4部7話
「お母さん、どうして!?」
その日の夜、鏡花は母親に電話をかけていた。
スピーカーをonにしているため、俺にも聞こえている。
「どうしても何も、あなたに必要ないから整理していただけです」
「夏休み前に約束守って学年1位をとったでしょ!」
「関係ありません。あんなものが周りにあったら気が散って勉強に集中できないでしょ!?」
「その心配はないだろ、現に冬休み前も鏡花は1位だった。フィギュアやプラモが周りにあっても集中できる証拠だろ」
「高島秀介さんでしたか?あなたには関係ありません!」
「いや、関係あるぞ。鏡花の問題は俺の問題でもある。鏡花が困っていたら助けるのが俺の仕事だ」
「娘とお付き合いしているからって出しゃばらないで!」
ピッ、ツーツーツー。
どうやら通話を切られたようだ。
「前途多難だな……」
「うん……」
許してもらえてると思っていた母親は全く許してなく、逆に以前よりも反対の気が増しているようだった。
「秀介くん」
「なんだ?」
「ありがとう」
「何がだ?」
「私の問題は俺の問題でもあるって言ってくれて嬉しかったよ」
ニコッとさっきまで目元に涙が溜まっていたのが嘘のような笑顔でお礼を言ってくれる鏡花。
不覚にもドキッとしてしまった。
「鏡花、お前のことは俺が絶対守るから」
「ありがとう。私はどんな事があっても秀介くんを信じるね」
俺たちはそう誓い合った。




