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竜王の妃。  作者: 雨神
第一章。
5/15

1-3


…………しかし、しばし。


しばらくして深森は漸く気がついて、恥ずかしい子満載だった己を恥じて湯気の昇る顔を覆い蹲った。


独り言パラダイス。

意味のわからぬ足踏み。

極めつけの大笑い。


ーーーーなんて。


「うっわあああああああっっ!?なんっじゃそりゃああああっ!恥ずかしいよ?恥ずかしいの極みだぜ深森さんよおおぉっ!キング!オブ!ザ!恥ずかしだっつのさあああああ!!」


うわああああぁ……!と美しく状態を弧に仰け反らせ自分の奇行を思い出してはただひたすらに愉快か恐怖の対象でしかないのは目に見えている。むしろ当たり前にそう言ったものでしか見られまい。


正に『キングオブザ恥ずかしい』である。衝動のままに叫び回した後の客観的な視線ほど恥ずかしいものはない。


しかも深森は漫画や小説の中のキャラクターのように察しが良いわけでもひとの気配に敏感なわけでもない。


つまりはいつ、どこで、誰に見られているかわかったものじゃない。それこそここは木々が繁っているし、深森の瞳に映る空に根差した柱から誰かが見ているかもわからない。見るからにもう不思議ワールドなのだから視力の良し悪しは深森の世界基準では収まるものではないかもしれない。


草花が揺れるのは風か、はたまた深森の尋常でない声の大きさからか。揺れる草花ではどちらにせよこの女子高生の騒ぎを静めることは難しい。


そして深森は気づいていないが覆い茂る、恵まれた森の中にひとり。


「……何なの……今行っていいのかしら……」


深森は全く気づいてはいないが、深森がこの場、世界に“惹かれた”頃から気にかけ、ずっと見ている者がいた。


その者はとても小柄で、年は十三、四歳くらいだろうか?鮮やかな金色の、日差しを思わせるような長い髪のツインテールが印象的な少女は一重の、髪と同色の大きな瞳をくるくると表情豊かに変えては木の影からじぃっと深森を観察し続けていた。


深森をずっと観察し続けている少女には若干の焦りがあり、それは少しずつ蓄積されていって今では少女の中ではぱんぱんに膨れ上がっていたりする。


確信は、あるのだ。確信は。一番最後に訪れた、待ちに待った者であるのだと。


しかしあまりにも……なんと言うか……


(あほの子にしか見えない……!)


ので、少女の確信は疑心に変わりつつある。だから話しかけて良いかどうかすらわからずにほとほと困り果てているのがこの厄介な現状だった。



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