荒野の流星 クーゲルティーガー
惑星バルト……そこは夢を追う者達の楽園
あるものは豪遊の限りを尽くし、またあるものは夢破れて荒野に消えていった……。
今夜もまた夢を追う者が彷徨う……。
惑星バルト ある荒野
獣も寝静まった深夜……荒野の上に5機のロボットと囲まれた1機のロボットがいた。
囲んでいる機体は犬の頭部のようなフォルムをした頭部が特徴的なロボット。
囲まれている機体にはカウボーイのようなマントとテンガロンハットがあった。
「へっへっへ……意外とたいしたことないもんだなあ『荒野の流星』さんよぉ……?」
「この状況、お得意の早撃ちとやらもできないんじゃないかあ!?」
「もっとも、それができたところで俺達『暴犬団』の最強メカ、『アンダードッグ』の敵じゃねえがな!」
5機のロボ……『アンダードッグ』に乗る男たちが武器を構える。
一方相対するロボットは武器を持ってなく絶体絶命のように思われた……。
だが囲まれたロボのパイロットは不敵に笑うと『暴犬団』のパイロットたちに言った。
「弱い犬ほどよく吠える……ってな」
「はっ!強がりを言いやがって!」
「数では俺達が勝ってるんだ!野郎ども、やっちまえ!」
首領が部下に指示を出すとアンダードッグが一斉に砲撃を始めた。
凄まじい数の弾丸が囲まれたロボに撃ち込まれる。
「へっ!こんだけぶっ放せばあいつももう終わ……なっ!?」
「ヤツの姿がない!?」
だが、煙が晴れた時そこに破壊されているはずの機体の姿はなく……
「隙だらけだぜ!鉛玉をくらいな!」
「こ、こいつ的確に手足と武器だけを潰しやがった!?」
逆に手持ちの銃から銃弾を撃ち込まれ撃墜される4機のアンダードッグの姿があった。
「馬鹿な!?アレだけの数の弾丸を交わした上に一気に4機も行動不能にしただと!?」
「囲んだ時点でぶっ放すくらいのことをしないと俺は倒せないぜ」
「ぐっ…!」
「さて残ったのはアンタだけだがどうするんだい大将さん?」
「調子に乗るなよ!俺だけで十分だ!」
逆上した首領は腰から斧を引き抜くと斬りかかった。
だがそれをあっさりといなしすれ違いざまに引き抜いたビームナイフで手足を斬り飛ばしたのだった。
「な、なんて奴だ……。これが『荒野の流星』アレン・フォンガンとその愛機『クーゲルティーガー』の力か……!」
「今回は見逃してやる……、とっとと俺の前から消えな」
「ち、ちくしょー!覚えてろよ!」
『暴犬団』の団員はそう言い残して逃げ去っていったのであった。
「やれやれ……面倒くさい連中に絡まれたもんだぜ」
アレンはそう言うと再びクーゲルティーガーを動かし、荒野を歩き闇の中へ消えていったのであった。
完