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魔王を打ち倒せる唯一の存在、勇者が私の住む城へやってきたのは昨夜の事だった。



この世界では数十年から数百年のスパンで魔王が復活し、その度に正当な血筋の勇者が鎮めてきた。


私のような王族とは違い、勇者は大々的にその存在を明かされない。万が一魔王の手の者に知れ渡り、滅ぼされてはならないからだ。



その為私も勇者と会うのは昨夜が初めてだったのだが、一目見て驚いた。


佇まいこそ凛としているものの、とても魔王と戦えるとは思えない程に華奢で若い。私とそう変わらぬ年の少女がそこにいた。


しかし決して裕福そうではないのに慣れない城にも物怖じせず歩いており、なるほど肝は据わってるようだ。案内人とも親しげに話している。



私の父である王との謁見は翌朝の為、女勇者は客室で一晩を明かすようだ。


部屋に入る彼女を通りすがりに見ただけだったが、歳の近い同性と交流する機会の少ない私はその女勇者に興味を持ってしまい…



客室のドアを叩いてしまった。





「はい、どうぞ」



そう言われ扉を開けるとソファにゆったりと座る女勇者の姿があった。



「初めまして」



そう言って軽く微笑みかけると、彼女は表情をパッと明るくして駆け寄ってきた。



「わぁ、本物の姫様だ…!新聞で見るよりずっと綺麗だね」


「ふふ、ありがとうございます」



言われ慣れたお世辞だと頭で認識していても、王族という立場と関係の無い人間からこうも真っ直ぐに言われると何だか嬉しく感じた。



「それで姫様、どうしてここへ?」


「少し、貴女とお話しがしたくて。お城の外の事を教えてくれませんか?」



それを聞くと彼女は嬉しそうに私を部屋へ招き入れた。



「喜んで!色んなこと、たくさん教えてあげるね」



今思えば愚かだったと思う。王族の私は俗世間の事など知らない方が良かったのかもしれない。


後悔は、していないけれど。






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