2部13話
次の日、自室にてすみれちゃんのことを考えていた。
明るかったすみれちゃんの見る影はなく、暗い引きこもりへと変貌してしまった。
変わってしまったのはつい最近のことだと言う。
こっちに引越してきてから何があったのだろうか?まずはその辺から紐解いていきたい。
実際に部屋から出てもらうのはそのあとからでもいいだろう。
ピンポーン。
不意に家のチャイムが鳴った。
「はーい」
今日は姉さんと舞は出かけてていない。
仕方なく、部屋を出て玄関へと向かう。
ガチャっとドアを開けると白いワンピース姿の鏡花が笑顔で立っていた。
「こんにちわー」
「どうしたんだ?急に」
「秀介くん、今日暇?」
「特に予定はないぞ」
「良かった〜。これからアニメショップ行くんだけど、一緒に行かない?」
「別に構わないけど」
「やった!早く行こ!」
小さくガッツポーズを決める鏡花。
「ちょっと待て。準備してない」
出かける予定がなかったので、髪はボサボサ、着ている服は部屋着ととても外に出歩ける格好では無い。
俺は慌てて準備するのであった。
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「わぁ、これもいいなぁ。でもこっちも」
アニメショップに着くと鏡花はグッズの物色に夢中になっていた。
「秀介くん、どっちがいいかな?」
片手には何かのキャラクターのキーホルダー。もう片手にはヒナコの小さなフィギュアを持った鏡花がそう訊いてきた。
「どっちでもいいんじゃないか?」
「ダメ!どっちか決められないから聞いてるの!」
「じゃあ、どっちも買えばいいいんじゃないか?」
「手持ちあんまりないからどちらかしか買えないの……」
シュンと悲しそうに眉を寄せる。
「しょうがないな。いくらだ?」
どちらも受け取って値段を確認する。
両方とも大した値段じゃない。
「片方買ってやるよ」
「え!?いやいや悪いよ!」
ブンブンと首を横に振って拒否する。
「いつも世話になってるからこれくらいどうってことないぞ」
「そんな……!むしろお世話になってるのはこっちの方だよ」
「じゃあ、こうしよう。宿題やテスト勉強をこれからも教えてくれ。その代わりに買ってやる」
「……それだったらいいけど……」
「決まりだな」
「うぅ〜。でもでも」
納得いかないのか、1人で唸る鏡花。
たまには彼女のためにお金を使うのもいいだろう。
思えば、俺たち未だに恋人らしいことしてないからな。




