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騎士

少女の前に姿を現したのは少女より頭が一つ分大きいカーサスという若い青年であった。

歳は二十代半ばだろうか。

雨に濡れているが、その目は鋭い目つきで少女を見つめている。

短い黒髪をしたその青年カーサスは左腰に長剣を携えており軽装な鎧を身に着けている。

どこかの騎士だろうか。

鎧の左胸には白色の十字のマークが記してある。

「カーサス?」と少女が言った青年は少女が、そこにいると分っていたかのように走っていた少女とは違い平然としたまま少女を見つめ口に笑みを見せた。

「探しましたよ、エリーヌ姫。こんな所まで逃げているなんて。沢山やることがあるのですから」

カーサスがそういうと少女、いやエリーヌ姫に更に近づいた。

エリーヌは無言のままだ。

ただじっと腰を地面に下ろしたままままだ。

どうやら気を失っているようだ。

カーサスが近づいてもピクリとも動かない。

カーサスは困った様な、それでいて楽しんでいるかの様に笑った。

「困った姫だ」

そういうとカーサスは彼女を背中におぶさり森の奥へと進んで行った。


「ここは?」


エリーヌは目だけを動かし周りをみた。

どうやら、ここはどこかの小屋のようだ。

天井は腐りかけた板がエリーヌに落とそうで落ちないよう、うまい具合についている。

他には大きな柱が部屋の中央にあるだけだ。

エリーヌは部屋にある一枚のガラスに目をやる。

外は晴れわたっており森がうっそうと茂っていてガラスに反射された自分自身がうっすらと見える。

エリーヌ自身には、ふかふかのベッドではなく床の上に敷かれた布と、上に被さっている布だけである。

床は天井と違い腐ってはいない様だが埃が固まって見える程汚れている。思わずむせる。


「ゴッホ、ゲッホ」


咳をしただけで埃が散乱し空中に浮遊した埃は太陽の日差しでキラキラと光っていた。


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