表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13階段  作者: WAIai
29/29

3話の終わり

「…おい、起きろ」

頬を叩かれ、洋介は目覚める。一瞬、何だったか分からなかったが、すぐに思い出し、体を起こす。

「お母さんは…!!」

「大丈夫だ」

青年は短く言い、洋介の額に触れてくる。

「…何するの?」

「もうお前には必要ないから」

そう言って手が離されると、洋介は頭上を見る。13階段が無くなっていた。周りの心の声も聞こえなくなる。

「何で…?」

洋介が呆然として聞くと、青年は腕を組んで微笑む。

「よしなに。それより、お前の母親…」

「そうだ、お母さん」

ひとみは洋介の側に倒れていた。しかも気のせいか、微かに黄金色に輝いて見える。

ー何だ、この粉みたいの。

洋介が触れると、消えてしまった。不可思議なことに首を傾げる。すると、ひとみが言ってくる。

「…うーん」

「お母さん、大丈夫?」

洋介は起こそうとする。ひとみは目をパッチリ開けると、洋介を見てくる。

「洋介…」

「なに? どうしたの?」

声を拾うため、身を乗り出すと、急に抱きしめられる。驚いたのは洋介のほうである。

「あの…?」

抱きしめられると温かかった。ひとみの温もりを初めて知った気がする。

「ごめんね、ごめんね、ごめんね」

力強く抱きしめてくる。洋介はされるがままにした。ひとみはなおも続ける。

「お母さんが悪かったわ。本当にごめん」

ひとみは憑物でも落ちたのか、穏やかだった。どうなっているんだと、洋介は青年を見るが、既に青年は消えていた。

ー居なくなっている。いつの間に。

不思議なことだらけだった。洋介はひとみに聞く。

「お母さん、13階段の先に何があったの?」

「……」

ひとみは駄々っ子のように首を振る。

「よく分からない。でも、怖かった、怖かった、怖かった」

本心らしく、震えが伝わってくる。そんなに怖がるほど何があったのだろうか。頭上を見るが、もう階段は無いので、知る術がない。

「お母さん、落ち着いて。僕が居るから」

「ああ、洋介」

ひとみは頭を擦り寄せ、いっそう出す力を強くする。

「お母さんが悪かったわ。あなたを失う気がして」

「…僕のため?」

ひとみに返す力が強くなる。ひとみはいつもの怒っている状態ではなく、純粋に母親の気持ちになっているようだった。

ーここまで変われるって、何があったんだろう?

洋介は興味があったが、とにかく、ひとみに抱きしめられて嬉しかった。子どもらしい子どもをやったことがないので、離れたくなかった。

「キャハハ」

子どもたちが遊びに来たので、洋介はひとみの服を引っ張る。ひとみも気がついたらしく、頭を撫でてくる。

「ー行こうか?」

「うん」

2人は立ち上がり、お互いを見合う。すると、ひとみが手を差し出してきた。

「…良いの?」

聞くと、頷いてきた。洋介はゆっくり、ひとみの手を取る。ひとみと手を繋いでみたかった。普通の母子関係みたいに優しくしてもらいたかった。それが今、叶うのだ。

洋介は手を繋ぐと、ようやくはにかんだ。それは少しぎこちなかったが、子どもらしい笑顔だった。

「ー行こう」

「うん!!」

洋介はひとみと一緒に公園を後にしたのだった。



3話、終わり。

読んでくださって、ありがとうございます。

13階段はこれで完結です。

新作をお待ちください。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ