森の中
「最悪、最低、ドジ、間抜け」
少女は自分を責めた。ただ単に面にだして笑っていたかった。束縛された監獄から抜け出したかった。お日様の光を体全体に浴び、自由に駆け巡りたかった。しかし、実際に脱走が成功し勢いよく走り出したのは良いが道に迷い、あまつさえ突然の大嵐に出会い追っ手が迫ってきているのだ。少女は、空を見上げた。大粒の雨が彼女の顔、体に降り注ぐ。大嵐は少女の体に激しく降り注ぎ少女は力つきたかの様に全身、雨に打たれていた。顔は大粒の雨で目があけられない程である。そのせいか、あたかも少女が泣いているかの様に雨水が少女の目から鼻、顎へと流れていた。森は荒れ狂い動物や小鳥などの存在を無に喫している。
「これから、どうしよう」
不安を感じた少女は呟いた。少女は夕方くらいの間から走り続けていたのだろうか。少女の体は一気に疲れがきていた。足が思うようにうまく動かない。それでも少女は足を動かそうと心みた。その時、また雷鳴が轟いた。
「バッキッ。ドゴォゴォォォーン」
「きゃぁー」
少女は大きな声で叫んだ。彼女の疲労はすでに限界に達していた。倒れた木から炎が当り一面を照らし、その倒れた木の側付近に影が見えた。少女はすでに地面に腰を下ろしていた。ただ、その影は着実に少女の下へと動いている。そして少女の前で、その影は止まった。
「カーサス?」
怯える声で少女は声をもらした。