33話
キーンコーンカーンコーン。
テスト終了のチャイムがなる。
「終わったー!」
テスト2日目最後の科目が終了である。
俺は自分の席で伸びをして曲がっていた体を元に戻す。
テスト用紙を回収し、監督の先生が教室を出る。
その後すぐに担任の先生も戻ってきてそのまま帰りのHRを始める。
「テストお疲れさん。まずはゆっくり休め」
そう告げてHRが終了する。
ガヤガヤと教室中が騒がしくなる。みんなテストが終わって肩に背負っていたプレッシャーという重荷を下ろした方だった。
「秀介くん、寄りたいところあるんだけど、一緒にどう?」
「ああ、いいぜ」
鏡花が俺の側までやってきてそう誘われる。
「テスト終わりにデート。青春ですなぁ」
「ですねぇ」
双葉姉妹が2人でしみじみと言った感じで茶化してくる。
「デートじゃないよ……!デートじゃあ……!」
「相手するな鏡花。行くぞ」
こいつらに構うと時間が無くなるので、無視してそのまま鏡花の手を引いて一緒に教室を出ていく。
どさくさに紛れて手を繋いだはいいが、ドキドキするな。
「ひどーい!無視しないでよ!」
「そうだそうだ!」
後ろから香織と沙織の叫び声が聞こえてくるが構わず後にした。
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「寄りたいところってここか?」
「うん!」
俺たちは某アニメショップに来ていた。
「実はね、欲しいグッズがあるの」
そう言い店内に入ると、商品棚の間を進んでいく。
まるでどこに何があるのかわかっているかのように迷いなく歩を進める。
やがてとあるコーナの前で足を止め、商品を物色し始める。
『霊力魔法少女ヒナコ』とでかでかと書かれたコーナである。
「あった!」
やがて目的のものを見つけたらしく、それを手に取る。
「なんだそれ?」
「タペストリーだよ!」
プラスチックの棒で布を丸めているものだった。
「これを広げるとポスターみたいにイラストが書かれてて壁にかけて飾るの」
「へぇ」
商品名が目につく。
『ヒナコ。霊力フル開放ver』価格は3000円超え。
やや高い商品に目をむく。
「これ買うのか?」
「うん!」
「まだテストの結果出てないのにか?」
「うっ……!」
「忘れてたろ?」
ジトーと睨む。
約束は俺たちがテストでいい成績を残すことだ。終わったからと言って油断は出来ない。
帰るまでが遠足。戻ってくるまでがテストだ。
「秀介くん!預かってて!」
「また俺か!?また見つかったらどうするんだ!?」
「その時はええと……!」
迷っている鏡花。相当欲しいのか1歩も譲ろうとしない。
「いいんじゃない?預かってるくらい」
俺たちの背後でそう声がした。




