10話
週末の土曜日、午前10時過ぎ。
いつもは食事に使うテーブルには俺含めて4人が座っていた。
手前右側に俺、その隣に姉さん。俺の正面に白石、その隣に派手な柄の服を着て厚化粧のおばさんが白石の母さん。
あの後姉さんに頼み込んで、話し合いの場を作ってもらった。
ちなみに舞は自室に篭っている。
「今日はなんで呼ばれたのでしょうか?」
白石の母さんが差し出されたお茶を一口飲んでから聞く。
「こいつの大事なものを捨てないでやって欲しいんです」
早速本題を切り出す。
「それはこちらの問題です。あなたが口出す権利はありません」
「だからって捨てるの!?あれは私の大事なものよ!」
白石が叫ぶ。
正直俺一人で説得する気でいたから意外だった。
俺と姉さんが固まる中、白石親子の口論という名の戦いが火花を散らす。
「深夜にやってる教育に悪いアニメのものを集めて何を偉そうに!」
「教育に悪い?偏見でものを言うのはやめて!可愛いキャラが戦うだけじゃなくて、人間のドラマを描いた感動する要素も含まれてるのよ!」
「それでも所詮アニメはアニメ。いい影響なんて受けやしない。バイト代も全てそれにつぎ込んで、バカみたい!」
「バイトはママたちがやらせてる上に好きなものを買っていいって言ったじゃない!」
「そんなもののためにやらせたんじゃありません!社会の役に経つためにーーーー」
「社会人でもアニメグッズ買ってる人なんてたくさんいるわよ!」
「他所は他所、うちはうち!」
「結局自分たちの価値観で私を束縛してるだけじゃない!」
「ほかの趣味を見つけなさい。読書とか色々あるでしょう?」
「読書くらいしてるじゃない!」
「あんな漫画のような絵が書かれたものじゃないわよ!」
「人のラノベ読んだの!?」
ラノベ?ラノベってなんだ?
俺の疑問をよそに口論は続く。
「そんなもの認められると思う!?」
「認める認めない以前に私の大事なものを捨てるのはやめて!」
「そういう訳にはいきません。もう時間の無駄ですし、帰ってあなたの部屋を掃除します」
無理やり気味に白石の腕を掴み、連れていこうとする。
白石が抵抗しようとするが、ズルズルと引き込まれていく。
「おばさん、いくらなんでも理不尽じゃないか?」
俺は立ち上がり、自分でもびっくりするくらい低い声で、そう言った。




