30話
「うっ……。ここは……?」
目覚めると白い天井が目に付いた。
薬品の匂いが鼻をつく。仕切るためのカーテンは閉じられていた。
保健室……か……?
体のあちこちが痛む。めちゃくちゃ殴られたからな。
怪我の箇所が包帯を巻かれたり、ガーゼをつけられたりしていた。気を失っている間に手当をしてくれたのだろう。
体を起こすとベッドがギシっと音を立てた。
その音を合図にしたかのようにカーテンがシャー!と勢いよく開けられ、目に涙をため、怒っている表情の白石が立っていた!
「高島く〜ん!」
溜まっていた涙は俺の姿を見るや安心したかのように溢れ出した。
泣きながら俺の名前を呼び傍らに近寄る白石。
「ごめん白石、心配かけたな」
「そうだよ!なんで私達に相談しなかったの!?」
語調が強くなる白石。
「余計な心配かけたくなかったんだ。お前には勉強に集中してもらいたくて」
「バカ!」
「余計な心配かけたくなかった?これは高島くん1人の問題じゃないの!私たちの問題でしょ!?」
「もっと頼ってくれてもいいのに……!」
涙を流しながら一気にまくし立てる白石。
「彼女、ずっと心配してたのよ」
保健室の先生もやってきた。
「授業に戻りなさいって言っても、あなたが目を覚ますまでここにいるってきかなくてね」
困ったように肩をすくめる先生。
そう言われ、申し訳なさでいっぱいになった。
「ごめんな」
そう言い、白石の頭を撫でる。
「許さない。もう勝手なことはしないって約束しないと許さない」
むすーと頬を膨らませてそう言う。
「わかった。もう俺一人で勝手な行動をしない」
そう誓う。これ以上この子を心配かけないためにも。




