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闇影


「お前の目的は何だ?何が望みだ」


カーサスは張り裂けんばかりに小屋の上にいる白い巨大なバビに怒鳴った。


「望みだと。望みなどないわ。ただ、あるとすれば、それは人間に捨てられた恨みだけだ」


そう答えると白い巨大なバビとカーサスの周りを囲っているバビ達は牙を剥きだし、鬣を立てた。


「わかった。だが世の中には見捨ててはいけない人間もいるぞ」


カーサスが言うと白い巨大なバビは怒り狂い怒鳴った。


「分りきった事を言うなぁー」


白い巨大なバビは激怒したのか小屋から飛び降りカーサス目がけて飛び掛っていった。カーサスは小屋を見て一瞬、薄ら笑みを浮かべたが直ぐに表情を戻した。バビ達に自分の思惑を悟られないようにと表情を戻したカーサスは向かってくる白い巨大なバビと他のバビ達に対して構えをとった。

白い巨大なバビは猛突進でカーサスに飛び掛っていく。己の感情、憎しみを全てカーサスに向け向かっていく。それに対しカーサスは剣を鞘に収め剣を地面にさした。

一瞬、白い巨大なバビは降参したのかと思ったが、カーサスの鋭い目を見て違うと判断した。だがカーサスは戦いの中で目を閉じた。そして言葉を口にする。


「闇を食らう闇影よ。全てを無にせよ」


たった、その一言だけであったが突然、地面に差してある剣が周りの闇を吸収した。剣は無限大ともいえる位、深い闇を吸収し禍々しく黒くどよめている。カーサスは、目を開き、その黒く禍々しい剣を手に取り勢い良く突進してくる白い巨大なバビの腹部に狙いを定めに剣を構える。


「うぉぉぉー」


両者の声が交差する。闇影と呼ばれる剣は白い巨大なバビの腹部に深く刺さっていた。腹部からは、赤い血の色ではなく黒くなっていく。腐敗である。

それでもなお、白い巨大なバビは前足の爪を振り上げカーサス目がけ振り切った。流石のカーサスも剣が刺さっている状態では身動きがスムーズにできなく避けられなかった。右肩の服が爪で引き裂かれ肩から血が流れ出た。


「くっ」


だが、それ以上白い巨大なバビは動かないでいた。闇影が刺さっている所が黒から赤色に変わり血がだらだらと流れ出て大きな音を立て白い巨大なバビは倒れた。


「見事だ、人間よ」


まだ意識はあるのか白い巨大なバビは真っ赤に染まった自分の腹部を押さえ言った。闇影と呼ばれる剣は刺した所を腐敗させ、その後じわじわと広がり、やがて傷になるという珍しい剣である。その剣はアース国にある幾つかの神や女神、魔人などが祀られている所で試練を受けたものだけが持てる宝剣である。

カーサスの剣も試練を受け受け取った宝剣であり王妃直属の八神将である八人には、それぞれ異なる能力の剣を持っている。その中の一人、カーサスは倒れた白い巨大なバビに言った。


「私の名前はアース国の王妃であるリーシャ・ウィル・アインハイド直属、八神将が一人カーサス・スパロウだ。人間が憎ければ私が受けて立つ」


そう言うと白い巨大なバビの腹部に刺さった闇影を抜き放ち鞘に収めた。


「見逃すと言うのか。やはり人間は愚かだ」


白い巨大なバビは苦しそうな顔でカーサスを見上げ言った。だが先程まで人間を見下していた残酷な顔はなく、そこはたとなく白い巨大なバビの顔は、どこか吹っ切れた感じをさせている。


「私の名前はテラだ。カーサスとやら覚えておくぞ」


テラと名乗った白い巨大なバビは、ゆっくりと立ち上がり残ったバビ達を連れて森の中へ消えていった。戦いが終わった頃には夜が明け朝日が立ち昇りはじめていた。


「もう朝か」


カーサスは空を見上げ、その場で倒れ尽くし眠りにつくのだった。

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