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それほどまでに深森が少女に与えた印象は強烈に強く酷かった。ありとあらゆる意味で。
ぐっと両腕を逆さまに柱が映る空へ掲げて深森は意気揚々と、間違いなんてないと言わんばかりに叫んだ。森の中で。
「おらに力をおおぉおおおっ!」
「それでどうする気なの!?馬鹿なの!?馬鹿なんでしょ!」
花の女子高生が足を大胆に広げこれまたわけのわからない奇行をはじめたものだから、流石に金髪少女も許容範囲が溢れたらしく木の影から飛び出してちいさな手で指を深森を指し、こちらも深森に負けないくらいの大きな声で豪快にツッコミを入れた。余程叫びたかったらしい、その口は大きく開かれさながら肉食獣のようだった。
……とにもかくにも。
「…………え?」
「あ」
かくして、深森はこの世界ではじめて人間に出逢ったのだった。
逆さま柱に炎がはぜた。
燃える鮮やかな炎の翼。
「お前ーーーーーーーおれの妃に何をした?」
「………………」
柱。レンガ作りの窓から迎えるは冬色の真っ黒な翼。