20話
舞との話してすぐあと俺は昨日と同じ待ち合わせ場所を目指していた。
幸いまだ時間には余裕があるため慌ててはいない。
「あ、高島っちだー!」
げっ、この声は……。げんなりしつつ振り返ると二人の女の子が手を振っていた。
栗色の腰くらいまで届いている長い髪を左右それぞれ逆の方向に髪をまとめてる二人の少女。
目はくりくりとしていてまん丸。元気いっぱいという言葉が似合うほど明るい。
右側に髪をまとめてるのが双葉香織。左側に髪をまとめてるのが双葉沙織。
双子の少女だ。
去年から一緒のクラスで運が悪いことに席も近い。そのせいだろうか、しょっちゅう構ってくる。
正直鬱陶しい。
香織はピンクのカットソーに黒いプリーツスカート。
沙織は水色のカットソーに白いプリーツスカート。
この姉妹、仲が良くてよく一緒に行動しており、服装も似たりよったりとなっている。
タッタッタッと走りよって元気に話しかける2人。
「奇遇だね、こんな場所でどうしたの?」
「これから遊びに行くの?あたし達もついて行っていい?」
はぁ、とため息をつく。この2人に1度捕まったら満足いくまで離してくれない。
諦めて相手をすることにする。
「遊びに行くんじゃない。これからテスト勉強だ」
「へぇ、真面目だね!」
「真面目って……。お前らも他人事じゃないだろ……。ちゃんとやってるのか?」
俺の言葉に顔を見合わせる双子。
無言で笑顔になり、冷や汗をかきはじめる。
「やってないんだな。なら今から帰って……」
「高島っち!一緒にやろ!」
「一生のお願い!」
香織のすぐあとに言葉を続ける沙織。
こんな所で一生のお願い使うな。
懇願してくる二人の少女を断る。
「悪いが、俺一人でやるんじゃない。邪魔になる」
「えー!?高島っち誰と勉強するの!?」
「誰と誰と!?」
「誰でもいいだろ」
『えー!?』
こいつらが来たんじゃまともに出来やしない。どうにかしてお引き取り願おう。
「そんなに驚くことか?」
「だって、俺に近寄るなオーラを纏ってる高島っちが誰かと待ち合わせなんて珍しいもん!」
「そうだよ!そうだよ!」
まぁ、ついこの間まで誰かと一緒にいることなかったからなぁ。
「そういうことだから、お前らは帰れ」
帰ることを促す俺。だが、運の悪いことに……。
「あれ?高島くん?」
白石とも遭遇してしまった。
最初に発言してるのが香織。
次に発言してるのが沙織です。




