殺戮の洞窟
ラブコメのつもりだったのにベルセルクか魔王ダンテ寄りのダークファンタジーになってる。
(*´∀`*)ラブコメはあきらめてないw
なぜ、この世界にダンジョンが生まれるのか。
古の魔導師によれば、この星の中心核には大量の魔素が含まれていて、マントルと共に上昇し、さらに地殻深くを地脈となり流れている。
その地脈が地表近くまで上昇し、魔素がマグマ溜まりのようになり結晶化したのがダンジョンコアだ。
コアを中心にダンジョンが成長する。
まれに地脈の流れが変わったり、分裂することにより、新しい場所にコアが生まれることがある。
そうすると近くのダンジョンから、新たな女王が巣別れして住み着くのだ。
その巣分かれの群に出会した不運なパーティーが僕たちだ。
◆
「装備は確認したか?ルシフェル」
「もう3回も確認したってば、ジーク兄さん」
「ハハハ。ジークはお前の事を心配してるんだよルシフェル」
フロイがルシフェルの頭をワシャワシャと撫でた。
「僕だって初めてダンジョンに入ってから、1年たつし、もう15才なんだから子供扱いしないでよ」
「そうか、もう15才か。来年は元服だったな」
ジークが頭をかいた。
「ルシフェルが村を飛び出して俺達を訪ねて来たのが1年前。イキナリ泣きつかれて追い出すわけにもいかず今日に至ったわけだが・・・」
兄達が村を離れて2年。ルシフェルはパーティーで役立つ為に様々な知識を一生懸命学んだのだ。
元々はパーティーを組むつもりだったこともあり、その熱意に根負けしたジークとフロイだった。
◆
ダンジョン地下3階層。いつもは単体や、せいぜい2~3頭のゴブリンやスケルトンの集団しか見かけないこの階層だったのだが。
「今日は様子がおかしくないか?ジーク」
「ああ、やたらと数が多いし、ずっと下の階層の奴も混じってる」
7階層くらいまでは僕らのような小パーティーでも、十分余裕があったのだが。既に何度かヒヤッっとした目に合っていた。
本来ならここで引き返すべきだったのだが、経験の少なさがそれをさせなかった。
そして洞窟を下り、5階層に達した僕らを待っていたのは
ー地獄だったー
◆
深い谷の下で蟻の群のごとく蠢く頭、頭、頭。
「な、なんだコレは!?」
千体はいそうな魔獣の群。しかもまだまだ増え続けている。僕たちはとっさに物陰に隠れた。
『あそこにいるのはゴーレムか?あちらにはキマイラもいるぞ』
フロイがささやいた。
20階層より上でのゴーレムの目撃情報はない。キマイラに至っては30階層クラスだ。
『まさか・・・巣渡りか!』
ジークがうめいた。
『ジーク兄さん。巣渡りって?』
『蜂や蟻が分化するように、新しい女王が巣を求めて分化することだ』
『ということは、近くに新しいダンジョンが生まれたって事だ。早く街に知らせないと、通り道に当たれば全滅だぞジーク』
フロイの声が震えてる。
巣渡りは数百年に一度あるかないか珍しいでき事だ。新しく誕生した女王と共に、時には数千から数万の魔獣が津波のごとく移動する。
『よし、引き返すぞ』
息をひそめて後退りする僕の剣の鞘が洞窟にぶつかった。
「カツン!」
魔獣の群れが一瞬に静まりかえり、一斉に僕達を見つめた。
「號!!」
ー殺戮の宴が始まったー