博士の娘
「貴様が俺を改造したというのかっ!?」
魔神化が解け、
すべての話を博士から聞いたタケシは憤怒する。
「すまない、タケシ君っ」
「私は、私は怖くなったのだ……
今度の魔神は今迄の改造魔神とは能力が格段に違う。
その能力に君の闘争本能、
狂(凶)暴性、野性が加われば、
君は究極魔神、いや破壊神にもなれるだろう。
そして君はたった一人でもこの世界を、
いや君が元いた人間世界をも滅ぼすことが出来るだろう。
それを知った時、私は怖くなった。
自分が犯した過ちの重大さに改めて気づいたのだ。
そして私は君を洗脳される前に逃がすことにした……
君を魔王の完全なる手先にさせる訳にはいかなかったからだ……」
タケシは話の続きもそこそこに博士の胸座を掴み上げる。
「貴様がっ、貴様がっ、
俺をあの化け物にしたというのかっ!!」
「俺をもとに戻せっ、もとの人間に戻せっ!!」
「……残念ながら……それは不可能だ……」
タケシは博士の言葉に逆上し、博士の首を締める。
改造されたタケシの力で首を締め上げれば、
死に至るのはあっという間の出来事であった。
タケシに首を締められグッタリとする博士、
もはや息はなかった。
タケシが首から手を離すと
音を立てて床に落ちる博士の亡骸。
それでもなおやり場のない憤りに駆られるタケシの激情。
-
「キャァァァァァッ!!」
その時タケシの背後より女の悲鳴がする。
その声の主は有栖川博士の娘、アリスガワ・ルイ。
ルイは時折、私邸の研究室で
医師としての父の仕事を手伝っていたが、
今日も手伝いをするつもりでこの研究室に足を運んでいた。
ルイは別室で言い争う声を聞いて、
心配になって様子を見に来たところ、
父が殺害される現場を目撃してしまったのだ。
「お父様ぁっ!!お父様ぁっ!!」
博士の亡骸に駆け寄るルイ。
既に息がないことを知り、ルイは泣き叫ぶ。
「人殺しっ!!あなたがお父様を殺したのねっ!!」
半狂乱状態でタケシに向かって叫ぶルイ。
ルイは父が魔王の手先であるとは露程もしらず、
貴族でありながら人命を尊び
医師として生きるその姿を心の底から尊敬していた。
「……これ以上俺をイライラさせるなっ
お前も死ぬかっ?」
タケシはそう言って壁に拳を叩きつける。
部屋の壁が一撃で砕け、大穴を開ける。
その光景に怯え一瞬静かになるルイだったが、
すぐに父の骸にすがり泣く。
その時であった。
部屋の暗闇の中に浮かぶ人影。
タケシはそれに反応して身構える。
「どうぞどうぞ、私にはお構いなく、
続けてください、ですよ」




