少年たちの青春物語
夢を見ていた。
まだ幼い頃の忘れたくても忘れられない思い出。
それは小学生低学年の頃のこと。
夕暮れ時の下校時刻、学校に残り遊んでいたこと。
男の子が数人、一人の女の子を囲んでいた。
「変なのー。お父さんがいないなんて」
「別にあんたたちには関係ない!」
その中の一人の男の子が囲んでいる女の子にそう言い、女の子は顔を歪ませ目元に涙をため、今にもそれが流れそうなのを堪えてそれに反論している。
その女の子は茶髪の髪をツインテールに結んでいる。
俺の妹だ。
俺はそのイジメられてる子が自分の妹と認めるとタッタッタッと駆け足で躊躇なくその集団に駆け寄りリーダーと思われる男子に詰め寄った。
「妹をイジめるやつは許さねぇ!」
かっこよく助けに入ったつもりが、現実はそう上手くいかない。
空に浮かぶ夕日が地面を照らし、木々や俺たち人の影を作る中、取っ組み合いの喧嘩を始める。
殴り殴られ、お互い顔にアザが出来ても殴り合いを辞めようとしなかった。
やがて騒ぎに気づいた教師が止めに入り、その日の喧嘩は終わった。
次の日、俺は顔や身体中にカットバンをつけ、目元が殴り合いの際に腫れ上がり、痣になり未だにヒリヒリと痛むのを我慢しつつ登校した。
教室につくと、周りが俺を避けているのがわかった。
ヒソヒソと何人かずつグループを作り俺の方を見て何やら話している。
1時間目が始める前に職員室に呼び出され、昨日のことについて聞き出されると思っていたが。
「無抵抗の相手を一方的に殴ったって本当なの?」
「え!?違うよ!妹がいじめられてたから助けただけだよ!相手も殴って来たし!」
「嘘はやめなさい。女の子、妹さんとはただ話していただけだって言ってたわよ」
「妹は泣きそうなのを堪えていたんだ!」
「知らないわ、そんなこと。私はあなたが殴り合いの喧嘩をしたとしか聞いてないわ」
その後も相手も抵抗した。顔の怪我が証拠だと言っても相手の教師はあなたが悪いの一点張りでろくにこちらの言い分を聞いてくれなかった。
誤解を解けないまま、クラスに戻ると。
「悪いやつが帰ってきた!」
とクラスメイトたちから非難され、何度も妹を助けようとしたと言っても誰も聞いてくれなかった。
そのまま冷たく接しられるようになり、俺は不登校になった。
気に病んだ保護者の人が引越しことを提案し、そうすることになった。
あの時から家族以外とは過ごさなくなり、外では他人から距離を置くようになった。
その時のことがトラウマで、周りの人なんて信じない。
そう思っていた。