不器用な嘘<前編>
俺は、この春女で1人育てて来てくれた母親が不慮の事故に会い亡くなった…俺は、葬式中涙は出なかった確かに母親には感謝をしてる、けど別に母親と仲が良かったわけでも無い…理由は多分、俺は普通の人に見えないものが見えるみたいだ。
例えば、妖怪や幽霊などと言った類のものが小さい頃から見えていて、その事を言うと周りの人は勿論母親さえも俺の事を怖がって毛嫌いしていた、だから、親子仲はそこまで仲良くは無かった
だから、葬式中は悲しいより親戚の人達が誰が俺を引き取るかで揉めていた
そっちの方が頭に入ってしまって葬式には集中できなかった…
結局人の良い藤田夫妻が俺を引き取る事になった、元々、藤田夫妻とは交流があったのでその理由も含めてだそうだ、
「裕太くんは、田舎暮らしは初めてかしら?」
「あ、はい、、」
「そうか、裕太は都会っ子だもんな、田舎はいいぞ!のんびり出来て、釣りもできる!!裕太!今度一緒に行くか?」
「あ、はい!」
「志希さん!!!!裕太くんが困ってるじゃないですか!!そんなに急に言ったら釣りの前に荷物整理ですよ!!」
「あ!そうか、すまんな裕太」
「いえ、俺は釣りした事ないので楽しみです!」
「そうか、なら荷物整理と俺の仕事が落ち着いたら俺と裕太と雪さんの3人で釣りでも行くか」
「志希さんの仕事が落ち着くの待っていたら何ヶ月待たされるんでしょうね??」
「酷いな!雪さんは!!!!」
あぁ、やっぱりこの人達と居ると心が落ち着く……
「そう言えば、裕太、葬式の前に少し荷物整理をしたんだけど、優花さんの荷物の中に日記が入ってたから持っておきなさい」
母の持ち物の中に日記?いつ付けてたんだろ?
「分かりました」
「この日記いつのだろ?」
「シクシク……ワタシノワタシノ…カエシテ」
え?!女の人の声?……何処からだ?
角を曲がった所から?
白い服?……半袖?春先と言ってもまだ気温も低いのに
「だ、大丈夫ですか?何か落とし物でもしました?探すの手伝いますよ?」
「ホントニ?…ジャア…アナタノモッテルニッキヲチョウダイ」
「え?なんで日記?」
や、やばいこの気配人間じゃない!?