17話
家に帰り、夕食を済ませたあと俺は自室の机の前に座っていた。
「せっかくだし、聴いてみるか」
CDをプレーヤーの中に入れて音楽を再生する。
このCDは帰り際に白石から借りたものだ。
勉強の助けになればとのことで色々貸してくれた。
最初は遠慮したが、ヒナコのCDの他に怪獣ウォーズのCDもあり、懐かしくて借りてしまった。
CDプレーヤーからは軽快なリズムで曲を歌い上げる。
そしてこのままスマホを取り出す。
勉強は?と思われるかもしれないが、その前にどうしても見たいものがあった。
例のSNSでの噂だ。
ユーザー登録を済ませ、ユーザー名を検索する。
「これか」
ユーザー名「SAKI」どうやらこいつが噂を流しているらしい。
アイコンの写真は空の景色だった。
アイコンで特定できるかもと思ったが、無理そうだ。
書き込みをチェックする。
「同じクラスの委員長がオタクだった」
「マジで気持ち悪くて縁切った」
など、白石のことであろうことがたくさん書き込まれていた。
コメント欄を見ると「え〜マジ!?全然そうは見えなかったのに!」「人は見かけによらないねぇ」「誰?メッセージで教えて」
などたくさんコメントが寄せられていた。
中には「相手がどんな人でも受け入れられないのは人としてどうかと」「オタクだから何?その人の趣味に口出しするにもどうかと」など擁護するコメントもあったが、激しい口論が繰り広げられていた。
「お兄!」
不意に耳元でそう呼ばれた。舞がいつの間にか部屋に入ってきていた。
「うわっ!部屋入る時はノックくらいしろよ!」
「したよ。したけど、お兄机に向かって集中してたみたいだから。って勉強せずにスマホいじってたの?」
ジトーと睨みをきかせる妹。
「ちょっと調べ物だよ。で、なんだよ?何か用があったんじゃないのか?」
「別に」
短く低い声で答える舞。
「随分と機嫌悪くないか?」
「別に」
「用があるならはっきり言え」
短い言葉に苛立ちを覚え、つい口調が強くなる。
「これ以上白石さんに関わらないで」
「なんでだよ?」
「わかんない!?昔みたいになるかもって言ってるの!」
そう言われて答えに迷ってしまった。
「昔、私を庇って心が壊れかけたのは誰!?」
そう叫ぶ舞。
確かに俺は昔こいつを庇って自分が破滅しかけた。
でもだからって今更白石のことを見放すと、あいつを裏切ることになる。
成り行きとはいえ、同じような目標を持って、一緒に頑張ってるあいつを放っておけない。
ぐるぐると俺の中で思考が回る。
「うるさいぞ!ガキども!今何時だと思ってる!?」
バンっとドアを思い切り開け、怒りの形相の姉さんまで入ってきて妹を部屋から追い出し、無理矢理気味にこの喧嘩は幕を閉じた。はずだった。




