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13階段  作者: WAIai
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3話の⑨

洋介はアパートを抜け出すと、歩道橋にやってきた。歩道橋の色は水色で、下の交通量はそれなりに多い。

「…ここから落ちたら」

下を覗き込む。色々な心の声が聞こえてきて、賑やかだった。

ー今日は嫁の誕生日だから、早く帰らないとな。

ー昼飯、何にしようかなぁ? 喫茶店でランチも良いわね。

皆の声が楽しそうに聞こえた。不幸なのは自分だけだろうか? 心が熱くなったが、泣くまでは行かなかった。あくまで、冷静でいた。

ーよし、行くか。

覚悟を決め、歩道橋から身をのりだす。周りには誰も居ないはずだった。行けると思ったのだが、突然、声がしてくる。

「いけないなぁ、それは」

誰だと思えば、例の不可思議な青年だった。光を浴び、ますます美しい姿に見える。

「危ないよ、降りなさい」

「……」

洋介は無視をしようとした。しかし体が動かなかった。青年がチラッとこちらに指を動かしただけで、何かの術にかかっていたらしい。

「ほら、降りて」

青年は小さくて細い体を持ち上げ、両足が歩道橋に着く。洋介はキッと睨みつける。

「何で? 触れてなかったはずなのに」

「さあ?」

青年はぼやかし、洋介の服を整えてくれる。優しい人だと思いつつも、警戒は解かない。

「何しにきたの?」

「君の様子をずっと見ていた」

「え…? 僕のことを?」

「そう、君のことを。…大変だったね」   

頭をポンポン叩かれ、洋介はムットして、言い返す。

「子どもだからって、馬鹿にするな」

「…してない。してたら、助けない」

青年はそう言うと、洋介のアパートがあるところ指さす。

「帰ろう。私もやりたいことがある」

「…。やりたいこと? 何?」

「内緒。君にとって悪くないことだ」

青年はふわりと笑みを浮かべた。洋介はまだ歩道橋に未練があったが、青年に指さされ、その場を後にした。













  


 



    


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