老人
「私の名はミレニアよ。いったいタリスの街で何があったの?」
マーズという青年は下水道の通路の先をまっすぐ見つめていた。
「十数年前の戦争はご存知で?」
「ええ…」
「私は、その時友達も父、母も戦争で亡くしました。今また、タリスの街で戦争が始まろうとしています。その目的は時を操るとされる神の宝剣に違いありません」
「なんですって?」
ミレニアは、驚いた。
たしかにタリスの街は隣国と誓いが戦争になるという事はなかった。
「ではタリスの街にいるカルドの兵士は?」
「はい、この土地を侵略してきたカルド兵です」
そう答えるとマーズは前方に見える扉を指した。
「あそこに我々の仲間がいます」
そう言いマーズと名乗る青年は黙りみ扉へと歩みを進めた。
「そう…」
まさかカルド兵が侵略しているとはカーサスもしらないだろうとミレニアは思った。
何せアース国の中央にあるアインハインド城内でも、そういう報告は受けていなかったのである。
(これは姫様のおかげというか。だが姫様の安否が心配です)
ミレニアが、そう思っているとマーズが扉の前まで差し掛かった扉を開けた。
「ここは?」
ミレニアが中を覗く。中は思ったよりも広く部屋がいくつも分かれている。
その部屋の前には幾つもの松明が掲げてあった。
その中央に位置する辺りには木製の机や椅子が置かれており、そこに座っていたもの達が一斉にミレニアとマーズを見た。
「誰だ、そいつは?」
机の左側に座っていた鎧をきた男がマーズを見て言う。
周りの者も皆、警戒心を強めマーズの言葉を待っているようだ。
「この人は・・」
マーズが、そう言葉を口にしようとした時、机の中央に座っていた老人がミレニアを見て深くお辞儀した。
その老人は鮮やかな服装を身に付け、腕には十字の刺青が両腕にしてあった。
老人は昔、屈強な兵士だと感じさせた。
その老人がミレニアを見て深くお辞儀をする。




