表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と私の秘密の約束  作者: 卯山
18/20

カップルって凄いと思う




「夕夜、次はどれに乗りたいんだ?」



「俺はジェットコースターが良い」



「…………俺は夕夜に聞いたんだ。隼人には聞いてないだろ」



「お前な、目上に対して礼儀がなってないぞ」


「………………」



そして目の前の二人は仲睦まじい様子で僕の前をじゃれながら目的の乗り物を探しに行く…………。



「…………」



今僕の目の前に広がる光景は某ランドの遊園地である。



はて? 僕は何故こんなところにいるんだ?

確か今朝は昨日の衝撃的事実を知ってその後憂さ晴らしに『戦国フューチャー無双』でひたすら無双して疲れ果て眠った。


そして連休2日目――――何故か恵君とはー君が僕の家に遊びに来たのだ。しかも僕はその時パジャマ姿で寝惚け顔…………何回も言うが、何故こんなところ(遊園地)にいるんだ?



というか、これはデートなのか? 恵君……デートは好きな人としなきゃいけないんだよ? ましてや部外者な僕を連れて来るなんて間違ってるよ……。デートするなら僕抜きで良いと思うんだ。むしろ僕を放っといてくれ!(やさぐれてる)


一人ため息をついていたら恵君が隣に来ていたことに気付く。



「夕夜、気分が優れないのか?」



「え? ううん、別に大丈夫だよ」


恵君は優しいな…………あの頃から変わらない。

僕が怪我して泣いた時も冷静に傷口を洗ってくれて心配してくれた。



こんなに素敵な人が恋人ならなんて幸せなんだろうかと思う程だ。しかも、恵君の好きな人は先を行っていたのを留まってこちらを待っている。



…………そういえば、このメンツで遊ぶのって小さい頃以来じゃないか?

そう考えると沈んでた気持ちが浮上していく。現金なものだなと思うけど懐かしさが勝つんだから仕方ない。



「おい、ジェットコースター並ぶんだろ? 早くしないと乗れないだろ?」



誰が乗るって言ったよ!? …………まあ魔王様には逆らわないけどさ。


てな訳でジェットコースターの列に並ぶ僕達。


「凄い混んでるね……はぐれないようにしないと」


「そうだな、お前すぐ迷子になるからな」


「……あの時は大変だったな。夕夜がマスコットキャラに付いていって迷子になった時は」


「………………」



前言撤回だ!! 僕の恥ずかしい黒歴史を暴露しやがって!

仕方ないじゃないか……某ランドに行ったら夢のキャラのマッチィ君が手を振って僕を呼んでくれたら行っちゃうだろ? 行っちゃうしかないよねっ!?



「……もうそんなことしないから大丈夫だよ」


「どうかな」

「やるだろ」


二人とも信じてないし!!



「「だから」」


ぎゅっ


「!?」



二人が僕の片手ずつを握ってきた。な、何だこれは?



「心配ないように手を繋いでいればはぐれないだろ」


これはやり過ぎだと思う……それに何か恥ずかしいし!!

何かこれ、よく見たらカップルがやる恋人繋ぎじゃないか?


二人とも僕の手の指を絡めるように繋いでいる。



「こんな事しなくても離れないよ……」


「「駄目」」


僕の細やかな反抗は即却下されました。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「…………」



長蛇の列待ちの間も手を繋いだまま僕達は並んでいた。ハッキリ言って並んでるだけなのに必要か、これ?

周りからは好奇の目でみられているし、しかも…………


「何あのイケメン! 超格好いい~っ!!」


「でもさ、イケメンの間にいるのって彼女?」


「しかもイケメン二人の間に挟まれてるって何なの!? めっちゃ羨ましいんですけど~!」


「てゆうかあの女、全然可愛くないし~」




………………メチャメチャ他の女性から視線と悪口とかが聞こえるんですけど!! ていうか、絶対聞こえるように言っているだろ!?


はぁ、まあ良いや。言いたい奴には言わせておけばいい。

…………それにしても、恵君もはー君も手が大きい。



改めて夕夜が二人に繋がれた手を見た。

夕夜の手は包み込まれるように握られている。


(……女になって改めて感じるけど、手も小さいんだな。恵君もはー君も手が大きい。やっぱり男だから? それに……なんか、照れるんだけど!!)



何故か顔が火照ってしょうがない。たぶんこの恋人繋ぎがいけないんだと思う。



「ねえ、二人とも」


「ん?」

「何だ?」



ちなみに上から僕、恵君、はー君である。

二人は僕の方を不思議そうに見てきた。言うなら今だろう。



「列に並んでるだけだし、そろそろ手離してほしいんだけど……」


ああ……語尾が小さくなってしまった。でも、これで離してもらえるよね?


そんな淡い期待は脆くも崩れさりました~……何故かって?

更にぎゅっと二人が握ってきたんだよ!!


「「駄目」」


「…………」


しかも同じセリフ!?




何故だ…………僕じゃなくて二人で手を繋げば良いじゃないか!?




そしてそれからはジェットコースターに乗ったり、ウォータースプラッシュに乗ったり、サザンドマウンテンコースターに乗ったり――――って絶叫系多くないか?

疲れるわ!!



てな訳で昼休憩です♪



「美味しそう!!」


僕の目の前にあるハンバーガーに目を奪われていた。

だって! 凄く美味しそうなんだもん! ハンバーガーのパテは肉汁がジュワッと垂れ流しでその肉汁をパンズが吸って――――


とにかく美味しそう!!


「いっただっきま~す!!」


ガブリッ



う、うんま~~~~っ!!!


ニコニコとハンバーガーを食べていたら、何やら視線を感じたのでそちらを見ると二人がじっと見ていた…………


「…………何?」


ていうか、二人ともご飯食べなよ。まだ手つけてないでしょソレ? 温かい内に食べないと美味しくなくなるぞ?


そんな訝しげに二人を見てたら恵君が微笑ましそうな顔をして僕の口元に手を伸ばしてきた!?


「ついてる」


「…………あ」


何だ、食べかすが口元に付いてたのか! いや、お恥ずかしいところを見せてしまった。高校生にもなって食べかすをつけてるとか……小さい子供か僕は…………(;´д`)


そしてふと恵君の手を見つめていたら、その僕の食べかすを捨てるでもなく、自分の口に持っていき――――――食べた


「ええ!?」


「うん、これ結構旨いな」



いやいやいやいや! 旨いな――――じゃないよっ!?

何で僕の食べかすを食べるんだ!? おかしいだろ? いや、おかしいよね!? なんか当然のように自分の口に持って行ったけどさ、普通捨てるよね? え? 僕がおかしいの!?


混乱する僕に恵君はニコニコとしながら見つめてくるし、はー君はそれを見てうんざりしたような顔してるしで僕の頭は恥ずかしさでパンクしそうだ! よく、恥ずかしさで死ねるって聞くけど本当に死ねると思う!


というか、これこそカップル同士でやるやつだろっ!




だが、まだ僕は知らなかったんだ。最終兵器(意味不明)があることを…………!


――――そいつの名は



「お待たせしました~♪ 今期先着10組のカップル様限定のラブラブハーツイントロピカルジュースで~す!!」



「…………」


何じゃこりゃあ――――――――っ!?


目の前に置かれたのは金魚鉢と同じくらいの大きさのカップにはフルーツがゴロゴロと入っており、しかもタピオカも所々見える炭酸系の飲み物らしい…………。


あと、今このお姉さん、カップル限定って言ったよね!? 僕達カップルじゃないんですけどっ! 何、誰が頼んだわけ!?


じとっと二人を見るが二人とも俺じゃないと首を振っていた。

じゃあ誰なんだ? と首を傾げたら、店員のお姉さんが


「私達がカップルだと思う方達に記念として提供していますのでお金はご心配なく~!」


とのこと。


…………カップルじゃないけど、断るのも失礼だよね。

チラリとジュースの方を見て、また固まった。


だ、だって、だって、今どきジュース1杯にストロー3本ってないだろ!? しかも別々に入っているんじゃなくて、先が1本のやつが3つに別れているやつなのだ……。しかも太い!



「俺、こんなの初めて飲むよ」


「俺も飲んだことないな」


「このストローも含めて私達が作りましたので~世界でここだけです~!」


二人の言葉にお姉さんが嬉々として答えているが僕はそれどころじゃない。


(絶対無理! こんな公共の場で二人と顔を近付けて飲むなんてなんつー拷問なんだ!!)


だが、そんな僕をしりめに二人は極太ストローに口付けていた。


「!?」


な…………!?


「これ、フルーツがゴロゴロ入ってて美味しいな」


そう言いながら太めのストローで果実を吸う恵君


「それにタピオカも入ってんな……モチモチして旨い」


モグモグと口を動かしてまたストローに口付けるはー君



そして、それを見てキャッと顔を赤らめるお姉さんと固まる僕


(び、BLカップルスチル、キタコレ――――!!)


まさにその瞬間、僕にはゲームの美麗スチルかと思いました……眼福です!!

やはり男同士のカップルはイケメンじゃないとね!






そしてお腹もいっぱいになったところで僕達は外に出て次はパレードを見ようと広場に行ったところまでは良かった。


だけど、人が多すぎたせいで僕が持っていた手のひらぐらいのウンディちゃんのぬいぐるみ(はー君が売店で渋々買ってくれた)が落ちてしまったのだ。


それを拾おうと二人の手を離してしまったのが悪かった…………。


「っ夕夜!!」


「!?」



あっというまに二人の姿は見えなくなり、僕は一人呆然と二人がいなくなった先を見るしかなかった。









結局迷子というオチです。そしてデートは続きます♪(*´ω`*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ