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小屋

「はぁ―、はぁー、何なの?何があったの?」


エリーヌはただ、その言葉を繰り返し呟いている。エリーヌの身体には、いくつものバビに引っ掻かれた傷と噛まれた所から血が滲み出していた。


「カーサス・・」


もうエリーヌの意識は限界に近かった。かすかにだが彼女の耳に鈴の音が永続に響いているのだった。その頃になりカーサスが薬草である解熱剤の素を持ち小屋に戻ってくると小屋の周りを囲むように様々な色をしたバビ達が小屋を壊そうと扉の入口や上から爪で引っ掻いている。それを見て思わずカーサスは小屋へと急いだ。


「エリーヌ姫、無事でありますか?」


カーサスは剣の鞘を抜き全速力で小屋を目指しながら叫んだ。しかし、小屋からは返事が返ってこない。その時、胸の鼓動を抑えながらも彼の目にうつったものを見て全身から闘気にも似た覇気が弾けた。目の前にうつっていたのは小屋の扉に飛び散った血痕であった。扉からは少しだけエリーヌ姫の服と思われる生地がはみ出ていた。どうやらカーサスが見ている小屋の扉の反対側の一枚の板にエリーヌは寄りかかっているのであろうと考えられた。

そして、まだ窓のガラスが割れていない所を見る限り中には侵入されていないと思われる。しかしカーサスの胸は今にも弾けそうな感じに鼓動していた。


「くそっー」


何か硬いものでも噛み砕いたかのようにカーサスの口元から血が流れた。そしてあろう事か小屋の周りにいるバビ達を一瞥すると、薄っすらと笑みを見せた。


「ふっ…ふっふっ」


カーサスは己がエリーヌ姫の教育係りに不適任だとエリーヌ姫の教育係としてやってきた時から思っていた。現にエリーヌ姫は何回も城を抜け出しているのである。それがカーサスにとって自分の責任だと思い悩んでいたのだ。カーサスは、この一連の騒動が終り姫を無事城まで送り届けたら全ての職務を放棄したいと考えている。それが姫のためならばと思い。

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