そして僕は自爆する
残酷なシーンがあります。苦手な方はご遠慮ください。
(*´∀`*)この作品はラブコメです。エヘン
ー地下3階層ー
小牛のような巨大なブライオンウルフの突進を、フロイのスキル【金剛】と【倍力】でブロックし、ジークの【俊足】と【穿孔】が胴体を貫く。
階層をつなぐ狭い通路で、常に1対3で闘えるのが幸いしたが、もう3人の体力は限界だった。
「ジーク、ルシフェル。お前達、先に逃げろ」
「馬鹿を言うなフロイ。最後まで一緒に決まってるだろ!」
「いや、誰かが生き残って街へ知らせなきゃならないんだ。俺なら暫く耐えられる」
「くっ…」
それはジークもわかっていた、口に出来なかっただけなのだ。
「僕が残るよ」
いままで沈黙してたルシフェルが口を開いた。
「兄さんの俊足がなければ街を救えない!そして、僕なら…僕だけがコイツらを足止めできる」
「お前に何ができる!お前はスキルを使えない…」
ジークの言葉は途中で消えて言った。
「そう。僕の一度しか使えないスキル【自爆】なら何とかなるかもしれない」
下から大きくなってくる無数の足音。足の爪が岩肌を削る音が響いてくる。
「さあ行って!できるだけあいつらを巻き添えにしてやる。うまくいけば通路を塞ぐこともできるかも知れない」
「…すまんルシフェル。次に生まれ変わったら俺はお前の家来になる」
フロイは【倍力】を使いジークをクラッチすると、そのまま抱えて行く。
「離せフロイ!駄目だルシアン!」
「さよなら兄さん。さよならフロイ」
僕は2人を見送ると自ら再び4階層へ降りて行った。
◆
ー4階層 ー
そこでルシフェルを迎える数十匹の魔獣。
「さあ、遠慮は入らない。一度にかかって来いよ」
ルシフェルは剣を抜いて構えると、魔獣達に向かい突進した。
一斉に爪が牙がルシフェルを襲う。
その姿は魔獣の下敷きになり見えなくなった。
【自爆!】
ルシフェルは念じてスキルを発動させた。
が、何も変化がなかった。
【自爆!】【自爆!】
本能でスキルのスイッチが起動したのは感じてる。
「なぜだ!?なぜ爆発しない」
腕を脚を喉を魔獣の牙で噛みつかれながら、爪を立てられながら、ルシフェルは爆発しなかった。
それだけではなく、あるはずの痛みすら感じないのに気がついた。
かろうじて体をズラし自分の腕を見ると、皮膚が硬い鱗状になり、分厚く盛り上がっていて、牙が通らないようだ。
「なんだコレは!?」
業を煮やした魔獣が、噛みついたままルシフェルの腕を引きちぎろうと首を左右に降る。
表面は硬くても関節が耐えられず悲鳴をあげた。
「クソー!点火しろ!」
噛みつかれた右腕に意識を集中した瞬間。
【【ドゴーン‼】】
ルシフェルの右腕が轟音と共に砕けちり、魔獣の頭部が消失した。
さらに鱗の破片が飛び散り、散弾のごとく回りの魔獣に突き刺さった。
「ギャイン!」
悲鳴をあげ弾きとばされる魔獣達。
ルシフェルが恐る恐る右腕を確認すると、腕と表面の鱗はそのままで、外側の分厚い鱗が剥がれて薄くなっただけだった。
そして、再びみるみる間に鱗が腕を分厚く覆っていく。
「鱗が爆発したのか?じゃあなんで腕が吹っ飛んでないんだ」
ルシフェルは知るよしもないが、それは別の世界で、爆発反応装甲(Explosive Reactive Armour:ERA)と呼ばれる最新兵器そのものだった。