第21話:2人の修行
お待たせしました! 第21話です!
冒険者ギルドへとやってきたアルスとティア。
そこで行われたティアの魔力測定で、まさかの驚愕の事実が発覚します!
そして、初めての依頼として「ゴブリン討伐」を受けた二人は、森へ向かう前に平原で特訓を始めることに。
そこでティアが放った、まさかの宣言とは……!?
「このまま逃げ続けてもいいけど……そのうち慣れないと駄目だね」
「そうだね、そのうち慣れないと、私がモヤモヤし続けちゃうよね……」
アルスはティアの言った言葉の本当の意味をを理解できなかった。
「とりあえず、目立っちゃうかもだけど、冒険者ギルドに行かなきゃいけないね。」
「そうね。そういえば、まだ私、冒険者登録してないね」
「そうだったね! じゃあついでにティアの登録もやっちゃおう!」
アルスとティアは、街の人々からのたくさんの視線を背中に感じながら、目的の冒険者ギルドに到着した。
扉を開けて受付へと向かう。
「すみません! この子の冒険者登録をしたいのですが」
「はい! 大丈夫ですよ! ……って、アルスさんじゃないですか」
「え、会ったことありましたっけ?」
「いえいえ、会ったことはないですが、新勇者アルス様ですから! 今やギルドで知らない人はあまりいないと思いますよ! ――あ、失礼しました。その子の冒険者登録ですね!」
受付嬢はコホンと一つ咳払いをすると、カウンターの奥から輝く丸い石を取り出した。
「では、こちらの魔力測定の水晶に手を触れてください!」
ティアが一歩前に出て、緊張した様子でその水晶にそっと触れた。
すると――次の瞬間、水晶が凄まじい光を放ち、視界が真っ白に染まった。
「――!? あ、あなたは、神聖魔法使いなんですか!? しかも、魔力が国のトップレベルですよ!?」
受付嬢の驚愕の叫び声が響き渡り、ギルド内にいた冒険者たちの視線が一斉にティアへと突き刺さる。
ざわざわと騒ぎ出す周囲の様子を見て、アルスは思わず少し笑ってしまった。
「な、何よアルス」
注目を浴びて顔を赤くしたティアが、不満そうにジト目で睨んでくる。
「俺も似たようなことが起きたな、と思って」
「あなたも、私と似たようなことが起きたのね……」
「――ゴホン! ……とりあえず、登録が終わりましたので、こちらが冒険者カードになります。」
二人の規格外な会話を聞いていた受付嬢が、これ以上の混乱を防ぐように大急ぎで咳払いをして、話を本筋へと戻した。
「一応、冒険者のルールを説明しますね。冒険者は、上から【A、B、C、D、E、F】の順でランクが付けられています。始めは冒険者ランクFからですが、ギルドへの貢献度を上げていくと、ランクも上がっていきます。そして、冒険者同士の不要な争いは禁止です。もしそのような規約違反を犯した場合は、相応の対応を取らせて貰いますのでご注意ください。」
「はい! 分かりました!」
「早速ですが、何か依頼を受けますか?」
「アルス、どうする?」
「うん、受けようか」
「分かりました、では、今受けられる依頼ですと、こちらがあります」
受付嬢が提示した掲示板には、薬草採取や、低ランクの魔物討伐の依頼が並んでいた。
「じゃあ、このゴブリン討伐でお願いします」
「はい、分かりました。ゴブリンは単体では弱いですが、集団になるとかなり大変だと思います、……ですが、アルスさん達ならきっと大丈夫でしょうね」
受付嬢は苦笑いを浮かべながら、依頼の受理手続きを済ませてくれた。
――こうしてギルドを出たアルスとティアは、目的の森に行く前に、まずは街の外に広がる平原で少し修行をすることにした。
平原に到着し、お互いに武器や魔法の確認をしようと身構えたその時、ティアが拳をきゅっと握りしめてとんでもない宣言を飛び出させた。
「私、近接戦をやってみたい!」
アルスはあまりの斜め上すぎる発言の面白さに、ついブフッと吹いてしまった。
「聖女が、近接戦(笑)想像したらちょっと面白い」
「もう! アルス笑わないでよ! 私は大真面目なんだから! ほら! この前、私全然抵抗できなかったじゃん!」
ぷくーっと頬を膨らませて怒るティアだったが、その言葉には、アルスと共に戦いたいという強い決意が滲んでいた。
アルスは笑うのをやめ、優しく微笑んだ。
「分かった分かった、教えるよ。 実はタイミングよくこの本で身体強化のところを最近読んだんだ。それを実践してみよう。ティアは魔力が高いみたいだから、多分できると思うよ」
「本当に! やったー!」
ティアが嬉しそうに答えるとアルスは早速お手本を見せた。
「ちょっと、見てて。」
アルスがそう言って、前方に軽く拳を突きだした。
すると――ドンッ!という凄まじい衝撃音と共に、平原にものすごい暴風が巻き上がった。ただのパンチの風圧だけで、前方の草むらが綺麗に薙ぎ払われている。
「……うん、アルスが強すぎて全くわからなかった。でもとりあえずやってみるね!」
「うん! 頑張れ! やり方は、腕に魔力を練って完全に制御ができたら、パンチするだけだよ」
そう言うと、ティア半ば呆れつつも、アルスに言われた通りに集中して魔力を腕に練り込んでみた。
すると、さすがは国トップレベルの魔力。ティアはなんと、一発目で身体強化を成功させてしまった。
「私もできた! やったー! ……けど、アルスほどの威力はないけどね……」
(アルスが規格外すぎるだけだけど)
心の内でそうツッコミを入れつつも、初めての感覚に目を輝かせるティア。
「うん! すごいじゃんティア! 1戦だけ模擬戦してみる?」
「――絶対に私が吹き飛ばされて終わると思う」
ティアは絶対に勝てないと確信し、両手を振って必死に拒否した。
「じゃあ俺は別の魔法の練習をするけどティアはどうする?」
「私はこのまま身体強化の練習を続けようかな」
「分かった」
こうして、アルスとティアは各々の練習に励み、来たる依頼に向けてさらに実力を高めていくのだった。
ご覧頂きありがとうございます!
第21話はいかがでしたか?
ティアがまさかの「近接戦闘」を希望し、アルスの指導のもと見事に身体強化を成功させました!
やっぱりティアもただ者ではないですね……!
でも、アルスのお手本が規格外すぎてツッコミを入れるティアの姿には思わずクスッとしてしまいました(笑)。
模擬戦は全力拒否されてしまいましたが、それぞれの特訓を終えた二人が、次回のゴブリン討伐でどんなコンビネーションを見せてくれるのか今からめちゃくちゃ楽しみです!
次回、第22話もお楽しみに!
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