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9-3

 夏が終わり、私は十五回目の誕生日を迎え十六歳になった。

 少し身長が伸びてさらにバスケが楽しくなったが、あまり大きな変化はない。いつも通り学校に通って、部活をして、時々勉強をして。そんな毎日を送っている。

 布施は相変わらず元気らしい。この間、ゲーセンで野球部らしき坊主頭の友人たちとバカ騒ぎしてるところを見かけた。声を掛けようか悩んだが、結局やめた。楽しく遊んでいるところを邪魔したら悪いと思ったのだ。

 私はゲーセンからそっと出て、ついでに布施のアドレスを削除した。きっと布施からももう連絡は来ないだろう。

 もし十年後とかにばったり会ったら友達としてやり直せるだろうか、なんてふと思ったりした。でもたった十六年しか生きていない私には、十年という時間が長いのか短いのかはわからなかった。

 桐島君は、あまり元気が無さそうだ。お昼に菓子パンやコンビニのおにぎりばかり食べているからだと私は少し心配にもなる。

 でも、きっと大丈夫だ。桐島君のお母さんのことを私は信頼しているし、きっとこの先たくさんの人が桐島君のことを愛してくれる。だからもう、私はいらないのだ。

 大きな変化はない。まったく変わっていないというのは違う気もするが、やっぱりそんなに簡単には変わらない。

 残ったのは傷だけだ。

 こんな初恋、いつか誰かに笑って話せるようになるのかな、なんて思うけど、まあしばらくは無理だろう。

 まだ思い出すと、じんわりと胸が締め付けられる。

 もう二度とない初めて恋をした記憶は、私の中で傷となって、きっといつまでも残っている。


            

                  終わり




最後までお読み頂き誠にありがとうございます。

本当に感謝に堪えません。



なにか賞に応募したいと考えています。

感想やアドバイスを頂けましたら幸いです。


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