4部21話
「秀介くん!」
「悪い鏡花、何もしてあげられなくて」
「ううん、そんなことない!そんなこと…!」
うわぁーんと鏡花が涙を流す。
俺を助けるためにここまで来て最大の敵、父親と闘っていたんだ。
俺が無事だったことでその緊張の糸が切れたのだろう。
「貴様らぁ!許さん!絶対に許さんぞぉぉ!」
鬼の形相でそう叫ぶ鏡花の父雄二郎。
「諦めろ、あんたの負けだ」
ピーポーピーポー!
廃工場の外からサイレンが響く。
「なぜ警察が!?」
狼狽える雄二郎。
「警察も僕が呼びました。説得するのに苦労しましたよ」
「ええっと……」
「失礼、自己紹介がまだだったね。僕は佐藤零児。探偵だよ」
「高島秀介です」
零児さんに差し出された手を受け取り握手をする。
「鏡花のためにありがとうございました」
「こっちも仕事だからね」
そう照れくさそうに頭を搔く零児さん。
「さて、問題は」
「私は……私はまだ……」
放心状態になっている雄二郎氏。
「連れて行ってください」
零児さんの指示で警官が彼の両腕に手錠をかける。
両目は焦点を捉えておらず、虚ろな表情で警察達に連れられて行った。
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「かくして、世界的に有名な白石雄二郎氏は汚職の疑いで逮捕されました」
次の日、朝のニュースではどの番組も白石雄二郎の逮捕のニュースでもちきりだった。
「秀介くん、そろそろ学校行こ」
「そうだな」
父親が逮捕され、母親も同罪と言うことで、鏡花は1人になってしまったが、引き続き俺の家に住むことになっていた。
ガチャ。外へ続くドアを開ける。すると。
パシャパシャ!
家を出た瞬間、光がパシャパシャと俺たちを襲う。
マスコミのカメラだと気づくのはその後だった。
「白石鏡花さん、父親雄二郎さんのことでインタビューさせてください!」
俺ん家の前には、マスコミが俺たちの通り道を塞ぐように待ち構えていた。
「鏡花、行くぞ」
無理やり人混みをかき分けて抜けようとする俺。
一方鏡花はと言うと。
「私は父に代わって、日本を良くしていきたいです。汚職に手を染めた父と違って正当な手段でです!」
マスコミのインタビューを受けていた。
「いいから行くぞ!」
無理やり鏡花の手を引いて人混みを抜ける。
「日本を良くするにはどのようにですか!?」
追ってくるスタッフ。
「それはですね」
律儀に答えようとする鏡花。
最終的に走って無理やり撒く俺。
朝から何やってるんだ……。
ようやく振り切ったが、げんなりしている俺に鏡花は声をかけた。
「ありがとう、秀介くん。秀介くんがいてくれたから私は前を向いて歩いていられるんだよ」
「そんなこと言ったら、俺はお前に助けられてばかりだぞ」
「ううん、そんなことない」
「あのな、鏡花」
「何?」
「お前がこれから抱える苦労も抱える闇も、全部俺も一緒に背負ってやる。だから……」
「だから?」
「高校卒業してからでいいから、俺と結婚してほしい!」
そう告白する俺。一方鏡花は。
ふわっと涙を流していた。
「うん、うん……!ありがとう、秀介くん!」
涙声でお礼を言う鏡花。
そう、鏡花の戦いはこれから続くんだ。
俺も一緒に背負って行きたい
あともうちょっとだけ続くんじゃよ




