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真夏の午後の悪夢?

作者: 青木薫

目にとめていただきどうもありがとうございます。

現代もの、しかもこれまであまり書いたことがない感じのものにチャレンジしました。

今日がとても寒かったので、逆に夏の暑い日のことです。

どうぞよろしくお願いいたします。

 うだるような午後の暑さの中、俺はイライラしていた。


 いけると思った案件が落とされた。


 それだけじゃない。若手のアイツの案件が通った。


「クソッ!!」


 部長に


「まあ、こういうこともあるよ。気を落とさず、次がんばろう」


と励まされ、午後はゆっくりしろと言われて言われた通り休みは取ったが、その部長だって俺よりも年下だ。


『心の中じゃ俺のことをうだつの上がらない奴だと見下してるんだろうな』


と腹立たしいこと、この上ない。


 繁華街に繰り出す気力もなく、コンビニでビールとつまみをしこたま買い込んで、駅から遠いアパートまでの道を歩いていた。


「クソッ!!」


 もう一度そう言って大きく足を踏み出した時だ。


「うあっ!」


 前を歩く人の踵を踏んでしまったらしく、そいつが声をあげた。


 ヤバいと思ったが、後ろ姿を見ればフワッとした感じの茶髪に、薄手の紫色のワンピースを着た小柄な若い女のようで、イライラしていた俺は思わず


「ノロノロ歩いてんじゃねーよ、ブス!」


と言い捨てた。


 踵が痛むのか、ちょっと屈んで歩みが遅くなった女を


「フンっ!!」


と追い越しざまに横目で見ると、女もチラリとこちらを見上げて…俺はギョッとした。


 べったりと額に貼り付いた黒い前髪。


 目の下はドス黒く、墨でも流したかのように頬に何本も筋が見える。


 そして眉毛があるはずの場所は…のっぺりとしており、その下の目は…瞳が異様に小さく、しかも灰色に赤い斑点が散っている。


「…っっ…」


 俺は息をのみ、歩き続けた。


『なんだ…?あいつ…』


 ゾッとした俺は振り返るのも恐ろしい気がして、足を早めた。


 かなり歩いてホッとしながら信号待ちをしていると、横にフワリと紫色が見えた。思わず顔を背ける。


「…!」


 さっきの女だ。横からはハーッハーッという吐息が聞こえる。


『まさか…追いかけてきたのか?』


 信号が変わったので大急ぎで渡り、走るように歩くが、心臓がドキドキして息が乱れる。


 こんなにたくさんビールなんて買わなきゃ良かった。重たくて全力で走ることができないじゃないか。


 しばらく進んで、そっと後ろを向くと…


 女が立っていた。


「ひっ!な、なんだよっ!着いてくるなっ!!」


 思わず大きな声で怒鳴ったが、女は何も見えていないみたいな目でぼんやりと俺を見上げた。


「くっ、来るなっ!!」


 俺は重たい袋を下げながら、小走りに逃げる。


 けれども、女は俺の後を着いてくる。何なんだよ!!やめてくれ!!


「…待って…」


「うわあ〜っ!!来るな〜っ!!!」


 俺は走りに走ってアパートに着くと、大急ぎで鍵を開けて部屋に飛び込んだ。


 玄関の鍵をかけて、扉を背に座り込む。


「な…なんだったんだ…あれは…」


 5分ほどそうしていただろうか…


 息が落ち着いてきたので立ち上がり、袋のビールを見下ろす。


 袋の外側は結露で濡れている。まだ冷たいのだろう。


 俺はその場で一本を開けて、ゴクゴクと飲んだ。


「クソッ、なんなんだよ、あの女。気持ち悪いったら…」


 そう言いながら、ふとドアの覗き穴に目をやり、


「まさかな…」


と缶に口をつけながら穴に目を当てた。


 そこにいたのは、さっきの女だった。


「……!!!!」


 俺の喉からは変な音が出て、ビールが気管に入り、盛大にむせた。


『ダメだ!ここにいることがバレたら!!!』


 蹲って必死に我慢した。涙が出て、息をするのも苦しかった。


 数分後、なんとか普通に息ができるようになった俺は、もう外を見る勇気はなかった。


 ビールを飲むのも嫌になり、シャワーを浴びることにしたが、頭を洗う時も、もしも目を開けた時にあの女がいたら、と思うと恐ろしくて極力目を開けたまま洗った。


 恐ろしくて布団をかぶったのはいいが、もし出た時にアイツがいたら、と思うと出ることもできなくなり、震えて一夜を過ごした。


『もう二度と弱そうだからってあんなこと言わない…どうか、どうか許してください』


 何にともなく祈った。



*****



 ピンポーン、という音に続き、久美の部屋の扉が開けられた。


「お姉ちゃん〜。ああ〜…暑くて倒れそう…」


「いらっしゃ〜い」


「いやー、アパートはわかったんだけど、部屋番号忘れてて、うろうろしちゃった」


 即売会帰りの美紅みくが、今日泊めてくれる姉の久美くみの部屋に到着したのだ。


 出迎えた久美は、靴を脱ごうとしたのか玄関に座り込む、疲れた様子のみくを見てギョッとした。


「ちょっと、あんたボンヤリして、熱中症になりかけなんじゃない…って、美紅みく!あんたその顔なに?」


「顔?」


「汗でドロドロでアイライナー全部流れてる!


 眉毛もさぁ、眉毛消し、剥がしてないでしょ。こわっ!目もカラコン入りっぱなしで…通報されるよ?


 コスプレのルールは守らないと、一般の人たちに迷惑かけちゃダメだよ!」


「あ〜…ごめんなさい…だってもう暑すぎて、とにかく帰りたかったんだもん。次は絶対気をつける…。


 あ、アイス溶けそうだったからメッチャ急いで来たんだ。ハイ、これ」


「おっ!高級アイスじゃ〜ん!


 早くフリーザーに入れないと…じゃない!


 美紅はシャワー浴びて来なさい!ぬるめにね!あ、先に水飲んで!」


「はぁーい」


 美紅は手渡された水をゴクゴクと飲み干し、眉毛から肌色のシートを剥がし、カラコンを外してシャワーを浴びた。


 着替えてさっぱりした美紅は久美に聞いた。


「お姉ちゃん、絆創膏ある?」


「あるよ。どうしたの?靴合わなかった?」


「ううん、さっき歩いてたら後ろの人に踏まれちゃって」


「ええ〜、大丈夫?」


「大丈夫。


 あ、その人もこのアパートの人みたいだったよ。


 持ってた袋からおつまみ落としたから、声かけたんだけど、すごい勢いで行っちゃって。


 なんかわぁわぁ言ってたけど、暑くてボーっとしてたからよくわかんなかった」


 コレ、と出したのはサキイカ。


「あー、誰だかわかんないし、いただいちゃいますかね。袋、開いてないし」


「うん、ありがたく。知らないオジサン、ありがとう、いただきます」


「「カンパーイ!」」


「美紅、その前髪だけ黒いの、大学に行く前に染め直しなさいよ?」


「うん、大丈夫、美容院予約してある」


「ならいいけど」


 二人は即売会で買ったものを見ながら、次は一緒に行こうねと笑い合った。

お読みくださりどうもありがとうございました。

コスプレのルールなどはっきりわかっていないので間違いがあるかと思います。すみません。


ジャンルが何か、わかりませんでした。

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