姫と騎士
「気が付きましたか?エリーヌ姫」
見覚えのある声が小屋の扉からし、その声の人物が立っていた。
「カーサス?」
エリーヌは呟いた。カーサスの手には果物を持っていた。どうやら、この森から採取してきたのだろう。色鮮やかな色をした沢山の果物が、すでにエリーヌの横の床に置かれていた。
「まったく困った姫様ですね。アインハイド城から、ずいぶんと離れた所まで来てしまったみたいです」
そういうとカーサスは床に置いてある艶のある赤い色をした林檎を取りそれにかじりついた。
「体調はどうですか?具合が悪ければ見て差し上げます」
まるで医療にも長けているような口調で言うカーサスに対して
「別に大丈夫よ。ただ足が痛いの」
エリーヌはそう言って上半身を壁に寄りかかるようにして寄りかかった。しかし、そこでエリーヌは自分の上半身を見て驚いた。布で隠れているが上半身は服を着ていなかった。顔を紅潮させ小屋の外まで響く程の叫び声をあげた。
「きゃぁー何なの?何で何も着てないのよ」
すぐに布の生地を体にぐるぐる巻くとカーサスに怒鳴りつけた。
「どういう事なのよ。説明しなさい、カーサス」
エリーヌは恥ずかしいのだろうか、顔を赤らめ頬を目一杯膨らませている。おまけに布は少し小さく彼女の透き通るような白い肌が妖艶な美しさをかもし出している。カーサスはというと見慣れたような感じで顔色一つかえず、エリーヌのそんな素振りを見ている。
「それでは説明します姫」
まじまじとエリーヌの目を見てカーサスは話を続けた。