。少しでも加工が終わるまで傷まない様に、温度の低い洞窟みたいな所に保管出来たら良いんだけど、どこかない?」
「もちろん 食べる事が出来るのは知ってるよ。そうだね。村の近くに在るから、後でそこに案内するよ」
「あ、助かる。ありがとう」
「じゃあ、私は今回の件の対応に戻るから、後で私の屋敷まで来てくれ」
「了解。大変だろうけど、頑張って!!」
「ああ、ありがとう」
領主様が魔物の襲撃の後処理をしに俺から離れると、村人達が一斉に周りに集まってきた。
「ありがとう!」
「お前 滅茶苦茶強いな!?」
「山賊の件もお前なんだってな!?本当 ありがとう」
「ずっとこの村に居てくれよ」
「うちの娘の婿にならないか?」
「おじさん!つよいね!」
揉みくちゃにされながら、褒められたり感謝の言葉を掛けられたりした。
ん?
「誰だ!?おじさんって言ったやつ!!おにいさんだよ!!」
ちびっ子が良い笑顔で笑ってる。
ん?誰だ?俺のケツを触った奴は!?手の感じだと男だよな!?
いや、前は止めてくれ!!
あれ?少し離れた所に、俺のスマホの店に絡んできた三人組が居る。
フェムト達三人娘と話したがってたから、その件で来たのかも知れない。
「ねぇ!?フェムト達三人と話したいって件だよね?!多分 領主様の所に居ると思うよ!!」
あれ?雑音で聞こえなかったのかな??動こうとしてないや。
仕方が無い・・・・・・
村人達に囲まれながら、領主様の屋敷に向かう。
まだ領主様は、魔物の襲撃の件の処理をしていて、屋敷には居ないだろうけど、疲れたから屋敷で休みながら待たせて貰おう。
ん?三人組も一緒に来ている。
一応 聞こえていたのかな?
「すみません。ガロンに、領主様に屋敷に来てくれと言われたので来ました。まだ戻られてないと思うので、待たせて貰って良いですか?」
「あっ!アユム様!もちろんです!どうぞどうぞ御案内します!」
良かった。領主様の所の使用人が対応してくれる様だ。
ん?んん?
他の村人達は、領主様の屋敷に着くと離れて行ったが、三人組は残っている。
領主様が屋敷に居ると思っているのかな?
領主様と三人娘は一緒に居るって言ったし。
「あの、領主様は魔物の襲撃の後の対応で、屋敷にはいらっしゃらないので、フェムト達三人も居ないと思いますよ?」
「おい お前」
「こらっ!」
バシンッ!
うわっ!タイキック!?某大晦日の特番の番組で見た事のある、アレが!
高身長ナイスバディの美女が、野獣の様なゴッツい男にタイキック!!
「おい こっちに」
「お前もコラッ!」
バシンッ!
もう一人の野獣男子にも美女がタイキック!?
「ごめんなさい。うちの弟達は礼儀が無くて・・・・・・」
あれ?美女がしおらしい!?あれ?あれ?
あんなに高圧だったのに、恐縮した態度で話してる??
礼儀って!お前もだったろ!って、怖くて言葉に出してツッコミ入れられないよ!
「あ、いえ、えっと・・・・・・大丈夫ですよ」
「アユム様 こちらです」
「あ、はい。じゃ行きますね」
領主様の所の使用人が移動を促してるからついて行く。
「あっ!まっ待って!あの・・・・・・」
「はい?」
「あなたがオレを、いえ 私を助けてくれたのよね?」
「ああ、魔物から?そうなるのかな?」
「いえっ!あの山賊・・・・・・」
「ああ、山賊に捕まってたのか?偶然だよ。偶然そうなっただけ」
「やっぱり!?ああ・・・・・・あの・・・・・・ ありがとう!」
「いいえ、どう致しまして。それじゃ・・・・・・」
なんか怖いから早目に移動しよう。
「あ、あ、あの!?あ・・・・・・」
ふぅ・・・・・・
また何か、いちゃもんを言うつもりだったのかも知れない。
触らぬ神に祟り無し!
美しい花には棘が有る!
うん。綺麗だった。間違い無く美人さんだった。美女だった。
でも、突然 しおらしくって怖い!
美人局?
ああ、全身が血臭い。
風呂に入りたい!風呂!風呂だよ風呂!
この世界?この村なのかな?風呂が無い!
体を湿らせた布で拭くだけ!
領主のガロンの所でさえも無いそうだ!
俺 日本人だぞ!!
世界一 お風呂の好きな民族の日本人だぞ!!
風呂!風呂!風呂!風呂!風呂!風呂!風呂!風呂!風呂!風呂!
日本人なら数日 風呂に入らないだけでも辛いだろ!?
しかも!山の中を歩き回ったり、山賊数十人と戦ったり、今日なんて魔物の大群と戦ったんだぞ!!!
大汗かいてんだぞ!返り血が掛かったんだぞ!風呂だろ風呂!
「お待たせ。どうした?険しい顔して?」
「あっ!ガロン いや、風呂に入りたいなってさ」
「ああ、昨日も言ったが、うちにも無いよ」
「そうなんだよなぁ・・・・・・」
「でな、来て貰ったのは、魔物の群れを退治して、この村を護ってくれた事への礼の話をしたいからだ」
「へ?礼って、そんなの良いよ。護らなきゃ俺も困ったしさ」
「そうはいかん。これだけの事をして貰ったのに、何も礼を出さなければ、領主の私が馬鹿にされる」
「あ、そっか?ガロンの領主としての面子が潰れてしまうのか・・・・・・」
「そう言う事だ。下らん事だが、土地を治める以上は、面子も守らなきゃならん。そりゃ「要らん」と言われて何も出さないなら、懐が痛まないから助かるが、後々の事に悪影響が有ると困るって訳さ」
「はぁ・・・・・・」
「取りあえずだが、今 アユムが宿にしている土地建物と、すまほ の店の土地建物は、アユムにやるよ」
「えっ!?そんなに貰って良いのかよ!?」
「いやいや、これでも全然 足りんだろう。この村は、アユムが居なければ、魔物の群れに滅ぼされてたんだぞ」
「ああ、そうそう。後から案内する肉の貯蔵用に使える穴蔵の有る崖の周囲も、アユムにやるよ」
「えっ!?そこも!?」
「当たり前だろう。まだ足りん。何をやれば私の面子が潰れないのか・・・・・・ この領地をアユムに譲っても、領地の者から文句は出ないだろうよ。流石に譲らないけどな」
「いらんいらん!そんなもんいらん!」
「そんなもんって、酷いなぁ・・・・・・」
「あ、悪い!つい・・・・・・ でも、本当 俺はそんな器じゃ無いし・・・・・・」
「アユム?「器じゃ無い」って、嫌味かい?私はアユム以上に、領主としての器の有る奴を見た事が無い。魔物の大群を屠れる者だぞ!?民として、これ以上 安心出来る領主は居ないだろう!?いや、不敬になるから大きな声じゃ言えないが、アユムなら一国の王になっても、おかしくは無い。魔物を屠れるだけじゃなく、すまほ って凄い魔法も使えるんだからなぁ〜」
「いやいや、俺なんか普通の凡人だよ。人の上に立つ器じゃ無いよ」
「ふぅ・・・・・・ 私に娘でもいれば、アユムにやって、血縁を結びたい位なんだが・・・・・・ それで私は隠居してアユムが領主をするってね」
「おい!俺が領主って!冗談が過ぎるぞ!」
「冗談じゃ無いさ。魔物より強く優しい凄い力を持つ領主、私だけじゃ無く、誰もが求める主だろう。アユムが領主になれば、山賊にも魔物にも怯えて暮らす必要も無く、夜の闇に恐れる必要も無い。アユム以上に【王】の器を持つ者が、どこに居る?」
「俺が領主にならなくても護るし、スマホだって売って普及させるさ。俺はそれで十分だよ。領主なんてガラじゃない」
「解っているよ。アユムがその気なら、力で屈服させて、私の領地を奪えるのに、それをする素振りは微塵も無い。だから、領主になれとは言わないさ。でも、私もいい歳だ、そろそろ本当に隠居もしたい。だからアユムを手放したくない。アユムの気が変わるかも知れないしね」
「はあ?ガロンはまだ若いじゃないか!?」
「ああ、私は血筋の関係で若く見えるが、もう九十近い爺だよ」
「えっ!?そうなのか?」
「ああ、そうだ」
「まあ、良い。この話は終わろう。で、だな?どうだろう?フェムトとピコとナノの三人を、娶らないかい?あの娘達は、私の遠縁だ。私の娘では無いが、アユムと縁が出来る。あの娘達も年頃だし、アユムになら喜んで嫁ぐと思うんだけどなぁ・・・・・・」
「いやいやいやいや、ガロンも冗談がキツイよ。あの三人が俺の嫁って、あいつ等が喜ぶ訳が無いだろう!?しかも三人共って、そんな・・・・・・ふ、不誠実な・・・・・・」
「えっ?不誠実って何がだい?」
「あ、いや、俺の故郷では、妻は一人だからさ」
「ああ、そうなのかい?それは失礼した」
「いや、まあ、良いよ。そうしたいと思う男も多かったからさ」
実際 異世界ハーレム物は人気みたいだしね。
「しかし、アユムの故郷は変な所だね。力の有る者が、その力に合わせて、養う女を増やすのは、極普通の事なのにさ」
「この辺りじゃそう感じてしまうかもね。はは・・・・・・」
価値観の違いだろうね。いや、憧れたりはするけどさ。あくまでも憧れってだけで、ハーレムなんて無理だよな。
「じゃあ、肉が腐ると困るから、その貯蔵に使えそうな所まで、案内して貰えるかな?」
「そうだね。まあ、三人の中の誰か一人でも良いから、娶る事を考えてよ」
「あ、ああ、検討するよ」
領主様の屋敷の玄関には、まだあの美女が居た。
でも、一緒に領主様が居るからか、絡まれる事は無く、通り抜けられた。
そして、領主様がくれると言う、貯蔵に使えそうな穴の有る崖は、村の出入口から歩いて三十分程の所だった。
「ここだよ。どうだい?」
「ああ、良いかもね。岩の中に開いた天然の穴を、少し掘って深くしてあるんだね」
「そうだね。物の保存に使えたらと、昔 掘らせてみたんだけど、硬くてなかなか掘れなくてね。こんな状態のまま、放置していたんだよ」
「ここなら村から遠くないし、良いと思うよ。ガロン ありがとう」
「いえいえ、まだ褒美としては足りないから、他には何か欲しい物はないかい?」
「そうだなぁ・・・・・・ 村の外の森を切り拓いて、住む所とか作っても問題は無いかな?」
「ああ、好きなだけ切り拓けば、そのアユムが切り拓いた所は、アユムの物にしてしまっても良いよ」
「えっ?良いの?俺のにしちゃってもさ?好きなだけって・・・・・・」
「そりゃそうだろう。私の領地を全部 あげたい位なんだから、その程度 何も問題は無いよ」
「許可を貰えて助かるよ」
「この辺りも切り拓いて何かを好きに作れば良い。好きなだけどうぞ」
「ありがとう。先ずは、この場所を整備しなきゃな」
「誰か手伝わせるよ」
「本当に?助かる!」
「ああ、三人が来たね。あの三人は、喜んで自分から手伝うだろう。戻って他の者にも声を掛けてみるよ」
「頼むね。ヨロシク」
「「「アユム!!」」」
「おう!ここだよ!」
領主様が変な事を言うから、変に意識してしまうじゃないか。
この三人を妻として・・・・・・かぁ・・・・・・
身長は低いけど、それ以外はしっかりと女してるんだよな。
可愛い三人だけど、この関係を壊したく無いし、当分はこのままかな・・・・・・
さて、それより先ずは、肉の長期の貯蔵だ。
傷み出す前に、あの大量の肉を保存出来る場所を作らなきゃな。
まだまだこれからです。
書きたかった辺りになってきています。




