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駄目駄目エンドレス
絵三子姉ちゃんは俺が二番目に惚れた女だった。
いや、惚れた、だなんて格好決めて言えるような感じではない。
俺の中指くらいしかない小ぶりの鼻をすんすんさせながら大きな目と口で砕けたように笑う人だった。
お陰で俺は出会ってたったの三時間程度で、沙映子への簡易プロポーズを帳消しにしてしまったのだが。
腹いせに殴られた右顎の下は赤黒い痣を経て、黒ずみとなり、今では夥しい包帯の下敷きとなっているが、それはまた後の話。
絵三子姉ちゃんが名古屋の春岡龍成と
膝が古廊下のような軋んだ音を響かせる。
『山名の婆さんには優しくなさい。あの人は可哀想な人なんだよ。』