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異世界 『ながらスマホ』事情  作者: 一等神 司
【回想録】1
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【回想録】とある山賊の被害者の話

山賊に捕まっていた人の話です。

「もうおしまいだ」

囚われている洞窟を利用した牢の中で、そう思って悲観している時だった。

外が騒がしくなっている。

最初は遠くから争う様な音や声が聞こえていた程度だったけど、今ではかなり近くで争う音がしている。


「今 助けてやるから安心して!」


牢の外からそんな声が聞こえてきた。

えっ?誰か助けに来てくれたの?

山賊の大集団だよ?


〜〜〜〜〜


オレは、村では力自慢の女だ。

体も女の中では、村一番大きい。

村の男衆でも、オレより大きい男は少ない。

そして、オレより体格の良い弟にも、戦う力では負けていないって思っている。

女だからと馬鹿にする奴も昔はいたが、今ではオレより強い奴は、誰もいなくなった。

ナヨナヨした奴が嫌いで、女でも弱い奴は大嫌いだ。

そんな弱い女の中の三人、フェムトとピコとナノが、村の奴等から頼りにされていて、本当に気に入らなかった。

そんな三人とは、いつも口喧嘩をしていた。

弱い者イジメはしない。だけど、あいつらは強くなるか、死ぬ前に村の外での活動を、もっと強い奴等に任せて、きちんと自分達の無力を自覚すべきだ。

村で食べる獲物は、男衆かオレが獲ってくれば良い。弱い奴は、村からあまり出ない方が良いんだ。


そうして、オレは一人で獲物を捕りに山に入った。


そして、その後 オレは山賊に囲まれた。


最初は抵抗した。でも、多勢に無勢 網を投げられ、身動きが出来なくなって、捕まってしまった。


オレも弱い奴の一人だった。


〜〜〜〜〜


捕まった当初は、弟達が助けに来てくれるかもと、希望を持っていた。

でも、捕まって何度か牢で夜を過ごし、山賊の大集団に、弟達が突っ込んで来ても、オレと同じく、多勢に無勢で負けてしまうだろうと、助け出される事を諦めるしかないと、考える様になった。


そんな悲観している時に、その事は起きた。


「今 助けてやるから安心して!」


その声しか聞こえず、姿は全く見えなかった。


そして、そんな助けに来た奴の声を聞いても、「無理だよ・・・・・・」って呟いていた。

オレでさえ捕まったのに、この大集団に勝てる訳が無い。

そう悲観的に考えていたら、外から恐ろしい気配?存在感?兎に角 凄い圧を感じて、他の捕まっていた人達と、身を寄せ合って震えている事しか出来なかった。

巨大な魔物でも現れたのだろうか?


そして、外が静かになった。


あの助けに来た奴は殺されてしまったのだろう。


この山賊の大集団と同数位の戦士団でなら、山賊を撃破出来るかも知れない。だけど、少人数で勝てる訳が無い。

村で一番強い自信の有るオレでさえ、数の差で負けた。

オレより強い奴が、そんなにいる訳が無いし、所詮 人間の強さの差など、大差は無い筈だ。

この大集団には、個人では勝てない。もうお終い。終わりだよ。




ガチャッガチャガチャガチャッ

カチャッ


キィ・・・・・・



牢の戸が開けられた。


現れたのは、あの三人だった。

フェムト ピコ ナノ

あの弱くて脆い死にやすい三人だった。

山賊に捕まったのだろう。

さっきの声の男と一緒に助けに来たのかも知れない。

こいつ等 やっぱり馬鹿だ。弱いのに馬鹿だ。


そう思っていたら、

「さあ、ここから出ましょう」

そうフェムトが捕まってたみんなに声を掛けた。


でも、誰も動かない。

誰も声を出さずに、どうすれば良いのか迷っている。

当たり前だ。助け出される訳が無いんだから。

まだ外には山賊が武器を構えて居るのかも知れない。


「どうした?行くぞ!」

ナノがイラッとしている態度で、オレ達に動く事を促した。


「山賊は?」


誰かが三人に聞いた。


「武器を捨てて投降したよ。これから領主様の所に連れて行くの」

フェムトがそう言ったが、オレも含めて、誰も信じられないでいる。


数十人だぞ。何十人もの大集団が、少数に負ける訳が無い。

しかも、こんな弱い三人まで居たのだから、勝てる訳が無い。


「さ、行こうよ」

ピコに促されて、何人か腰を上げて牢から出ようとしている。


それに続いて徐々に動く者達が増えて行く。

オレはまだ信じられずに動けない。

助かる訳が無いのだ。誰がこの大集団を短時間に蹴散らせると言うのか?


オレは最後に牢を出た。


そして、オレは見た。


そこには、武器を捨てて、力無く跪いている、何十人もの山賊の集団が居た。

誰も死んでいなかった。

山賊も含めて、誰も死なずに、山賊は抵抗する事を諦めていた。






オレ達を助けてくれた奴とは、どれ程の豪の者なのだろうか?

どれだけ大きな体の男なのだろう?

それはどんな奴なのだ?村の中にそんな奴が居たのか?

いや、オレより強い奴は、村には居なかった。

きっと他の所から来た奴が、救出に動いてくれたのだろう。




オレは決めた。

うん。オレは決めた。

オレはそいつの嫁になる。

あの声の主の嫁にオレはなる。

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