8話
ギグっ……!
不意打ち気味に放たれた言葉に反応して肩が上がったのがわかった。
「か、片付け……だけど……」
必死に嘘をつく。
「ほう、どこからか持ってきた美少女フィギュアを隠すために片付けをしていたわけか」
「そうなるよね」
終わった……。もう終わった……。
白く燃え尽きたかのように白い顔で女性陣2人の攻撃は続く。
「で、そのフィギュアなるものはどこから持ってきたんだ?わたしはそんなものを買える程の小遣いを渡したおぼえはないぞ。バイトもやってないだろ、お前」
「そっち系の趣味持ってる人と密かに通じあってたとか?」
「ああもう分かったよ!白状するから変な誤解はやめろ!」
観念した俺は今日もいきさつを話した。
「つまり、その白石っていう委員長に頼まれて持ってきたってことか」
「そういうことです」
すまん、白石。
お前の宝物は守れなかった……。
意気消沈して食事をすることを忘れている俺と、耳を傾けながら会話を聞いてる妹。
「よし、なら今から白石さん宅に電話するから明日には返せよ」
「姉さん白石の家の電話番号知ってるの?」
「何を寝ぼけたことを言ってるんだ?白石さんは近所だぞ」
知らなかった……。帰る方向が一緒だから割と近場かと思ったら、ご近所だったのか……。
「あ、白石さんですか?どうも高島です」
いつの間にか、食事を済ませていた姉さんがポケットから黒いスマホを取り出すと早速電話していた。
「これで解決だね。良かったじゃない」
妹がそう言う。
解決?
そんなわけあるか。
白石の親に知られたら、捨てられるんだぞ。
これで手を引けばいいものの、何故か俺の心はモヤモヤしていた。