表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/51

【閑話】爺さん、少女になる。

 (老人視点)_____________


 驚いた。

 七十年生きてきたが、今日ほど驚いた日はない。


 順を追って話して行こう。


 まず一つ、ラック=ラダーが現れた。

 神の遺品「白竜の右目」を持つ男。

 あいつ全く歳を取ってやがらねえ。


 昔一度喧嘩を売ったことがある。

 俺が15位の時か。

 俺も色々なところで剣を振ってきた。

 「神を超えた男」なんて言われたこともあった。

 今は別名を名乗っているが、ザン=フィールドといえば、「文字をわかるようになる3歳児」以上「ボケ老人」未満であれば誰もが知っているだろう。

 絵本にも、伝記にもなっている。

 俺はまだ生きてるんだがな……。


 これまで生きてきて、戦って決着がつかなかったのは3人だけだ。

 魔王クラリス。盗賊王スール=シャド。そしてラック=ラダーだ。


 ラックは、5年に1度くらいでこの街に訪れるが、あいつの招待状を持ってきたやつがまさか俺のところに来るとはな。


 喧嘩を売った相手が俺に幸運を運んでくれるのか?

 そう思って、目の前のこいつの話を聞いてると。

 随分面白い話じゃないか。


 召喚者だって?人間一人を召喚するなんて話、聞いたことがない。

 途方もないくらいの莫大な魔力が必要なはずだ。

 そんなことが本当に可能なのか?

 ありえない。


 まぁ、見た目は確かに異質だ。

 どこの人種だ?

 髪は黒く、肌は黄色。服は見たこともないが、それなりに高価な物のようにも見える。

 歳はそれなりにいっているにも係らず、佇まいは全体的にぽかんとしており、隙だらけだ。

 E級の魔物にすら及ばないだろう。

 冒険者とも思えないし、商人という訳でもないだろう。

 一言でいうと、謎だ。


 だが不思議と嫌いにはなれん。

 なんというか話をしたくなる感じだな。

 ほろ酔いというスキルが影響しているのだろうか。

 初めて聞いたスキルだが、興味深い。それが本当なら、気難しいエルフやドワーフなんかともすぐに仲良くできるのかもしれない。


 そして竜人化か。

 これも聞いたことのないスキルだ。

 竜好きの俺としては、是非見せてほしい。


 それにしても召喚者か…。

 俺は、過去に一度だけ召喚の儀式を見たことがある。

 あの時の召喚対象は『死神の鎌』だった。


 6人の魔術師が六芒星の頂点に立ち魔力を込めた。

 一人一人が相当の魔力を持っていた。


 成果は、刃先の部分がほんの数センチだ。

 魔法陣の中にキラキラ光ったものが召喚された。


 その魔術師達は結局、鎌の持ち主である死神に殺されたのも見た。


 人を召喚する。

 それは禁忌中の禁忌だ。

 そして、莫大な魔力とリスクを負うものだ。

 それも隣町からとかでなく、異世界からだという。

 一体どれくらいの魔力や知識が必要なのだろうか、想像もつかない。

 

 仮に行われたとしたなら、少なくても魔王クラリスか魔女ウィンミル以上の存在が関わっていることだろう。


 ふぅ。それはまあいいとして。

 こいつ。

 すげえアイテムを持ってきやがった。

 こいつのことを気に入らなければ、思わず殺してでも奪い取るところだった。


 『転換の雫』、『若返りの薬』。

 この二つ物凄く欲しい。

 鑑定結果に嘘はない。

 が、売ってくれなかったらどうしよう。


 俺は賭けに出た。


 「なぁ、転換の雫と若返りの薬1つで俺を雇わないか?その召喚士を見つけるまでは付き合うぞ。金も金貨800枚払おう。どうだ?」


 「乗った!」


 二つ返事で言葉が返ってきた。

 こいつ!!

 嬉しすぎた!この時どんな顔をしていたか、後でこいつに聞いてみよう。


 そして俺は、10歳の少女になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ