7/37
出逢い
初めて出逢った時
あなたはメガネが壊れていた
大学の構内でしかめっ面をして
壊れたメガネを手に持って
見づらそうに目を細めているあなたは
どう考えても いい人そうには見えなかったわよ
しばらくして 私を呼び止める声が聞こえ 後ろを振り返った
そこには 息を切らせて 肩で呼吸をしながら
壊れたメガネをかけた あなたがいた
その手には 見覚えのあるハンカチが 丁寧に握られていた
そんなあなたが にこりと微笑んで
これは あなたの物ではないですか
そう言って差し出してきた時
私は 思わずこう言ってしまったの
いい人そうに見えないなんて思ってごめんなさい と
それを聞いたあなたは 壊れたメガネの奥で
優しそうに微笑んだ
その瞬間 その笑顔に 私は恋に落ちたのよ