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第七話 噂と契約

来週から試験なので更新が遅れそうです

そして、書いてて思いましたがかなりgdgdな気が……

【???side】


最近、彼と話してないな~…

あ、読者の皆さま、お久しぶりです、神様の「ネリア」です

…あれ?

反応が薄い…

…もしかして名前出してなかったですか?



…(過去読み中)…



なんという事実!

ちょっと出てきなさいさk『なんだよ』早速、私に被せるとはいい度胸ですね?

『で、何か用?俺、忙しいんだが』

いつも寝てる癖に何を言って『写真』出てきてくださってありがとうございます!

『で、名前を出してない件だっけ?』

そうなのです

なぜこんなにかわいいヒロインの名前を出さないですか?

『そもそもヒロインじゃないし』

………マジですか?

『本気と書いてマジ』

うぅ……



『で、用はそれだけか?』

今からでもいいからヒロインにできない?

『彼には予定で3人のヒロインがいるからもうこれ以上は面倒』

ひどっ!

『動画』

こんな末の者まで配役を考えていただきありがとうございます!うぅ……もう消してよ……

『たまに見るから無理だ』

見ないで!

『いや…ねぇ?神様ともあろうものが…あんな事をしてるから…』

うぅ……

『まぁ、ヒロインはあきらめて、彼に力やら知識やらを上げてくれ』

わかりました……

『たまには俺がしゃべりに来るから…まっ、楽しみに待ってな』

はいはい

『じゃ、シーユーアゲイン』

…はぁ…アルスはいつもいないし…オーディン様は宮殿だし…はぁ…恋したいなぁ…


『夕日が照らす窓の側でちょっぴり寂しげなネリアだった…』





【聖グランベリア学園】


今日も空は青く澄み渡っている

先週は初めてのギルドということで丸々1週間をクエスト週間にした学校側の意向で毎日、討伐やら雑用やらをやり続けたんだ

ま、月に1回クエストデーとかいうやつがあって、その日は学園全体がギルドでクエストを受けなければならないらしい

そもそもクエストの結果が成績に反映されるらしいしな

そういや、ゴブリン討伐の後で聞いたんだが、普通の学生はDランクを1週間かけて成功させるらしいんだ

改めて3人の凄さを知ったよ(アランはさらに異常)

で、クエスト週間も昨日で終わり、今日からまた授業が始まる

この1週間は遅めに起きてたから少し寝ぼけながらの朝食だったが、問題もなく今は教室に向かっている

ア:「おはよう」

「おはよう!アラン君!」

「おっす、アラン」

「久しぶり~」

「クエストどうだったよ?」

「今日も凛々しいですわね、アラン様。ハァハァ」

…最後のやつ、ちょっと待て。

どこに興奮する要素があった!

ケ:「おはよう。今日も人気者だね」

ア:「なんで俺みたいなやつが人気なのかわからんがな」

ケ:「だからこの前言っただろ?」

ア:「顔がどうたらの話か?外見だけで人を判断するのは悪い考えだな」

ケ:「まぁそう言ってやるなって。多分、お前のファンだろうし」

ア:「いらん」

そう

ケルトから聞いたのだが、俺のファンクラブもあるらしい

「も」というのは、ケルトやメシア、エリンのファンクラブもあるからなのだが

他の3人は容姿端麗、成績優秀(メシアは別だが)、さらに性格抜群という超人だからわかるが、俺みたいな普通の人間のどこに惚れるのだろうか?

ア:『アランは鈍感だからな。どう考えても、お前も容姿端麗、成績優秀、性格抜群だぞ?』

ア:「いや、違うと思うんだがな」

ケ:「顔は上の上。成績は学年トップ。性格もクールで落ち着いてるの三拍子そろってるから、まちがいなくお前が一番人気だと思うぞ?」

違うと思うんだけどなぁ…

あ、途中から加わったのはアクア=イスタロス。

いつも笑顔が爽やかな長身だ

成績は普通より上らしい

ア:『そんな笑顔でもないよ?』

ア:「な、こ、心を読むなよ」

ア:『仕様だ。あきらめてくれ』

仕様か

なら仕方ないな

ア:「そういや、エリンとメシアは?」

ケ:「メシアは…寝てるんじゃないか?」

ア:『エリンは朝、委員会の仕事をやってたのを見たよ』

委員会か

忙しそうだな

ケ:「そういや聞いたか?あの噂」

ア:『噂ね…いくつかあるけど?』

ア:「…噂って何のだ?」

ケ:「1つは学園頂上決定戦の件。もう1つは政府からの重大発表」

ア:『決定戦の方は去年もあったからね。そろそろだと思ったよ』

ア:「学園頂上決定戦?文字から考えればそれしか考えれないが、一応聞いておこう。……なんだそれ?」

ケ:「名前の通り、学園で優れた人物を決める大会だ。上位者には色々な特典があるんだぜ」

ア:『具体的には鬼神石を贈与されたり、強力な武具を作れたりしますよ。そして、望めば軍の見学も行えるそうです』

ア:「へぇ。中々だな。というか、鬼神石って何個も持てるのか?」

ケ:「あぁ。効果が上乗せされたり、弱さを補えたりする。まぁ、複数持ってるやつなんてそうそういないし、自分の苦手な属性の鬼神石は持つと反発するから大抵は対極の属性か同じ属性の物しか持たないな」

ア:「対極の属性?」

ア:『前に属性の優劣は聞いたと思うけど、優劣のほかにも属性同士の相性があるんだ。図で表すとこうなるよ』

そういうとアクアは手元にあったペンで空中に筆先を走らせていく

大まかに出来上がった図を見ると矢印が色々な方向に向いているのがわかる

ア:『例えば火。火は図で見ると水に弱く、土に強いことが分かる。でも、それだけじゃなくて他の木と雷には相互関係にあるんだ』

ア:「相互関係?」

ケ:「融合魔法と同じ原理だよ。優劣の関係にある属性同士で融合させると威力は落ちるけど、相互関係にある属性で組むと威力や効果が大きく変わるのさ」

ア:『火と木ならわかりやすいよね。木に火を纏わせて使うことで物理的な威力を強めるのに加え、優劣にある水の魔法を木で防ぐこともできるんだ』

ア:「そうか。じゃあ、闇とか光とかは?」

ア:『その2つには相互関係はないよ。利点としては他の5属性の全てと相性良く使うことができて、反対に、決め手となるずば抜けた威力は出にくいんだ。もちろん、上級とかになれば話は別だろうけど』

ア:「なるほどな。よくわかる説明をありがとな。じゃあ次の重大は「おはよう!!」あぁ、おはよう」

勢いよく扉を開けて飛び込んできたのは迷うことなきメシアである

朝から元気だな

メ:「ふぅ~…遅刻するかと思った」

ア:『まだ10分はありますけどね』

ケ:「お前は寝すぎなんだよ」

メ:「えへへ~…」

ケ:「笑うな」

ア:「…とりあえず、重大発ぴ「みんな席に着け!」……」

ケ:「アランドンマイ」

ア:『タイミングが悪かったですね』

先生:「ちょっと早いがHRを始めるぞ!まず去年もやった学園頂上決定戦についてだ!例年通り、来週の火の日から行う!ルールも例年通り、武器、魔法、召喚魔等、全てだ!相手を殺しさえしなければ大丈夫だ!今年も色々な特典があるから頑張れよ!」

「「「「うおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」

「今年こそ俺の天下だ!」

「ふっ、冗談は寝て言え。我の天下だ!」

いや、寝言は寝て言えじゃないのか?

そこの貴族みたいなやつAよ

先生:「次に政府からの重大な発表だ!最近、召喚魔の中に新たな種族が見つかったそうだ!まだ確認はされてないが、遺跡からの調査で実力者が特殊な召喚の儀を行えば神と呼ばれる種族と契約できるらしい!まだ君たちでは無理だと思うが将来を楽しみにするんだ!じゃ、これでHRを終わる!」

ワイワイ、ガヤガヤ

ア:「神…か(まさかあいつが召喚されるんじゃないだろうな?)」

ケ:「特殊な召喚の儀って言ってたし、学生である俺らが姿を見るのはまだないだろうな」

メ:「でも、見てみたいなぁ~…」

エ:「そうですね」

ア:『おや、エリン、おはよう。委員会ご苦労様です』

エ:「おはようございます。大変でした」

ア:「仕事って何やってるんだ?」

エ:「私は生徒会に入っているので今度の決定戦の進行や予算、他には多々ある書類の整理とかです」

メ:「大変だよね~。私には無理だよ~」

ケ:「大丈夫だ。絶対任されないから」

エ:「責任が問われますからね」

メ:「そこまで言わなくても…」

ア:「まぁ、メシアについてはそれぐらいにして授業に行こう。今日は何かやるって聞いたけど?」

ア:『今日は特別授業で召喚についてやるみたいだね』

エ:「場所は南にある召喚専用の施設ですね」

ケ:「召喚ってことはついに俺たちにも自分の召喚魔が持てるんだな」

メ:「これでスミスに大きな顔をさせなくてすむね!」

ア:「してたのか?」

ア:『君の前ではしてないよ。模擬で簡単に負けたからね』

ケ:「早く行こうぜ!結構遠いからよ!」

エ:「1階の転移室から行けます。転移を使わないと10分かかりますからね」

ア:「じゃあ、さっさと行くか」





【第2召喚施設】





転移先の教室を出てすぐのところに目的の場所はあった

最初の感想は「広い」の一言に尽きる

エ:「最大で50人が同時に召喚することができます。召喚の際、色々な危険が伴い、魔法陣の書き込み時のスペルミスもありますが、一番危険とされるのは召喚魔との対話です」

ア:「対話?」

メ:「何それ?」

エ:「その辺の話は先生がしてもらえると思うので聞いていれば大丈夫だと思います」

先生:「エリンその通りだ。召喚の儀はやり方自体は簡単だ。床に魔法陣を書き、魔法陣に魔力を注ぎ、召喚のための詠唱を詠めばいい。だが、その間に色々と危険が伴うのも事実だ。」

床に書いて、魔力を入れて、詠唱を詠むと…結構簡単なんだな

先生:「まずは魔法陣を書くときの危険。魔法陣の内軸と外周に古代ガリア文字で言葉を書くが、その言葉には精霊界から召喚された対象が魔法陣の外へ出ないようにして召喚者の安全を考慮した物だ。従って、1文字でも書き間違えると対象が外に出て逃げる時もあれば、召喚者を襲うこともある。だから書くときは複数人で確認しながら書くように。」

「大体何人ぐらいでやればいいですか?」

先生:「そうだな…5~6人いれば3、4分で済むだろう。では次に対話の危険だ。召喚の際に召喚者は魔法陣の内側で対象と契約についての会話をするが、万が一契約に失敗した場合、素直に戻る物であればいいが、大抵、自由を得ようと召喚者を殺そうとする。だから対話の際は十分気をつけて、言葉を選んで行うといい」

「…あ、あの………もし失敗したらどうすれば…?」

先生:「そのときは、すぐに防御壁をつくって、外にいるやつが私か他の先生に助けを求めろ。強制的にだが、精霊界に戻すしか方法はない。他にも力で対象を屈服させれば契約することもできるが、君たち学生では危険なので力試しを申し込まれても断るようにすること!いいね?」

「はい!」

先生:「では、各自5~6人で固まって交代で契約を始めろ!まだ何回かは日数を取ってあるから無理して今日中に契約しようとしなくてもいいからな!」

「契約する数は自由なんですか?」

先生:「魔力が持つのであればいいが、私たちでも召喚するのにかなりの魔力を消費することになる。さらに、戦闘などで召喚魔を呼ぶと断続的に魔力を与え続けなければならないから、基本は1人1体までがべストだろう」

「わかりました!」

先生:「まぁ、エリンやケルト辺りは複数体契約できるかもしれない。色々なやつと契約したいならしてみるといいかもしれん」

エ・ケ:「はい!」





【???side】





今日は召喚魔を呼ぶ授業

俺には既にいるが、召喚魔は多いに越したことはない

俺ほどの力と才能がある人間を精霊共も見過ごす者はいないだろう

だが今回の目的は召喚魔を呼ぶことじゃない

この前、大勢の前でこの俺に恥をかかせたアランとかいう庶民にちょっとした悪戯をしてやろう

すぐに謝れば心の広い俺は許してやったが、もう遅い!

まぁ、やつの魔法陣のスペルを細工して守護のスペルを消してやればやつは慄き、すぐさま俺に泣きつくだろう

そうすれば、俺の思いのままだ

華麗にやつが召喚した物を倒し、やつを豚の世話係にして俺の復讐は幕を閉じる……

くくくっ…想像しただけで俺の天才さがよくわかる!

さて、手下に指示をするとするか

待っていろよ、アラン!





ア:「と、いうわけでいつものメンバーが集まったわけだが…誰からやる?」

メ:「はい!!私から行きたい!」

エ:「いいですよ」

ケ:「あぁ、構わない」

ア:『大丈夫です』

メ:「じゃ、書くから、確認よろしくね」



ケ:「メシア。ここ違うぞ」

メ:「あ、ほんとだ!」

エ:「ここも違うよ」

メ:「うっ」

ア:「……」

メ:「わかったからそんな目で見ないで~!」



結果…間違いが20個近く見つかった

メシアはちゃんと話を聞いてたのだろうか?

ケ:「頼むから死ぬなよ」

メ:「う…うん」

不安だ

エ:「しかし、私たちにできるのもここまでなので、あとはメシアが頑張らないと!」

メ:「そうだよね…がんばるよ!」

そういうと、メシアは魔法陣の中に入った

ア:「そういえば、呼ばれる対象ってどういう風に決まるんだ?」

ア:『流し込んだ魔力の質から相手が決めるんだよ。基本的に自分と同じ属性の生き物が呼ばれるけど、その生き物にもランクがあって、大体自分に合った生き物が召喚されるんだ』

ア:「へぇ~」

エ:「そろそろ始まりますね」

目を魔法陣に戻すと、さっきより魔法陣が輝いているように見える

中ではメシアが目を閉じて、集中した顔で詠唱を唱えている

刹那、魔法陣が眩しくなるぐらい輝き始める

ア:「な、眩しすぎる」

ケ:「そのためにこのサングラスがあるんだよ」

外にあったサングラスはこれのためだったのか

すぐさま、サングラスをかけると、中の様子が少しだが見える

中央に人の形をした物が見える

?:「あなたが私を呼んだのですか?」

中央にいる物から凛とした声が聞こえる

メ:「はい」

?:「私の名はシルフ。風を司る者です。私と契約しますか?」

メ:「はい!では…我、メシア=デュラハは汝、シルフと契約することをここに誓う!」

メシアが契約の言葉を言いきると魔法陣がほのかに淡い色に包まれる

シ:「これで契約は終了しました。必要な時はいつでも呼んでくださいね」

そう言い残すと、シルフは再び光に包まれて姿を消した

それと同時に魔法陣の文字も消えていった

メ:「ふぅ…終わった…」

エ:「お疲れ様。無事、契約できましたね」

メ:「はぁはぁ……うん!」

ケ:「メシアはやっぱり、木じゃなくて風だったな」

メ:「あんまり使わないけど血だからね」

さっきより息が上がってるように見える

先生が言った通り、かなり力を使うようだ

次はケルトの番だな

ケ:「さて、書くか。確認頼むな」

ケルトがどんどん魔法陣に書き込んでいく

……さっきと書き方が違うのは気のせいだろうか?

ア:「なぁ?さっきと書き方が違うのは気のせいか?」

エ:「気のせいじゃないですよ。契約の仕方を説明した時に精霊の属性も説明しましたよね?」

ア:「あぁ。自分と同じ属性の精霊じゃないとだめなんだよな?」

エ:「だめではありませんが、それなりの実力がないと契約はおろか、命が危険に晒されます。なので、学生である私たちは自分と同じ属性の精霊との契約を推奨されます」

ア:「相互関係の属性も危ないのか?」

エ:「優劣の属性よりは幾分か大丈夫ですが、多少は危険ですね。…では、話を戻します。相手の精霊は魔法陣に注がれた魔力で判断すると言われましたが、厳密に言えば魔力だけではありません。魔法陣に刻まれた古代ガリア文字も影響されます」

ア:「……つまり、古代ガリア文字は目印として、もしくは何らかの方法で文字に対応した属性の精霊を呼ぶのか?」

エ:「その通りです。古代ガリア文字には属性を表すとされる文字がいくつかあることがわかっており、基本属性のスペルは教本にも載ってます。他の秘伝系は口伝、もしくは書物等で伝わるみたいなので確認はできません。メシアは口伝で教わったと聞いてます」

ア:「なるほど。……そういや、俺、文字知らないな。」

エ:「……そうなんですか?」

ア:「あぁ。属性のとかは教本で見たけど、他の文字は知らん」

ア:『それは僕が教えますよ。やるときに手伝いますね』

ア:「頼んだ」

魔法陣について会話している間にケルトとアクアの契約も終わったらしい

ケルトはともかく、アクアも終わったのか

ア:「終わった割に疲れてないな」

ア:『そうでもないですよ?大分疲れてます』

涼しそうな顔のアクアと死にそうなケルトを見比べて、単に魔力の量の違いだと思い、そこまで話題にはしなかった

エ:「では、私も契約してきますね」



ア:「ちなみにどんなのと契約したんだ?」

ア:『僕は闇の精霊のオルゴです。ちなみにケルトは火の獣、グレアですよ』

ア:「精霊と獣とどう違うんだ?」

ア:『簡単に言えば、実体があるかないかぐらいですよ』

ア:「そんなものなのか」

ケ:「うぅ……死にそう…」

ア:「じゃあ寝とけよ」

ケ:「おう……」

ケルトが倒れる様子を見ながら魔法陣の方に目を戻す

丁度、エリンが召喚するみたいだ

また、魔法陣が輝く

今回はサングラスのおかげで最初から見ることができた

?:「汝、我を呼びし者か?」

魔法陣の中から低く、それでいて威厳のある声が響く

エ:「はい」

?:「我が名は水の守護者、ランス。汝、我と誓うか?」

エ:「はい。我、エリン=カーラーは汝、ランスと契約することをここに誓う!」

再び、魔法陣が光に包まれる

ラ:「ここに誓いは立てられた。我の力を欲す時は呼ぶといい」

再び、光に包まれると姿を消した

契約が終わると、エリンは少し疲れた顔を見せるが微笑みながら近くまで歩いてきた

ア:「お疲れ」

エ:「ありがとう。予想はしてましたが、中々疲れるものですね」

ア:「ゆっくり休んでろよ。文字はアクアに教えてもらうし」

エ:「わかりました。少し椅子で休ませてもらいますね」

エリンが少しふらつきつつも椅子の方へ歩いて行った



ア:「ということで、よろしく」

ア:『あぁ。最初にどの属性を呼ぶんだい?』

ア:「雷かな」

ア:『了解。まずは……』

アクアに言われるように少しずつだが書いていく

他のやつと比べれば時間もかかったし、文字の大きさも不揃いな物が多いが渾身の一作だ

ア:『あとは詠唱を詠むだけだ。頑張れよ』

アクアはそういうと、魔法陣の外へと動き、待機する

心を落ち着かせ、いざ詠唱を詠む(フリを)すると

「うわぁぁぁ!」

誰かが後ろから俺に倒れてきた

前に倒れそうになるが体制を整えると後ろを振り返る

そこには10歳ぐらいの子供が居た

ア:「(なぜ子供が!?)」

驚いていると、その子供は慌ててどこかへ走り去ってしまった

ア:「まぁいいか」

興味を失くしたアランは再び、詠唱に向けて心を落ち着かせる

まさか魔法陣のスペルを変えられていると思いもせずに……





【???side】





「これで良かったの?」

「あぁ、十分だ」

ガキ相手ならあいつも隙を見せると踏んだ俺はガキに命じて後ろからぶつからせ、その瞬間、他の手下に1文字書かせることに成功した

これでやつは慌てて俺に泣きつくだろう

はははっ!

俺の栄光が戻るのもあと少しだ!





詠唱を詠むこと数分

魔法陣が輝きだしたことが目を閉じていてもわかる

しかし、エリン達に比べ、光が強すぎではないだろうか?

疑問に思いつつも詠唱を詠み終える

だが――

ア:『いけない!アラン!すぐに魔法陣から逃げるんだ!!』

何事かと思い、声に反応するも時はすでに遅く、魔法陣は完成していた

ア:『あの子供が来た時だな……まさかスペルを変えるなんて……』

スペルを変えた?

何のことだろうと考えていると

「グルルルルル………」

どこかで聞いたことのある声が耳に届く

ゆっくりと…嘘であると信じて前を見る

巨大な体、金色に輝く鱗、とげのついた長い尾……

「小僧!!お前が我を呼んだのか!?」

そこには金色のドラゴンがいた





「きゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「うわぁぁぁぁ!助けてくれ!!!」

「なんで!?なんで攻撃が!?」

外からは阿鼻叫喚が聞こえる

それもそのはず

俺が魔法陣で呼んだドラゴンが魔法陣の隙間を見つけ、こじ開け、広げようと体をねじ込んでいるからだ

アクアがエリン達と連携して何とか出るのを防いでいるが、あれではいつまで持つかわからない

やはり、俺がなんとかしなければ……





【???side】





まさか、サンダードラゴンを呼ぶとは……

あいつぐらいの力なら余程の物は呼ばれまいと思っていた最中の出来事だった

ドラゴン種は俺の力をもってしても倒すことは不可能だ

予定と違ったがあいつはここで自分の実力不足という結末で死んでもらうとして、俺は逃げるとしよう!





【ケルトside】





ア:「おい!そこのトカゲ!」

おいおい!アランのやつ、何言ってるんだ!?

狂って自暴自棄になっちまったのかよ!?

ドラゴン:「小僧…このサンダードラゴンの長、ガイアスに向かって良い度胸だ!普段なら即刻食ってやるところだが、我は召喚された存在。よって我は契約に基づき、貴様に対して力試しを行う!」

ドラゴンの長だと!?

鱗の輝きからただのドラゴンじゃないとは思ってたが、とんでもない化け物じゃねえか!?

ドラゴン種の長といえば、一晩で国を壊滅させることができるという力を持つって言われるし、やばすぎるだろ!

それなのにアランはなんで逃げないんだ!?

そもそも力試しは危険すぎるから止めろって先生にも言われただろ!

ア:「力試しか…いいだろう!俺は逃げも隠れもしない!俺の力で必ずお前を屈服させてやる!」

なななな何をバカな発言を!!!!

ドラゴンを倒すなんて軍の幹部クラスでもいないんだぞ!?

というか、単体でドラゴンに挑むとか無理もいいところだろ!?

メ:「ドラゴン相手に力で挑むなんて無謀だよ!」

エ:「その通りです!私たち学生が敵う相手ではありません!」

メシアとエリンが悲鳴を上げている

だが、2人の言うことは最もだ

俺も諫める為に声を荒げようとすると

ア:『みんな落ち着くんだ。……俺たちはドラゴンの攻撃が周りに被害を出さないようにすることだけで十分だ』

メ:「なんで!?アランが死んじゃうよ!!」

ア:『大丈夫。……彼は強いから』

何を根拠に発言してるよアクアよ





【アランside】





確認すべきことはたくさんあるが、まずは目の前の敵より周りの状況

所々、結界に穴が空いているように見える

それがスペルを少し消された代償だろう

そこまで広くないように見えるからドラゴンの……いや、ガイアスの攻撃はそれほど外には漏れないだろう

漏れたとしてもエリン達や先生がいるから生徒への被害はほぼ無いといってもいいだろう

そう考えているアランに対し、焦らされるのが嫌いなのか、ガイアスは口に魔力を溜める――

ケ:「やばい!ブレスが来るぞ!!」

ブレスってなんだ?――そう考えるアランに暇を与えずにガイアスのブレスが飛んでくる

単に魔力の塊かと思いきや、膨大な電気を纏った塊が津波のように襲いかかってくる

ア:「広いな……土陣壁」

外に溢れた攻撃はさておき、自分は防御を固める

優劣を考えればそこまで焦る必要もないが、相手はドラゴンの長

ガ:「甘いぞ小僧!我が力を侮るな!!」

土の壁に雷の塊が食い込む

そう、発散されるず、土の壁を破ろうとしているのだ

メ:「嘘!優劣で雷が土に勝つはずがないのに!」

エ:「いくら属性の相性が良くても、あのドラゴンの攻撃に込められた魔力の量が、アランさんの防御に込められた魔力を大きく上回っているので消えずにいるのです!さすがドラゴン……といったところですか」

ケ:「感心してる場合かよ!?アランを助けないと!」

ア:『じゃあケルト。君に問うけど、君はあの攻撃に耐えれるのかい?契約で魔力が大きく失われているのに?』

ケ:「くっ……だけど」

ア:『今の状態じゃ、俺らが助けに行ったところで足手まといだ。…大丈夫、彼は強いから』

アクアが真っ直ぐ…一切も疑わない眼差しでアランの動きを見続ける

そんな様子を見て、自分らも信じようと思うケルトたちである



そんな外の様子を知らないアランはどう決着をつけるか迷っていた

ア:「(チート的な能力を思う存分使ってもいいが……見られると後々面倒だし……仕方ない、神様いるかい?)」

ネ:「(呼ばれて登場ネリアだよ~♪どうした~?)」

ア:「(外と内の景色と音を遮る魔法はないの?)」

ネ:「(あるよ~)」

ア:「(どうイメージすればいいか教えてくれ)」

ネ:「(いいけど条件がある!)」

ア:「(……デートとかはなしだぞ)」

ネ:「(なんでわかったよ!?)」

ア:「(バレバレだ。ほら、さっさと教えろ)」

ネ:「(むぅ…簡単に結界をイメージすれば?あとは色をつけて、壁を防音素材にすれば終わりじゃない?)」

ア:「(……ずいぶんと現実的だな。まぁ、やってみる)」

知りたいことを知ったのでこちらから一方的に遮断する

ア:「(音と景色を遮断する…!)」

イメージがまとまり、魔力を集中して放出する

……どうやらうまいこと遮ることができたようだ

先ほどから聞こえた悲鳴などが聞こえなくなり、周囲にはお互いの息遣いだけが聞こえる……



ケ:「何なんだよ!この結界はよ!!」

先ほどからできた結界にイライラを募らせる

中の様子は見えなくなり、声も聞こえない

まさか中にいるアラン本人が作ったなんて露にも思わず、少しでも破れないかと魔法を仕掛けてはいるが、全くの効果なし

エ:「ここまで強固だと諦めがついてきますね……」

メ:「もうだめ…」

契約での魔力消耗がここにきて猛威を奮う

そんな中でずっと涼しい顔をしているアクアは

ア:『そろそろ決着かな…』

と、誰にも聞こえないぐらいの小さな声で中の様子を呟いていた





【ガイアスside】





我のブレスが遂にあの小僧の土壁を破壊する

破壊と同時に辺りに残った魔力の衝撃波が巻き起こる

さらに小僧がいた場所は煙が立ち込め視界は悪くなっていた

人間としてはよく持った方だが、所詮、人間は人間…

ふっ…我に勝とうなど夢のまた夢の話というわけ――

?……どういうことだ?

あの小僧の魔力がまだ―――

ア:「そろそろ…決着をつけようか?」

煙が晴れる…

そこにいたのは先ほどと変わらぬ姿勢の小僧……

ガ:「…小僧。…どうやって我がブレスを耐えた?貴様の土壁は砕いたはず…」

ア:「もちろん魔力で防いだだけだ」

ガ:「魔力で防いだ……だと?」

バカな…

ドラゴン種のブレスを己の魔力で防ぐだと?

ありえない…

ありえない…!!

ガ:「小僧……いや、『そなた』…といった方が正しいか?」

ア:「?どういうことだ?」

ガ:「認めてやろう、そなたの実力を。しかし、我もまたドラゴン種の長…。ただ引くのは許されない。だからこそ最後は正々堂々、全力でそなたと力技だけで戦いたい……よろしいか?」

ア:「俺が勝ったら俺と契約するんだよな?」

ふっ…最後の最後まで自らの姿勢を崩さない

我を長と知ってもなお我と対等に居続ける

久方ぶりだ!!

ガ:「勝ったら……な?」



2人を取り巻く魔力が濃くなる

息をするのが苦しいぐらいにだ

しかし、下を向かない、いや向けない

ここまでワクワクする力と力のぶつけ合いをできるのだから……

…先ほどまでアランを囲っていた土壁が何かの拍子に崩れ落ちる

ガラッ

「「ダークキューディラーマ!!(ドラゴンフォース!!)」」

2人の周りに集まっていた魔力が一瞬にして輝きながら魔法となって激突した……





【エリンside】





謎の結界が作られてからもうすぐ10分になる

相変わらず中の様子は見えない

変わったといえば中から飛んできた攻撃が止んだことぐらい

アランさん大丈夫かな……

私の側には疲れてぐったり倒れてるメシアとケルト、それに涼しい顔をしてるアクアさん

さっきからアクアさんは大丈夫って言ってるけど何を根拠にそんな自信を持って言えるのだろう

ア:『…くるよ』

何が――と問いかける前に私にも感じられた

急いで水陣壁を私たちの周りに作る

エ:「きゃあ!」

作ると同時に圧縮された魔力の塊が全方位に飛んでいく

私が張った壁も一瞬で消し飛んでしまった

一体どれだけの魔力を込めればこれだけの威力になるのだろう?

飛んできた魔法の余波で私たちも施設の壁の方まで吹き飛ばされる

ついでに吹き飛んだ勢いで舞った砂埃が中の様子を隠す

どうなったのか?

まさか負けてしまったのか?

そんな悪い予感が頭をよぎる、でも――

ア:「俺の勝ちだ」

聞きたかった声が勝利宣言と共に聞こえてきた





【保健室】





いやー、えらい目にあった

あの後、ガイアスとうろ覚えで契約をしたのはいいのだが、ガイアスが消えてからの賞賛や質問の嵐が凄かった

もみくちゃにされている間にいつの間にか意識が彼方に飛んだ――らしい

今は本棟の保健室にいる

気絶している間にここへ運ばれたようだ

人払いでもしてあるのか

静けさが辺りを包みこんでいる

…どれくらい寝ていたのだろうか?

不意に廊下から人が歩いてくる靴の音が鳴り響く

コツコツコツ、ガラララッ

エ:「あ、起きたんだね」

入ってきたのはエリン1人だった

ア:「あぁ、心配掛けたな。俺はどのくらい寝てたんだ?」

エ:「ん~…2時間ぐらいだよ。一応、アラン君は契約も終わったしドラゴンとの戦闘もあったから先に休んでもいいって先生が言ったの」

ア:「そうか。…契約した実感がないな」

エ:「…そう」

沈黙が2人を包む

気まずい雰囲気がお互いの顔から見てとれる

そして――

「「あのさ!?」」

同時だった

ア:「エリンからでいいよ」

エ:「ううん。アラン君から」

………



10分後

ア:「じゃあ俺から……他の3人は?」

先に折れたのはアランだった

(『というか時間かかりすぎだな』)

エ:「みんなはまだ施設にいるよ。時間的にもうすぐお昼だけど」

言われて壁の時計を見るともうすぐ12時になろうとしていた

ア:「もうそんな時間か。…一先早いけど食べに行くか?もちろん、エリンの質問に答えてからだけど」

エ:「…私は―――」

エリンを見ると顔が真っ赤だった

熱でもあるのだろうか?

エ:「私は――っ、や、やっぱりいいです!さぁ、食べに行きましょう?」

出かかっていた言葉を飲み込むとエリンは微笑んでアランを食事へと促す

しかし、その笑顔は少し無理があり、辛そうだった

ア:「……そうだな。食べに行くか」

本当に大丈夫なのか――辛いことがあるなら相談してほしいと思うが、その言葉を心の中にしまいこむと決めたアランはこれ以上心配をかけまいと笑顔で答える

しかし、エリンの辛さの原因が自分であることや自らの笑顔にも辛さと苦しさが映っていた事にアラン本人は気づかなかった

どうも、お久しぶりです


最後の方で妙なシリアス的要素(?)が入りましたが、自分の感情的はそっち系は無理ですね(苦笑)


ほんとはラブ系要素を入れるつもりだったのに……


ついでに戦闘シーンは何度書いても難しいです


そして、今回、あまりの量に話を分けることとなりまして


ア:「だからどうしたよ」


あ、勝手にここへは来ちゃだめでしょ


ア:「良いだろ。俺のシーンの途中なんだし」


まぁ、次回は今回の召喚魔達とのあれこれについて書く予定ではあるんだが…


ア:「…だが…なんだ?」


君の召喚魔のガイアスをどう戦わせるか迷ってるんだよ


ア:「普通に戦わせるだけじゃだめなのか?」


大きさと強さの面でね、というか話し次第では性別も変えないといけないし…


ア:「ふーん…まぁがんばってくれ」


はいよ。さて、次回【契約者】お楽しみに~








今回から次回予告でも書こうかと(笑)


感想、誤字脱字があればよろしくお願いします!

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