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13階段  作者: WAIai
28/29

3話の⑩

しかしアパートまで行かなくてもいい状況になった。

「…お母さん」

小さな公園にさしかかった時、向こうから怒りの形相でひとみがやってきた。飲んだのか酒臭い。洋介に対し、敵でも見るような視線を向けてくる。

「あんた!! よくも抜け出して」

「あの…!!」

ひとみに説明しようとすると、青年が制した。公園にはブランコや滑り台があるが、誰も遊んでいなかった。時刻がお昼過ぎだと思われるから、皆、ご飯を食べに行っているのかもしれなかった。

「行くわよ!!」

「待って、お母さん」

洋介は珍しく、感情を出し、拒絶する。

ひとみの心の声は、

ー要らない、要らない、要らない。こんな気持ち悪い子。

と聞こえてきた。洋介は背中に冷たいものを感じる。ひとみと取っ組みあっていると、青年が言ってくる。

「お前の母親、ちょっと借りる」

「…は?」

拒絶の手を緩め、青年を疑わしそうに見る。ひとみも誰なのか興味あるようだった。

ー誰、このイケメン。この子の知り合い?

青年は心の声を無視し、ひとみに近寄る。ひとみはかなしばりにあったかのように、動けないようだった。

洋介の時と同じく額に手をあて、放す。すると、

「何よ、これ!!」

洋介の頭を指差し、ひとみは口をぱくつかせる。階段がどうやら見えるようだった。

「見えるの、お母さん!!」

洋介の言葉は無視され、ひとみは青年に詰め寄る。

「どういうこと!?」

「どうもこうも早く乗れ」

「「へ?」」

洋介とひとみの声が一緒に重なった。青年は苛立ったように繰り返す。

「早く上れと言っているのだ。さあ」

ひとみの背中を押し、階段に足をつけさせる。重たいのではないかと危惧したが、そんなことはなかった。ひとみが不安そうに振り返ってくる。

「早く、行け。試されるのはお前だ、お前」

訳分からないことを言い、青年は洋介の肩に手を置く。ひとみを見守るようだった。

「…あの」

「何? どうした?」

「階段に上るとどうなるの?」

洋介が聞いても青年はうっすらと笑ったのみだった。ひとみは言われるがまま、階段を上っていく。扉にさしかかり、チラリと視線を向けてくるが青年の視線は冷たいものだった。

「開けろ、早く入れ」

ひとみは操られるように扉に手をつける。すると、その途端、眩しい光が溢れ出してきた。

「うわ……!!」

ものすごい光の渦だった。目には痛すぎて、ギュッと瞑る。

「少し寝てろ」

青年はそう言い、洋介の首の後ろを叩く。気絶させられ、洋介は体を預けたのだった。















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