7話
バンッ!
リビングのドアを勢いよく開ける。
「うるさいぞ。もっと静かに開けろ」
リビングには隅にテレビが1台。
テーブルが真ん中に設置されており、そこでご飯を食べる。
奥側に椅子が2つ。手前に2つずつ計4つの椅子がある。
奥の右側の席が姉さん。
肩まで届く黒い髪に、若干つり上がり気味な両目。
40近くとは思えないほどの綺麗な顔立ち、俺と舞の姉さんの椿さんだ。
この人は俺にとっては親ではない。
諸事情で引き取られた以来から姉さんと呼んでいる。
詳しい話はここでは割愛する。
いずれ話す時も来るだろう。
手前の姉さんの正面が俺、その隣が舞になっている。
今日の夕飯はハンバーグのようで、肉の焼ける匂いが部屋を満たしていた。
大皿には千切りキャベツの上にハンバーグを乗せ脇には半分に切られたミニトマトが2つ。
さらに白米と豆腐とネギの味噌汁と、ごく普通の夕飯である。
さて、冷静に周りを見てる余裕はないな。
じーっと姉さんを見やる。
「どうした?早く座れ。ご飯が冷めるだろう」
「あ、ああ」
慌ててガタッと椅子をズラし座る。
「揃ったな。いただきます」
「いただきまーす」
「い、いただきます……」
あれ?何も無い?舞は何も喋ってないのか?
妹を見る。何事もないかのように夕飯を食べ進めている。
「どうした?早く食べろ」
「お、おう……」
何も口にせず周囲を見渡していると姉さんに注意された。
何も言われないってことは上でのことは何も耳に入れてないってことだよな……?
舞は話さなかったのか?
だとしたら感謝しかない。
後でなにか要求されるかもしれないけど。
そう思いつつ俺も夕飯に箸をつけることにした。
「時に秀介よ」
「うん?」
完全に警戒を解いてご飯を頂いていると姉さんが話しかけてきた。
「お前、帰ってきてから何してた?」