死屍累々
大量の命が失われます。
このアガタの村に、大量の魔物が近付いている。
こうなる前に、村の周囲の塀を、もっと強固にしたりして、魔物への防御力を上げようと思って、領主のガロンにも話していたのに、間に合わなかった。
ショップの手伝いをしていた三人娘には、領主様の所に行く様に指示し、スマートフォンからの情報を使っての村人の避難誘導を頼んだ。
店内のスマートフォンのマップにも、魔物の位置を表示して、店内の客にそれを見せて、三人娘の避難誘導に従う様に促した。
「この様な事態です!開店初日ですが、本日は閉店します!御来店頂いた皆様!ありがとうございました!そして、魔物から逃げ切って生き延び、また当店にスマートフォンを買いに御来店頂ければと、深くお願い致します!」
さあ、この村で開店した自分の城を守る為に、俺は戦わなきゃならない。
先ずは、武器だ。
宿に利用している家屋に、刀と弓と大剣を置いてある。
それを取りに行かなきゃ!
「みんな!この村に魔物の群れが向かってる!領主様とフェムト ピコ ナノの指示に従って、安全な所に避難して下さい!!」
移動をしながら、村の中で叫び続ける。
誰も死なせたく無い!!
だけど・・・・・・
人相手では無双出来た。
でも、魔物相手でも勝てるのだろうか?
正直 怖い。怖いけど、ここが壊滅したら、俺も住む所を失う!!
戦うしか無いんだ!!
俺に懐いてくれている、フェムトやピコやナノも死なせたく無い!
護る!絶対に護ってやる!!
「これだ!これで戦える!」
宿にしている家屋に、刀と弓と大剣は、俺の事を待っていたかの様に、黒光りしていた。
刀と弓を背負い、大剣を担いで村の出入口に向かって走る。
[サポートを適切に出来る様に 私を大剣に組み込んで下さい]
「わかった!頼むぞ!シム!」
[了解しました]
もう魔物の群れは、村の出入口近くまで迫っていた。
全速力で駆けてきた勢いのまま、村を護ろうと武器を構えて、人の壁となっている村人達を飛び越える。
着地すると、数メートル先には、魔物の群れだ。
そのまま魔物の群れに向かって、勢いのままに走り向かう。
「さあ 腹を括れ!俺!」
目の前に迫る巨大なイノシシの姿をした魔物。
魔物の集団は、多種多様な魔物が混成だった。
イノシシに似た魔物の他には、クマに似たもの、ダチョウの様な姿のものもいれば、ティラノサウルスの姿の予想図に似た魔物までいる。
全ての魔物が、元の世界の生き物と較べて、遥かに巨大だ。
巨大なヘビもいて、長さが10メートル以上は有りそうだ。
こいつら 魔物と言うより怪獣だな。
目の前のイノシシの魔物は、体高が4メートルは有るんじゃないだろうか?
「アユム 行きます!!」
ザッシュッ!
黒い大剣を一薙すると、殆ど音も無く、イノシシの魔物だけでなく、その周囲の魔物も血飛沫をあげて倒れる。
ネコ科と思われる、一緒に切断された魔物は、体長が5メートルは有りそうだ。
そのまま村に続く道を進む魔物に向かって、大剣を振るう。
魔物は巨大な分、木々の無い道以外では、木に邪魔されて動きが鈍い。
本来 森の中を得意としてそうな日本猿に似た姿の魔物も、元の世界のゴリラよりも巨大で、木々の間を抜けようとしても、幹や枝に邪魔されて、思う様に移動が出来ないでいる。
それなりに動けているのは、道を進んでいる魔物だけだ。
その道を向かって来る魔物の侵攻を抑えたなら、村への襲撃をある程度 防げるだろう。かなり被害が軽減する筈だ。
シュッ!
魔物に振るう大剣は、俺の人外の様な身体能力の為なのか、それとも剣の鋭さの為なのか、分からないが、よく切れる包丁で、トマトでも切るかの様に、ほぼ音も無く、魔物を切り裂く。
サシュッ!
殺す!殺す!殺す!殺す!
死ね!死ね!死ね!死ね!
狩る!狩る!狩る!狩る!
シュッ!
てめぇーら!全部 狩ってやる!
お前等の命を刈ってやる!!
シュッ!
村の出入口の前には、大量の魔物の死骸が積み上がる。
それが障害となり、魔物の侵攻を阻み始めた。
サシュッ!
[アユム様 この魔物の群れのボスと思われる個体を発見しました]
シュッ!
「えらい!どこだそいつは!?」
サシュッ!
[この集団の最後尾の狼の魔物と思われる個体です。その個体が他の狼の魔物に指示を出して この魔物の群れを村に誘導している様です。この道を真っ直ぐ山側に向かった先にいます]
シュッ!
「マップに解る様に表示してくれ!!」
[強調表示します]
シュッ!サシュッ!
「こいつか!よし!そいつを先ず狩るぞ!」
シュッ!シュッ!
シュッ!
サシュッ!
魔物を踏み台にしながら魔物を切り裂き、魔物のボスに向かって全速力で進む。
シュッ!
サシュッ!
シュッ!シュッ!シュッ!
サシュッ!シュッ!サシュッ!
シュッ!
見付けた!
確かに見た目は狼だが、体高が4〜5メートルは有る。
狼と言うにはあまりにも巨大だ。
「お前を狩れば、群れの統率が取れなくなるよなぁ?クソ犬!!!」
サシュッ!
ボスと思われる個体の首を斬り落とす。
ワォ━━━━━━━━ンッ!!
ボスの一番近くにいた巨大狼が遠吠えをした。
それに合わせて、魔物の群れを村に向かって追い込んでいた、他の巨大狼が逃げ出した。
「逃がすか!シム!狼はマップで強調表示してくれ!」
[了解しました。強調表示します]
シュッ!シュッ!
サシュッ!
シュッ!サシュッ!
他の魔物は後回しにし、マップに強調表示された巨大狼を追い狩る。
「さて、こんなもんかな・・・・・・」
俺の手には、血に塗れた大剣が一つ。
俺の全身も至る所に、返り血が着いている。
村の周囲には、夥しい数の魔物の骸。
俺が魔物を斬り捨てながら進んだ所にも、延々と斬り裂かれた魔物の亡骸が転がっている。
少なくとも1キロ程度は続く、血塗れの魔物の死骸が横たわる道。
巨大狼の魔物を狩り尽くしたら、他の魔物の多くは逃げ出した。
魔物の全てを狩ってしまいたかったが、残念だが数が多過ぎて狩り切れなかった。
そして、残されたのは、魔物の大量の死肉だ。
その中には、イノシシに似た個体など、見るからに食えそうな魔物も多い。
「シム 俺の目と同期させて、狩った魔物が食えるのか、解析結果を表示してくれよ」
[了解しました。アユム様の目と同期します。]
やはりな・・・・・・
目に映る解析結果では、【食用可】の表示ばかりだ。
これで村では肉には困らない。いくらでも肉が食い放題だな。
しかし、ここには冷凍庫などの品質を保てる保管庫が無い。
大量の肉の保存方法を考えなきゃな。
燻製や干し肉とかかな?
でも、量が多過ぎて、全てを加工する前に、加工が遅れた物は、腐ってしまいそうだ。
冷蔵したい。洞窟とか低目の温度の所で、一時的に保管したら、少しは違うかな?
肉の保存に関して、領主様に相談してみよう。
にく!ニク!肉!にくぅ〜!
肉が食べ放題となった主人公です。
でも、野菜もちゃんと食べましょう。




